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週刊ヲノサトル vol.2 (2018.10.8-10.14)

/量こそが質だ
/酒は偽物、酔いは本物
/おシャレな渋谷川
/生姜の保存方法
/多摩川花火大会
/パイロットが困る時
/渋谷駅阿鼻叫喚
/地理を把握する3つのパターン

10月8日 (月)

■ 学生の発表を見てて気づかされるのは、量こそが質だということ。思いついた一個のアイディアをそのまま持ってくる人と、100個も妄想が炸裂した上でその中の一番冴えたアイディアを持ってくる人の違いは大きい。グラウンド100周する人の1周と、1周しかしない人の1周は、全く質が違うのだ。

逆に言えば、才能よりもグラウンド100周できる元気の方が大事。アイディア100個出して蹴られても101個目を出せる図太さが。アントニオ猪木の「元気ですかー!元気があれば何でもできる!」ってキャッチフレーズは案外、本質を突いている。

作曲家も、天からメロディが降りてくるんですなんてのは虚言で、本当は100曲も200曲もトライ&エラーを繰り返すのが普通だ(真の天才は別として)ただ、そこまでやっていると突然「これだ」という最適解にたどり着く瞬間がやってくる。それは、限界まで走り続けた人間にのみ訪れるランナーズ・ハイにも似て。


■ 貧乏は恥ずかしくないが、貧乏くさいのは恥ずかしい。すぐそこに駐車場があるのに路上に違法駐車してる高級車とか、貧乏くさいですね。

10月10日 (水)

■ アイディアは打たれ弱い。せっかく開花しようとしてるのに笑われたり批判されると、たちまちシューンと萎んでしまう。開花期は「いいね!」「最高!」とアゲまくって、とにかく咲かせることが大事。大した花じゃなかったな、と冷酷に切り捨てるのは、咲いた後でいい。自分の中の、花畑の広さは大事だ。


■ 好きな言葉:「酒は偽物だが、酔いは本物だぜ」

客観的にみれば駄作であっても、鑑賞者が感動したならその主観的な「感動」を他人が否定することはできない、という話に読み替えてもいい。

もちろん、単に何を飲んでも酔っ払う飲んだくれの戯言と笑い飛ばしていただいてもけっこうです……。



いったん決めたルールに違反するから行動を変えられないと思ってしまう人は、その「ルール」と自分の一回限りの人生と、どちらが大事か考えた方がいい。映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の名台詞「掟なんて心得みたいなもんだ」ぐらい、いいかげんに考えていい。


10月11日 (木)

■ 帰り道、ふと見たら明治通り裏の渋谷川がおシャレになってて刮目。川沿いのお店はまだひっそりした感じだが、これから徐々に増えて盛り上がってくるのかな。道頓堀川みたいに両サイドにショップとか屋台とかできて、なんなら川に舟でも浮かべてくれたら…と妄想の広がる夜の散歩であった。↓

今のところ人出もそんなにないので、渋谷でデェトの際は食後の散歩なんかにおすすめのロマンティック・コースです。

しかし、映画も遊園地もいいけど一番デェトらしいデェトって「散歩」だと思う。ただ一緒に歩くだけ。歩きながらとりとめないことをボソボソしゃべったりするだけ。でもそれが楽しめる相手なら、ずっと一緒に歩いていける気がする。


■ ↓ 本日のおつまみはレタスと生ハムに、アスパラガスの下の方の硬いところを皮剥いて軽く蒸したやつを散らしてみた。いつもながら冷蔵庫の残り物。いつもながら味付けはワインビネガーと塩コショウだけ。(居酒屋さと吉)

ところで刻みレタスは、氷を入れた水に1分ぐらいつけるとシャキシャキっとなって美味ですので、お試しあれ。長くつけすぎると水溶性のビタミンが流出してしまうので、ササッとね。(豆知識)


■ ↓ ところでアナタ、生姜の保存方法を知ってますか?当方は知らずにキッチンペーパーでくるんだり冷凍保存したりと試行錯誤してきたけど、ネットで知ったこの方法が無敵。

タッパーに入れた水に浮かせて、冷蔵庫で保存するだけ。これで一ヶ月以上もちます!(豆知識)


10月12日 (金)

■  Eテレの打ち合わせに行ったら、非売品のステッカーいただきました。

『みいつけた!』来年で10周年。息子氏が小さい頃は視聴者としてお世話になったな〜。昨年は『おふろタイム』 編曲を担当。今後も制作に参加しますので、続報にご期待ください。


■ ↓ ラディウムーレントゲンヴェルケにて、佐藤好彦さんの『Model432001』展示を拝見。というか拝聴。たくさんのスピーカーからはイカしたノイズサウンドが流れていた。音響モノリスか。


10月13日 (土)

■ 

↑ 「出かけるときにカギが見つからない時は絶対にバイクに乗ってはならない」
これ大事!

