【7wonders】第2版のあいなー的考察まとめ 2023/4/30追記
まえがき
こんにちは。
突然ですが、本稿が7wonders考察記事の最終回です
そういうわけで今回は7wonders2.0の総決算。この版の今までの記事まとめをしていこうかなと思います。どの記事読めばいいんだ!?とか、今見るとこの記事どうだろう、最新の各ルールの考察みたいな話を書いていこうかな。
7wondersの考察を求めてぼくの記事にたどり着いた人が最初に読めるような記事になればいいな~😌
オマケでBGAのアリーナでランカーを目指したい人向けの書き下ろしもつけておきました。7wondersを題材にしていますが、他のゲームの立ち回りを考える上でも参考になるのではないかと思います。
色々あるけどどの記事を読めばいい?
さっそくですが、各ルールについておすすめの記事を紹介します!
...と行きたいところですが、わたしの記事は基本的に初心者向けのものはありません。一度入門記事を書いてみましたが、あんまり初心者向ではない気がしたので以降このシリーズはエタっています😓
とはいえオタク知識が必要というわけではなく、100戦くらいやってもらえれば理解できる内容だと思います。そもそも7wondersはどういう流れで進んでいくのか(18回のドラフトと軍事フェーズ)、どんな文明がいるのか、お金の貸し借りのシステム、ギルドのシステム、くらいを抑えてもらえれば大丈夫かな。
細かいカード効果とかは都度説明があったりググってもらえばって感じなんだけども。
■3人戦
記事の紹介の前にかんたんなルールの特性を説明しましょう。
一番最初に説明するんで比較できないかもしれませんが、最もゲームバランスがよく、発展しうる要素もまだまだ多く、競技視点でこのゲームを評価するなら間違いなく1択になるルールです。
突き詰めると奥深いんですが、やってることはとてもシンプルなので初心者にもとっつきやすくて面白いルールだと思います。
とりあえず科学3セットを集めてみよう。age2の軍事を勝ってみようという目標が明確だし、初心者でもそれなりに目標を達成しやすいので、このゲームを普及する目的でも最も優れたルールだと思っています。
基本的に7wondersというゲームは、カードの効果で殴れるのが自分の左右2人になるようデザインされています。軍事は左右と戦いますし、ギルドも左右の持っているカードの枚数を計上しますね。また茶灰の貸し借りも左右としか行なえませんね。
いわゆる対面と呼ばれる4,5人戦での配置は、カードで殴れないので間接的に関わっていく必要があります。例えば対面の必要な資源を先に取ることで、対面がそれを取れないようにするとか。
3人戦は自分と左右だけで完結するので、自分の行動で全員を殴ることが可能なルールなのです!
この自分以外の全員を邪魔して勝つという立ち回りが面白いんですよね~。後述するルールではどうしてもどこかで自分の点数を伸ばす開拓が必要になるので、環境に追いつけない文明がいくつも出てきます。
今はBGA環境もそれほど成熟していませんが、もっと開拓が進んでいくと文明選択のじゃんけんであるとか、戦略選択の読み合いがめちゃくちゃ面白いゲームになると思っています。
では記事の紹介を
まずこの記事かな。考察初期の記事ですが今見てもよく書けているなと思います。ところどころ今と意見が違うところもありますが、この記事で初登場した得点優先、対立優先の考え方はすべてのルールの根幹として大事にしています。
本稿のオマケで詳しく触れますが、7wondersというゲームは大きく分けると得点を取るのか、邪魔をするのかの2行動の目的に行き着くようになっています。で、この選択のバランスが狂うと自分の点数が足りないとか、相手の点数に追いつけないなどの状況で負けてしまう。
次がこれかな。現状最新版の3人戦の考察記事です。
この記事で初登場した工房薬屋展開(科学しながら軍事を追う立ち回り)は、個人的にはこのルールを象徴するようなメタ戦略です。5人戦でも猛威を振るう立ち回りですね。
特にこの記事はメタゲームについて深く考えています。このボードにはこの文明を当てると経済的有利を取りやすいとか、そういう相性補完について語っています。いかにうまく資材被りしないボードを選べるか、埋め能力が低い文明に科学を当てれるか、など突き詰めるとボードのじゃんけんゲーになっていきますからね3人戦。
