風邪5類化パブコメ用「コピペで使えるひとこと意見集」
急性呼吸器感染症(ARI、従来の風邪を含む)5類化案パブコメへの「コピペで使えるひとこと意見集」です。何の権利も主張しませんので自由にお使いください。意見提出方法のnoteへのリンクが末尾にあります。
2024/08/16 重要なものは【ひとこと版】を追加していきます。
全般的な意見
行政手続法39条2項(意見公募手続)に「命令等の案は、具体的かつ明確な内容のものであって、・・・でなければならない」とあるにも関わらず、定点からの報告を求める ARI の範囲が定まっていない状態でのパブコメは具体的でも明確でもないため違法である。
【ひとこと版】
定点からの報告を求める ARI の範囲が定まっていない状態でのパブコメは具体的でも明確でもないため違法である。
先般の内閣官房による新型インフルエンザ等対策政府行動計画改定案についてのパブコメでは、法的義務ではなく任意で行ったものであることを理由に19万を超える意見がほとんど考慮されなかったが、このパブコメは行政手続法によるものであるから、法的義務である提出意見の十分な考慮を意見提出者が納得の行く形で確実に行うことを求める。
【ひとこと版】(他の意見にオマケで付けましょう)
なお、このパブコメは任意ではないので行政手続法で義務付けられた「提出意見の十分な考慮」を意見提出者が納得の行く形で確実に行なって下さい。
7/26の記者会見で武見厚労大臣は、ARIの症状について副鼻腔炎を「ふくびこうえん」と読み、下気道炎は「かき・・どうえん」とおかしなところで区切るなど、今回の改正の最も核となる用語を読むことすらできず、風邪の5類化という極めて社会への影響が大きい命令であるにも関わらずその命令を出す張本人が改正案の内容を理解していないのは明らかであるため、そのような不誠実な姿勢で検討した案は到底認められない。
【ひとこと版】
命令を出す張本人である厚労大臣が副鼻腔炎を「ふくびこうえん」と読むような内容を理解していないのは明らかな改正案到底認められない。
第86回感染症部会において、出席の参考人全員とほとんどの委員からARIサーベイランスについて現場の負担や混乱を懸念する意見、そして法律が専門の委員全員から検体の個人情報の扱いを懸念する意見が出ており、今後の検討においては医療現場や法律家などと時間をかけて繰り返しコミュニケーションを取りながら進める必要があるのは明らかであるにも関わらず、公布日を9月中などと乱暴に部会員に圧力をかけるような短期間の期限を設定する理由は何か?
【ひとこと版】
感染症部会の出席者ほとんどからサーベイランスについて現場の負担や検体の個人情報に関する意見が出ているにも関わらず、公布日を9月中などと乱暴に部会員に圧力をかけるような期限設定をする理由は何か?
「改正の趣旨」においてARIの5類化の目的は「将来的なパンデミックに備え、急性呼吸器感染症の発生動向を把握するため」、とあり、武見大臣も会見で「平時より呼吸器感染症の包括的なリスク評価を行うため」と述べている。しかし、武見大臣は会見でその後に「迅速に適切な感染症対策の検討を行うことに繋がる」と述べ、続けて特定感染症予防指針を定めるにあたり「風邪のワクチン」の開発の検討を「引き続き」行うと述べた。「改正の趣旨」には特定感染症予防指針を定める目的は書いていない。つまり表立っては調査を目的として5類化するとしながら目的は隠して特定感染症予防指針を策定して風邪そのものの対策やワクチン開発を検討するということである。こんな騙し討ちに等しい調査を言い訳にした5類化は、必要最小限の措置に留める感染症法の趣旨に反するものであり到底容認できない。
【ひとこと版】
発生動向の把握が目的といいながら、特定感染症予防指針を定めワクチン開発まで検討しているのは騙し討ちであり感染症法の趣旨に反する。
厚労省は国際的な動向としてWHOがILI、ARI、SARIのサーベイランス実施を推奨しているとするが、WHOが提唱している Mosaic Respiratory Surveillance Framework では、あくまでサーベイランスの目的はパンデミックを起こしうるウイルスの監視であり、つまり基本的にILI、SARIを対象としている。このフレームワークの一部を成すとしてWHOが紹介している各国のケーススタディもすべてILI、SARIを対象としたものである。今回新たに5類に含めようとしているのはILI、SARIに該当しないARIであり、そのサーベイランス、ウイルスの同定、さらには対策やワクチン開発にリソースを割くのはWHOの意向に沿うどころか本来の目的を蔑ろにするものである。WHOが必要とするサーベイランスを行うために、ILI、SARI以外のARIを5類にするのは不要であり無駄であるだけではなく有害である。
【ひとこと版】