あと警官の場合「今日は妻の誕生日だから早く帰るんだ〜」と同僚に嬉しそうに語った直後、突然発生した銃撃事件とかへの出動を要請されたら、絶対に出動してはならない。(死亡フラグ)


■ ↓ 『ソーシャリー・エンゲイジド・アートの系譜・理論・実践』

たとえば、<公民権運動 → フェミニズム → 移民の増加と都市の再構築……>といったアメリカ社会の流れと、ソーシャルアートの発展や問題系が、当方のような素人にもわかりやすくまとめられていて一気に読了。巻末の詳細年表も資料価値大。

巻末の年表も国内の項目が充実してて(特に90年代)「ギンブラート」「新宿少年アート」「スタジオ食堂」「秋葉原TV」といった歴史のミッシングリンク的なトピックが多数載っている。

あと、ものを作る人間としては、高山明さんの文章と作品に感銘を受けた。

彼はこういうことを書いている。政治は、生きている者はコントロールできるが、死者やまだ生まれていない者には力が及ばない。演劇ならそこにアクセスできる、と。

この「演劇」という言葉は「音楽」や「芸術」に置き換えてもいいだろう。


■ 「アートは問い、デザインは答え」とよく言われるが。自分なりに言いかえれば、アートは概念の発明で、デザインは方法の科学。アート作品にもそれを「デザイン」する技術は必要だし、デザイン仕事には「アート」のひらめきが役立つ。優れたクリエイターほど両方の資質を兼ね備えている。


■ 子供の頃TVで見た西部劇で、主人公が痛めつけられて痛めつけられて最後に大逆転するかと思ってたら結局殺されて、もっともらしく「当時の西部にはこのような無法がまかり通っていた…」みたいなナレーションが流れて終わってしまい、全身の力が抜けた記憶がある。あの映画は実在するのだろうか。


多摩川花火大会。ビールと助六寿司をいただきながら一時間たっぷり楽しませていただきました。肌寒い夜にも関わらず、二子玉川のストリートには浴衣姿も散見され、季節感の再定義をうながされた夜であった。


10月14日 (日)

■ 昨夜はパーティで、某航空会社パイロットの方とお会いしたので、ここぞとばかり「訊きたくても訊けないコックピットの裏話」を質問しまくった。ここに八谷和彦くんでもいたら、もっと専門的な話にツッコんでくれるだろうなーと思いつつ….。

「パイロットとして、いちばん困るのはどういう時ですか?」という質問には、天候不順などのトラブルで着陸できない時とのこと。飛行計画の変更や、地上との交信で、てんやわんやの大騒ぎになるらしい。乗客も予定変更で困るけど、何百人も乗せて飛ばしてるコックピットのストレスは尋常ではあるまい。

そんな時でも、機長の中には「おいでなすったか」「さて、どうしようかね(ニヤリ)」と余裕を見せるカッコいい人もいる、とのこと。乗客としては、そんな機長に命を任せたいものだ。

あと、オートパイロットといえば、コンピュータに操縦を任せて雑誌でも眺めながらのんびりしてるイメージがあるが、そんな事は全くなく、常に飛行状態をモニターし続けて何かがあれば即対応できるようスタンバイしているとのこと。オート状態で事故があれば、機械ではなく機械をコントロールできなかった人間の責任になるのだという。

そういった経験から、たとえば自動車に関しても、人間がモニターしないで任せっぱなしにできるような「完全自動運転」が可能になるのは、まだまだ先になるはずだ。と語っておられた。


■ ↓ 「渋谷は終着駅、乗換駅ではなく単なる通過駅に堕してしまった」

渋谷は、駅が谷底に位置する地形上、ショップも料飲店も駅から放射状に遠く散らばっている。そこにたどりつくには、今や観光客の撮影スポットとして阿鼻叫喚の戦場となったスクランブル交差点を越え、登り坂をてくてく歩かなければならなかったりする。そのうえ地下鉄プラットフォームが地のドン底に位置していたら、地上に上がる気なくしてサッサと別の駅に移動したくなるよね、そりゃあ。

さらに、工事のため常に地下も歩道橋もレイアウトが変更され続け、先週通れた道が今日は通れず「俺はメイズ・ランナーか?」と己を呪うしかない、ドM専用の駅に成り下がってしまったのは事実。


■ 仮説だけど、人間は「地図で上から自分がどこにいるか俯瞰するタイプ」「地上にいる自分の視点で進んでいく主観カメラFPSゲームのように地理を把握するタイプ」と「自分がどこに位置してるかまるでわからないタイプ」に分かれるのではないか。

ちなみに地図俯瞰タイプの当方は「コンビニが見えますか?そこを曲がるとポストが見えるので、次に…」と道順を言われるよりも「その地点から北に3ブロック、東に2ブロック進んだ交差点の南側にある古いビルが目的地です」みたいに、頭の中に地図が浮かぶ説明の方がわかりやすい。

一方FPSタイプの人は、目に見える目印を指示されないと迷ったりするのではないか。また何だかよくわからないタイプの人の中には、時として特殊能力者がおり、何だかよくわからないけどちゃんとたどり着く(もしくは永遠に着かない)。ちなみに経験上、外国語なんかしゃべれないのに現地でなぜか意思疎通できる人には、このタイプが多い。

そういえば手帳なんかも、システム手帳で項目分けして全体を俯瞰するタイプ、週間や月間のスケジュールを並べて管理するタイプ、特に仕分けせず雑然とメモして眺めてなんとなく使いこなすタイプ、とか分かれる気がする。自分の持って生まれたタイプと違うことをやろうとしても、上手くいかないし続かないよね。結局。


■ 映画『アンダー・ザ・シルバーレイク』 を観た

枠組みとしては『チャイナタウン』『ロング・グッドバイ』系の彷徨映画。デヴィッド・リンチ的な、解決しない謎とか思わせぶりな変態美女とかが好きな人には、たまらんかも。


■ 

アプローチや歩く道そのものは違っていても、絵描きも音楽家もダンサーも皆ある意味、同じ場所を目指している


それではまた来週。


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