記念すべき初投稿の記事です。明確に意見が違う部分もあったりするので、どっちかというと読み物よりかな。
経済戦略で重要な需要と供給の概念であるとか、軍事の本質など、今でも重要な考察がちらほら落ちています。
■4人戦
さて、4人戦です。記事投稿中のシーズン8のルールですね。
まー過去の記事で4人戦の問題点はさんざん指摘してきたので割愛します。
面白いかどうかの観点で言えば、これも面白いルールですね。
ただし性善説が前提のルールだなと思います。いかに対面と協力関係を結べるかはプレイングの関与する部分ですが、それはそれとして全員に自分の順位を一つでもあげる努力をしてもらうことが前提にある。ようは全員がマジメにやるなら結構面白いルールだと思っています。
プレイヤー1人の行動による影響が大きい割に、対面がいるので1人のプレイングで全員にメタを仕掛けることができないからです。
この大会の最終戦とか顕著ですけど、ロードスとエフェソスが自分が一位になるための行動をせずに、誰かの邪魔をしだしたり、自ら不利状況に進んでいったりしてきたので下3人の醜い争いをせざるを得なかったわけです。一位にはなれないけど精神を使うゲームは正直苦しいですね。
3人戦もそういう状況はあるといえばあるのですが、利害の一致が起きるように戦略を分散するとか、そもそも最初から一人で全員をメタればよいとか色々対応はできるわけです。無茶な科学カットをしてくる間に軍事を抑えて両勝ちするとか、相手のリスク行動に対するリターンは十分に作れる。
後述しますが5人戦も同様に対面が存在するルールなので自分一人で全員を支配できないという似た問題点があります。ただし対面が2人いる、あるいは、対面1人の行動の影響を受けるのが自分と左右どっちかの2人になります。
前者のケースでは対面同士で対立しあうこともあるわけで、そのあとの展開がどっちにも転びやすい。後者の場合、対面のひとりが暴れた時に自分と片方で読み合いをすることができます。ここで片方を詰ませられれば有利な展開を色々作ることができるので、1人増えるだけでだいぶん違うわけですね。
そういうわけでアリーナでランカーを目指すなら、プレミアムアカウントのレート制限がないとしんどいのではないかしら。
記事の紹介を。
現状最新版の4人戦の記事です。4人戦の特徴に関してはこれでだいたい網羅できているかなーという気がします。この記事の前提となる記事があるのですが、科学起点にゲームを俯瞰する、という考え方さえ抑えてもらえればいきなりこっちの記事にいっても問題ないかな。
4人戦の戦略面はどうでしょうね。この頃より考え方が変わってきているかもしれません。
現状4人戦で信じられるのは経済戦略だけだと思っています。自分が不利な状況を有利状況に持っていくような一発逆転・メタ行動が安定しないし、相手の行動をコントロールすることも難しい。特にコイン(資源)を制限される立ち回りは対処困難なので、自分の支出を減らすことを意識するしかないです。つまり資源を厚めにする。(≒資源集めくらいしかやることがない)
無茶な競合が一番マシという詰み配置もありますが、基本は経済不利になる競合をするくらいなら点数や軍事で負けようが経済面をしっかり整えてAge3のドラフト運にすべてをかけたほうがマシという認識。適宜灰をとって左右に支払わないようにする。資材負けしたら交易場から入りつつダブランの補完もしてしっかり資材を集める。逆にライバルになりそうな位置への支払いを徹底的に拒否する。など
もうひとつ意見が変わってきたのは、左右を枯らすよりも左右に負荷をかける方向で対立するほうがwin-winで収まることが多いかなという点です。
つまり灰ラインですね。この考え方は読み合いの一つとして持っておいてもいいのですが、枯らすだけだと自分の消費を減らす術がなくなるので、逆に左右より先に灰をとって左右から集金or左右に金を払わないほうが良い場合もあるなということです。
Age2の左位置に対する織物カットなどカット>スティールな状況もありますが、自分の支払いが増えるリスクとAge3のドラフト力向上のリターンどちらを取るか次第な気がします。
あとは対面と科学競合をする場合ですかね。みんなデュアランを取れたかどうかで軍事をするか科学をするかを決めている節があり、配置的に苦しくても勝手に軍事を諦めてくれる場合もあるなと思います。
