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集中力と弛緩力
日頃はだらりと弛緩しまくってるぐらいの方が、ここ一番で集中力を発揮できる。日頃から肩に力を入れて緊張していたら、本当に緊張が必要なとき対応できない。
たとえば猫は「液体」と称されるほど平素ぐにゃぐにゃだらりとした生き物だが、いざ獲物を狩る時の動きは別人、いや別猫のように敏捷だ。
集中力というプラスのパワーを発動するには、弛緩してそのパワーを蓄える必要があるのではないか。
楽器の演奏も、弛緩が基本だ。初期設定としては、力を全部抜いて場に身を任せ、水に浮いているような状態をイメージする。
必要な時だけピッと筋肉をシメたり、体重を移動したり乗せたりする。筋力で自発的に動くのではなく、自分の外側にある「重力」みたいなものに身を任せて、音を出す。
言うのは簡単だけど、実際はあちこち力が入っちゃって、そう簡単に脱力なんかできない。
演奏における、こういう身体の使い方は、学生時代にピアノの譜めくりバイトで高橋悠治さんの隣に座った時「あ、なるほど…」と気づかされた。なんかふにゃふにゃした、猫みたいな人だと思った。
ところで、この「弛緩と集中の使い分け」は、音楽の演奏に限らず、思考全般にも通じるのではないだろうか。
思考力の総和は常に一定である。
日頃から気を使いすぎたり考えすぎたりしていたら、いざという時に集中して考えることができない。
だから日頃は、コンロにかけた鍋の事とか、家の中で眼鏡や鍵や財布を置いた場所とか、網棚に乗せた荷物のことなど、完全に忘れるぐらい弛緩していた方が、ここ一番では抜群の思考力を発揮できるはずだ。
平素からそういったものに関する「事故」が多すぎる当方の、これは単なる自己正当化だが……。
(2020.6.23)
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