サーベイランスを提唱する WHO は ILI、SARI を対象としており、ILI、SARI以外のARIを5類にするのは不要であるだけではなくリソースの無駄遣いであり有害である。
名著と言われる「かぜ診療マニュアル」には、自然軽快するものは診断する意義に乏しく自宅で寝ていたほうが治りが早いかも、とか、風邪を診る医師の最大の役割は風邪に見える重大疾患を見逃さないこと、と書かれている。にも関わらず、風邪全般を5類として調査の労力を費やしてウイルスを同定したり、特定感染症予防指針を策定して予防に努めたりするのは本末転倒である。医療のリソースは、重大疾患の見極めのためにより多くを振り向けるべきである。
【ひとこと版】
風邪全般を5類さらに特定感染症予防指針の対象として調査や予防に医療リソースを割くのは、「かぜ診療マニュアル」にあるような風邪診療の常識に反するものであり本末転倒である。
風邪の5類化
従来の風邪は現在の5類感染症と同程度に国民の健康に影響を与えるとは言えないので、5類指定するのは感染症法に反する。
平均して全国民が年に1.4回引くという調査もある風邪を特別扱いするのは医療資源の無駄遣いであり、医療現場に過度な負担や混乱をもたらすため、5類指定には反対する。
埼玉県で行われているサーベイランスの例を見ると、定点毎に週に3~10検体提出、1検体当たり500円の謝礼金という要領となっている。謝礼を払ってもこれが限界という判断で提出検体数が決められたのではないか?これが風邪やインフルエンザの流行期に全数提出となると負担が大きすぎないか?目的や見込まれる成果に対してリソースの使い方の偏りがあまりにも不適切ではないか?報酬で解決を図るなら医療費の無駄遣いではないか?適切だとする具体的な根拠を示して欲しい。
【ひとこと版】
週に3~10検体を提出する埼玉県の例を鑑みるに、流行期に多数提出させるのは目的や見込まれる成果に対してリソースの使い方の偏りがあまりにも不適切である。
AMR臨床リファレンスセンターの抗菌薬意識調査レポート2023によると、抗生物質について国民の6割がウイルスをやっつける、5割が風邪に効くと答えている。また、抗インフルエンザ薬のタミフルは世界の消費量の75%を日本が占めていると言われている。それに対して、名著と言われる山本舜悟著「かぜ診断マニュアル」では自然軽快する風邪は受診の必要性は低い旨が述べられている。これらから、風邪に対する日本人の意識は警戒が過剰または誤った知識による部分があることは明らかであり、それは医療費の増大や無駄な医療逼迫を招くものである。そのため、現在のわが国は国民に正しい知識の啓蒙を行い不要な受診を減らすよう努めるべき状況であると言える。そのような中、積極的に風邪のサーベイランスを行い従来の風邪の病原体まで同定して状況把握を行うとすれば、データの質を保つためには厚労省はわが国の状況に反して風邪の症状の重さに関わらず受診することを奨励すべきということになるが、そうするのか?
それよりも、やはり「かぜ診断マニュアル」にもあるとおり、風邪に隠れた重大な疾患を検出することを重視し、サーベイランスにおいては従来風邪に比べ特異的な症状を呈する現行5類感染症の検出を行う中においてパンデミックを起こす可能性のある病原体の検知を行うべきである。そうでなければ、軽い急性呼吸器症状を呈する中では圧倒的多数である「ただの風邪」にあらゆるリソースを無駄に注ぎ込むことになる。
また現行5類以外のARIの5類化は、そのようなサーベイランスであれば不要であり、さらに先に述べたような国民の風邪に対する認識の誤りを助長することになるため反対する。
【ひとこと版】
風邪に対して誤った認識を持つ国民が多い中、また、風邪診療で最も重要なのは重大疾患検出であることに鑑み、軽症の風邪にリソースを無駄に注ぎ込まないためには5類を広げるのではなく現行5類の検出を行う中において重要な病原体の検知を行うべきである。
特定感染症予防指針
特定感染症予防指針は5類感染症の中でも特に対策が必要なものについて定めるものなので、5類にすることすらおかしいコモンディジーズの代表である従来の風邪について定めるのは極めて不適切である。
特定感染症予防指針について、改正の趣旨に「同部会による検討を踏まえ、・・・急性呼吸器感染症を加えることとする」とあるが、部会の議事録を見ると事務局案をほとんど議論することなく了承しており、インフルエンザのみからARIに対象を変えるという極めて大きな変更に対して議論が尽くされたとは到底言えず、一旦撤回して議論し直すべきである。
【ひとこと版】
感染症部会の議事録を見ると、特定感染症予防指針の対象の変更について事務局案がほとんど議論なく了承されており、議論が尽くされたとは到底言えず白紙撤回して再議論すべき。
COVID-19に関する特定感染症予防指針の策定は、5類指定の際に一旦検討して見送っており、以来一年半、指針なしで特に問題も起きずやって来たのに、突然に「特に総合的に予防のための施策を推進する必要がある」感染症だとする理由がない。その疾病の予防以外が目的であれば感染症法の趣旨に反する。