なので初手でデュアランを引けているなら軍事の道はあるのか、対面の様子を見てから科学を始めてもいいのでは?とか色々考慮するようにして詰んでるオープニングでなければ最速で科学競合しないようにしています。
あとは経済面を第一に考える都合上、消費が激しい文明はこのルールで選択するのはほぼ無理だと結論づけました。具体的にはバビロン☀やロードス☀あたり。デュアラン勝ちが前提にあったり、資金集約などの経済的対立手に抗戦できない文明をこのルールで活かすのは難しいです。
オタク向けの記事です。
経済がかなり重要なルールであることを教えてくれたnoteです。他にも色々考察のネタになる示唆が転がっているので、ある程度ゲームを極めてきたら見てみてもいいかもしれません。データ眺めるだけでも面白いのでおすすめの記事です。
まー結構難しいルールですね。
■5人戦
最後に5人戦です。このルールだけ一本通して書いた記事がないので、ちょっとだけ補足を入れますね。
5人戦はよくカオスルールと揶揄されたりするわけですが、ある意味では正しいものの、本質は真っ当なゲームだと思っています。自分起点で読み合いを仕掛けて不利配置から勝ちを狙うことも可能です。
結論をいうと、3人戦がマクロなメタゲームをするルールで、5人戦はミクロなメタゲームをするルールだと思っています。今までのルールの中だと一番対戦ゲーをしている実感があります。
3人戦はじゃんけんだなんて話をしましたが、文明間の相性が露骨に出ます。チョキ相手にグーの力で圧殺する。グー相手にパーで圧殺する。といった自分の役割を目一杯引き出すのが重要なわけです。ロードス相手にバビロンの科学性能を引き出せば勝てます。アレクサンドリアをロードスの軍事性能で黙らせれば勝てます。これは面選択、配置の時点で自分のじゃんけんの手が決まるということで、1試合の中でそれを押し付ければ勝てるわけです。
5人戦は逆に、1試合の中でじゃんけんの手を決めるゲームだと思ってください。超動体視力でパーを出してくる人が3人いることを瞬時に把握し、チョキを出して一人勝ちするゲームです。
ほかにもアピールポイントは多数。たとえばボードの強さってどのルールでも大体同じなんですが、このルールは3,4人戦で最弱レベルのボードが強いです!色々理由はあるんですが資金資源面での格差がだいぶ是正されたので実際使えるのかどうかみたいな制限がなくなり、純粋にwonderの性能の高さを評価しやすくなったのがあります。
そして個人の行動よりも全体の動向のほうが重要なあたり戦略的視点が違うのもアクセントですね。
引けば勝ちのカードで勝負を決めるのだ!な過去ルールと違い、強いカードはどんどん配るぞ!なスタンスなのでシャッフルとか配置の運が少ないのもかなり面白い部分です。大事なのは強いカードを持ってるかどうかではなく、自分がどういう戦略的ポジションを取れているか。陣取りゲームの側面のほうが強いのかもしれない。
順を追って説明しますけど、そもそもカオスって言われる一番の理由は、同種のカードが複数枚投入されたカードプールになっているので、どこかしらで科学競合が発生する仕組みになっているからですね。しかし競合全員が科学3セットで勝つほどの枚数はないので、科学だけでは点数が伸びず単純には勝てなくなってしまった。今までのルールみたいな3セットという明確な目標がなくなってしまったわけですね。
一方で、軍事側は新たに「試合場」という目標が与えられるので軍事全勝にメリットが生まれます。かつ、Age3に大量の軍事が投入されるため、最後まで殴り合いをし続けることが増えました。Age3の殴り合いに勝つためにAge2の殴り合いに勝っておくとかいうバイオレンスが正義です。今までは科学横の配置は安く片勝ちして青を大量に取る立ち回りが安定しましたが、それがやや難しくなりました。
赤1枚につき1点3金。実質1枚2点ですね。
そんなわけで一人一役の役割分担をするゲームではなくなったわけです。どこで競合が発生するかわからないし、人数も多くてごちゃごちゃした盤面になるのでどうやって立ち回ればいいかがわかりにくい。
このルールで最も重要な原則を述べます。
・メジャー集団に寄ると競合が発生して損をするので、全体の動向をみてマイナー集団のポジションを取る
