半導体と装置と素材
はじめに
月曜日、こんにちはRCCです。
今週も皆さんの頭脳を活性化する話題を提供していきたいと思います。
先週に引き続き、お金に関する話題です。
現代科学技術の研究にはどうしてもお金が必要です。
産業革命はお金によるドライブが必要なのは第一次産業革命の頃から変わりませんね。
ホットトピックはもちろんAI、半導体、EV、Batteryですが、
その中でも今回は半導体の市場分析について分析していきたいと思います。
半導体市場は半導体と装置と素材
(日本、経済産業省、戦略資料より。)
半導体産業が巨大であることはみなさんもご存知でしょうが、
大きく3つの分野があります。
1つ目は半導体、48兆円
2つ目は製造装置、4.4兆円
3つ目は半導体素材、5.2兆円
合わせて50兆円を超える巨大市場です。
現在のEV市場とほぼ同じくらいの大きさであることが分かります。
しかし、2030年にはEV市場の2倍の規模にまで成長することが予想されています。
半導体市場
半導体市場はさらに大きく分けて3つの分野があります。
ロジック (CPUなど)
メモリ (NANDなど)
その他 (Power+Image sensor+Analog)です。
ロジックはインテルやNVIDIAが有名で、メモリはサムソン、イメージセンサーはソニーなどが有名です。
その半導体の製造を支えているのが装置、ツール、素材で
2030年には倍増の100兆円市場になると考えられています。
EV+バッテリー市場が2050年に100兆円市場になると言われている(#10-2 EV&Battery ②)ので、半導体市場の成長はそれよりも早いことが分かりますね。
半導体産業の高性能化の歴史は新産業・ニーズの創出と連動している。
新たなユースケース開拓や新産業を創出するスタートアップが重要
半導体の高性能化と低消費電力化を実現するために、微細化は現在も続いており
最先端のゲーム機は6nm世代、車載SOCは5nmで設計された半導体が使われていて
どちらも2030年頃には2nm世代になる可能性がある。
加えて、用途ごとに特化した半導体を使用することで情報処理における電力効率を上げる取り組みも進んでいる。
この傾向は端末側では顕著であり、TESLAは自動運転用の半導体を自社設計している。
また、GAFAMなどのクラウドベンダーも自社のクラウドの付加価値向上のために自社で設計する事例も増えてきている。
2020年代後半には2nmの半導体需要が拡大する見通し。
また、Process Design Kitの開発も進む。
現在は人間が使うデバイスの市場がメインだが、
今後、機械が機械に送る通信デバイスがメインの市場に変化していく。
AI時代である。
最新のスマホやデータセンター、AIに活用される9nm以下の最先端ロジック半導体は
台湾、米国、韓国、アイルランドの4カ国でのみ生産されており、約6割が台湾
韓国サムソンはTSMCに追いつこうと努力しているし、
実は端末各社は台湾つまりTSMCがロジック生産を寡占している状態を嫌がっている。(DS関係者 談)
最近では米国政府や投資家が”中国-台湾 軍事衝突リスク”の名の下に投資を引き上げたりもしている。
そのため、サムソン電子、TSMCが日本の熊本と横浜にそれぞれ工場建設を計画している。
しかし、技術的格差によりTSMCが追随を許していない。
サムソンは赤字を出して、PSが0でも、継続的に投資をしている。今が勝負時である。
(しかし、PSが0というのはまったく、困ったものである。)
住宅や向上、自動車などの電化やデジタル化が進むことにより、デジタル関連の消費電力は増加、CO2も増加することが予想される。
製造、サービス、輸送、インフラなど、あらゆる分野において、グリーン化が進まなければ死活問題。
2030年までに
情報通信量は2倍になり、IT分野の電力消費量は1.5倍に増大するとの見立てもある。
これに対して半導体の進化は極めて有効である。
半導体の進化が足りなければ電池をたくさん作るというのも1手である。
製造機械および素材
半導体製造にあたっては合計1000以上の工程が必要である、その製造に当たって極めて高いクリーン度が必要。
半導体製造装置産業ではUSAが1位、日本が2位のシェアを有しており、半導体製造サプライチェーンにおいて不可欠。
つまり、米・韓・日は半導体製造に関して切り離すことはできない連合なのである。
日本ではTELが、韓国ではSEMES, KCが食い込んできている。
現在では元々は後工程であったボンディングも前工程に組み込まれ、ハンミ半導体の株価は2023年に5倍に増えています。
上の図の詳しい説明とDS部門専門家のおすすめ半導体装置メーカーに関しては#11-2を参照。
半導体素材市場は半導体市場と合わせて大きく成長する見込みであり、日本企業が高いシェアを有する。
信越化学、SUMCO、イビデン、新光電気など。
パッケージ基盤は5年で売上2倍になると予想されている
SAITで開発中のポリイミドやCMPもホットな材料である。
最後に
本日は半導体と製造機械と素材の現在について総括した。
現在、製造は台湾の寡占状態にあり、米・韓・日はどうにかしてその牙城を崩したいところ。
製造装置では米国と日本が競争状態にあり、サムソンの役員がどちらの商品を買うかで市場が動く。
どちらにせよ、半導体部門は伸び盛りであり、電力消費量も莫大なものとなりそうだ。
今後、自動運転など画像処理用の半導体の隆盛により、半導体市場はまずます広がる。
SAITerの皆さんはこのような現状にあり、どのように未来につなげるかお悩みのことと思います。
今後の半導体、製造装置、素材に必要な研究は何なのか?
会員限定記事 #11-2では未来の研究テーマについて掲載いたします。