【ひとこと版】
COVID-19 に関する特定感染症予防指針は一旦見送って以降一年半問題は起きておらず、現時点で突然対象とする理由はなく、さらに現行5類以外の ARI をそのものの予防以外の目的で加えるのは感染症法の趣旨に反する。
サーベイランス
改正の趣旨は「将来的なパンデミックに備え、急性呼吸器感染症の発生動向を把握するため」とのことだが、それはサーベイランスを目的とした法令整備により可能であり、現在の5類に該当しない疾病を5類に指定するのは、感染症法6条6項9号に定める「前各号に掲げるものと同程度に国民の健康に影響を与えるおそれがあるもの」とは言えないため感染症法に反し、また、後にサーベイランス以外の各種の対策を行う理由にできるため、必要最小限の措置に抑えるという感染症法の精神に反するため、行う必要はないし行うべきではない。
【ひとこと版】
発生動向を把握するために現在の5類と同程度と言えない疾病を5類に指定するのは感染症法に反する。
感染症部会で米国のARIサーベイランスが紹介されているが、日本のインフルエンザ/新型コロナの定点が約5000に対して、アメリカは病院が20ヶ所あまりでその他のラボも数百のオーダーであり、世界に歩調を合わせる上でも、実効性の上でも地方の小さな診療所などを定点にしなくとも拠点病院が数百もあれば十分であり、そのためには5類である必要はない。
【ひとこと版】
米国の例を見ても実効性の面でもサーベイランスを行うのは拠点病院が数百もあれば十分あり、そのためには5類である必要はない。
先日公表された埼玉県の急性呼吸器感染症サーベイランスでは、RS、ライノ、従来コロナなどを含め21の病原体の検査が行われていたが、法令改正後のサーベイランスでは同様の病原体の検査を行い、それぞれの検出数の公表を行う予定か?
そうならば、これまでコモンディジーズ扱いであった多くの病原体の扱いが大きく変わり、医療現場の混乱や過度な負担、および国民の過度な行動萎縮などに繋がり、COVID-19で生じた社会の不安定化を継続・助長させるため、そのようなサーベイランスには反対する。
【ひとこと版】
これまでコモンディジーズ扱いであった多くの病原体の調査、公表を行うのは、COVID-19で生じた社会の不安定性を継続、助長させるため反対する。
サーベイランスで新たな感染症を見つけるというが、埼玉県が現在行っている調査や新潟県の2013年の結果を見ても概ね2割は病原体を検出できておらず、言い換えれば2割は新たな感染症の可能性もあるということであり、相当多数に上ることになる。その中から、既に200以上あると言われる風邪ウイルスではない新たなウイルスを見つけるのにどのような体制を取るつもりか。従来の症状を呈する患者を広く網にかけるのではなく、従来とは異なる症状を見つけることを重視し、見つかった場合に集中的に調査するべきではないか。
【ひとこと版】
多様な症状を呈する患者を広く網にかけ200以上あると言われる風邪ウイルスの検出を行うのではなく、特異的な症状を見つけることに集中するべきではないか。
指定医療機関から検体を提出させる5類感染症を現行のインフルエンザのみから10の疾病に広げる案だが、急性呼吸器感染症に風邪を含むため病原体としては200以上と言われるものが含まれることになり、対象機関の負担が大きすぎるため、サーベイランスは現行の感染症法とは別の枠組みで中核病院に絞るなどして行わなければ適切には行えないと考えるが、どのような体制を考えているのか?
【ひとこと版】
サーベイランスを真に適切に行うためには、現行の感染症法とは別の枠組みで中核病院に絞るなどして行うべきである。
検体に含まれる遺伝情報・個人情報の問題
指定医療機関から検体を提出させる対象となる病原体が現行のインフルエンザのみから200以上に広がることになるが、感染症部会委員からも指摘があるように患者の遺伝情報を取り除くのは困難な中、現実的に確実に遺伝情報を取り除く方法としてどんなものを考えているのか?
【ひとこと版】
感染症部会委員からも指摘があるように検体から患者の遺伝情報を取り除くのは困難な中、現実的に確実な方法としてどのようなものを考えているのか?
指定医療機関から提出させる検体の数が格段に増えることになり、個人情報である遺伝情報を確実に取り除ける保証がない中、ほとんどは長い診療時間を望まない軽症者と想定される患者に対して、検体をその後どのように取扱うのかを十分に正確に患者に伝えて同意を取るのは実質的に不可能と考えられるが、具体的にどのような方法を想定しているのか?
【ひとこと版】
提出検体の数が膨大となり遺伝情報を確実に取り除ける保証がない中、検体の取り扱いを十分に正確に患者に伝えて同意を取るのは不可能である。