・科学は固まるべし
このルールでよく発生する、赤1-緑対面競合2-赤2という、いわゆる赤の孤島の分布を考えてみます。
こーいうやつ。孤島が一人勝ちする事が多い
基本的にはアレクサンドリアの位置が安く軍事全勝し、哲学のリターンも高く最有利になりやすい。科学サイドは互いに3セットはできないけど、自分が科学をやめると相手が科学を独占して強くなりそうだからやめられない袋小路にいます。
この分布、科学視点で正解のケースと失敗のケースが別れます。
まず正解のケースは赤陣営の軍事欲が高い場合。例えばオリンピアの位置がロードスとバリバリ殴り合いをしたいひとだったとしましょう。で、ロードスも絶対に負けたくなくてやりあう。その場合ハリカル視点下手に軍事で刺激してもオリンピアに台無しにされる可能性が高いし、アレクサンドリアも軍事全勝を狙いたい位置です。
しかしこの場合、点数カードが赤2の島から流れてきやすいので、科学とそれらを抑えていけば軍事で勝てずとも絶対値で勝てることもあります。
これは全体の動向において「軍事絶対勝ちたい!」がややメジャーな思想のため、ひっそり点数を拾いにいったほうが効率的であるといえるわけです。とはいえハリカルバビロン不利の状況であることは変わりません。特にAge3で赤2の島の反対にいるハリカルが最不利位置なのは変わらないです。流れてきた点数カードもアレクバビにスティールされちゃいますからね。
失敗のケースは、赤陣営が利害の一致を目指す場合です。わかりやすくするためオリンピアをギザにしてみます
アレクサンドリアは同じく色々有利をとりたいわけですが、重要なのがギザ-ロードス間で利害を一致できること。ギザはハリカル方向に安く勝ち、ロードスは安く軍事全勝する。この場合ロードスもギザも無駄な手番を消費しないためどんどん赤陣営の平均得点は高まっていきます。この状況でハリカル-バビロンで科学競合に専念するのは完全にババです。4,5位決定戦といいかえて差し支えないでしょう。
これどういう状況かというと、「安く自分の得点を増やしたい!」がメジャーな思想になっているわけです。
アレクサンドリアとロードスは安く全勝してできる限り点数を拾いたい、ギザも片勝ちだけは守って点数手番を増やしたい。科学2人も無駄な軍事手番を使わずに点数行動(科学)だけで勝ちたい。点数優先の思想が競合してしまっているため、損をしているわけですねえ。
この場合マイナーな集団はどこになるのかというと、「軍事絶対勝ちたい!」になるわけです。ここで、よく盤面を見てほしいのですが、ギザはハリカルロードスに囲まれている最悪の軍事ポジ位置にいます。ハリカルが軍事交戦する素振りを見せたら十中八九軍事を諦めて青に専念するでしょう。全員の戦略の色を変えずにハリカルの思想だけ変えるとどうなるか。
少なくともギザ相手に負けないポーズを見せれば、ギザが軍事を諦める可能性が高くなります。そうなるとハリカル視点は色々戦術の幅が広がっていきますね。
まずアレクサンドリアが軍事勝ちにこだわらない場合。結果的に安く軍事全勝できる可能性が高まり、現時点の孤島位置であるロードスと同条件の位置に立てます。これは明確な有利状況ですね。
逆にアレクサンドリアが軍事にこだわる場合。この場合はギザ方向に安く片勝ちを通しつつ、緑や青などその時一番強いカードを取ればよいです。Age3で上家のアレクサンドリアが軍事と点数カードの択で軍事を選んでくると、強い点数カードが流れてくることが増えるので、これはこれで悪くありません。
どちらにせよ、点数源として科学を採用しておけばバビロンとの科学競合を続けられるのでバビロンが科学独占することもなく、バビロンだけ軍事全敗で点数が落ちている状況に持っていけます。
これがこの原則1です。
次に原則2を説明しましょう。こんな配置を考えてみます。
これは7wonders自体の原則ですが、科学は灰を占有したほうが有利です。ハリカルが科学をするために灰から入ったら、エフェソスが上から借りて科学競合をしてきたケースを考えてみましょう。
いつもの3,4人戦ならこの時点で科学を諦めるか一種単競合に切り替えるかするのですが、5人戦なら別に問題なく競合できます。Age2終了時点で5枚くらいは集められるでしょう。
エフェソスはこのとき無茶して競合してきているので、軍事にかまけている暇がないことが多いです。その隙に連鎖軍事で科学競合相手に安く軍事を勝ちながら、青とか緑を適当に拾っていけば良い。
このとき左右科学競合で灰を占有しているはずで、ロードス一人だけが詰む4人戦っぽい状況になります。4人戦と違うのは、5人戦は灰がなくてもギリギリ最後まで走れるという救済措置がある点ですかね。
これなにが素晴らしいかというと、さっきのケースで見た「科学しながらギザに安く勝ち続ける」のと同じことをしているのです。このルール軍事枚数が多いので安く勝ち続けるのは難しいという話を最初にしましたが、このように仕組みとして左右が軍事をしにくい状況を狙って作ることが可能なのです。
その上で科学という高火力ではないものの安定した点数ソースを持っているため点数レースでも負けにくい。軍事陣営が3並びになるので勝手に自滅してくれる可能性が高まる。最後に哲学という比較的伸びやすいギルドを科学をしながら拾うことができる。
はっきりいってパーフェクトです。これがこのルールにおける○権ムーブであると断言していいです。これが安定してできる上に、ドラフト事故の多いこのルールと墓地回収が噛み合うハリカルはまさに○権。権力の申し子です。
ところで、ロードス位置も過度に不利すぎないのも重要ポイントです。軍事を頑張れば試合場というご褒美がありますし、ロードス位置が灰の依存度が低いオリンピア☀とかギザ🌙などの文明だと全く問題なく立ち回れるので公平性もややある。
まあ今後の環境次第では左右科学競合同士で軍事も争い合う泥沼に発展する可能性はありますが、その場合は若干科学が競合から流れてきやすくなるはずなのでその時はうまく科学側に寄ったり、逆に軍事厚めで競合に圧をかけたりとその場その場での調整が大事になるでしょう。
これが5人戦の原則2です。
実際にやってみた動画です。競合が軍事厚めにしてきたので対応したパターン
最後にまとめ的に特徴を。
記事の紹介もドンッ
あんまり時間がなかったのでショート版ですが、要点は抑えていると思います。今回の補足も合わせて解釈してもらえると助かります。ごめんね。
2023/4/30
引退宣言を出した後ですが新しく記事を書きましたのでこちらも紹介
【オマケ】7wondersを理解するということ
最後にこれから7wondersを頑張っていきたいというプレイヤーに向けて最も大切だと思うことを書きます。具体的にはアリーナでランカーになりたい!と高い志を持つ方々です。
おまけの前書き
今まで自分のことは書いてこなかったのですが、ランカー向けを謳う強気の記事なのでいろいろ実績を書いておこうと思います。
最終TOP10に掠ったことがあるのが3,5人戦。4人戦も最終TOP20は目指せるかなくらいの実力だと思っていただければ結構です。
まあぶっちゃけそんなに強くないんですけど、全ルールでそこそこ実績があるのは強みだと思っています。理論の箔付になれば。
本題
さて、わたしがこのゲームの考察を始めたきっかけは、7wondersとはどういうゲームなのか?を探ることでした。
どーいうゲームってなんだいと思うかもしれませんが、あえて景色という言い方をしましょうか。7wondersというゲームはどの景色を見られれば勝てるのかということです。
考察の目的とは、「ある景色がどこにあるかを明瞭にすること」です。北なのか南なのか。景色の方角がはっきりしているのであれば、あとは道のりを選択するだけです。方角さえあっていればあとは効率の問題で、遅かれ早かれ目的地にはたどり着けるでしょう。
逆に目的地の方向を間違えているなら、一生たどりつけないでしょう。
景色のある方角に向かって歩くのです。
なーにをいってんだいあいなー。なんて聞こえてきそうですが、
オマケのテーマはズバリ「考察のやりかた」です。
ある景色が北海道なのか、沖縄なのかは重要ですしそれは今までのnoteやyoutubeなどでお伝えしてきたのですが、たとえばなぜ北海道に行くべきなのかの部分はあまり認知されてないのかもと思ったりします。この辺が7wondersを実際にやる上でのピックの考え方というか、立ち回りの体力になってくるなと思うわけです。
そういうわけで、そもそも7wondersを理解するってなんだいというトコロをなぞっていきたいなと思います。
■7wondersなんもわからん
突然ですがダニングクルーガー曲線はご存知ですか?
完全に理解した
なんもわからん
チョットワカル
でおなじみのやつです。
画像検索から引用
なんとなくゲームになれてくるといくつかの立ち回りが目につくようになると思います。例えば3人戦だとダブランカットが有名ですね。ロードスのダブラン石カットを通せたらほぼ無力化できます。
こうした○○やってれば勝てるじゃんという気づきから7wonders完全に理解した!!と自信を持つようになります。
しかして私も以前そうだったんですが、味をしめてこのカットの立ち回りをどこでもかしこでもやってしまうと、いずれそれだけでは勝てないゲームに直面します。(別に悪いことではないです。)
しかし自分がロードスなんかを使っていると、依然としてカットの立ち回りは恐怖でしかありません。同じ立ち回りのはずなのに自分がやるとなぜか勝てなくなる。こうなるとなにを信じていいのかわからなくなり、なんもわからん状態に陥るわけです。
この状態が長らく続くと、しばらくして革新的な事実に気づくでしょう。なぜカットだけでは勝てないのかが理解できるようになり、以前よりずっと正しく盤面を評価できるようになってくる。この段階になるとだいぶ謙虚になるので7wondersチョットワカルなんて言いだしたりします。
こうした革新的な事実をどうやって見つけるか。
大抵の場合は暗黙知の積み重ねでふと気づくわけですが、そのプロセスでは何が起きているのか。
■レイヤーという概念
まあここまで書いといてなんですが、私の考察のやり方は読書から学びました。ゲームの考察に限りませんが、なにかを考えるときに最も大切にしている二冊を紹介します。
アフィリエイトではないので安心して飛んでください。
具体と抽象が今回取り扱う話の元ネタです。クリティカルシンキングは統計的なものの見方であったり、きちんと因数分解できるのか、その他諸々の観点で思考を突き詰めた本です。本書では割愛します。
前者の趣旨を要約すると、物事には具体と抽象というレイヤーがあって、その枠組の存在を理解して議論したり、考えたりすることが重要となるということです。あるいは、具体と抽象の反復が物事を理解する効率的なアプローチである。
たとえばですけど、「好きな食べ物はなんですか?」と聞かれたら少し回答に困りませんか?(困ってください😅)
主食なのかデザートなのか。主食の範囲でも肉や魚がありますし、デザートも天然物か加工品かで変わってくる。質問がざっくりしてて質問している人がどういうニュアンスの答えを求めているかがわかりにくい。
もう少し範囲を狭めて「好きなデザートはなんですか?」はだいぶ応じやすくなりますね。更に狭めて「好きな果物はなんですか?」はさらに答えやすくなります。
これを逆に紐解くと、こんな感じの構造になると思います。
ここで重要なのは具体的な存在である「りんご」は、それを包括する抽象的な(ざっくりとした)カテゴリに属することができます。「果物」ですね。
またある抽象的なカテゴリも、それよりさらに抽象度の高いカテゴリに属することができ...と木構造的に物事をつなぐことができます。
逆にりんごってなんですか?って聞かれたとして、
食べ物です!と答えるのは間違ってはいないものの、
果物です!のほうがしっくり来ると思います。これは果物のカテゴリのほうが食べ物のカテゴリよりも具体的であるからです。
とはいえりんごは果物であり、デザートであり、食べ物であることはすべて事実です。具体的な名称がりんごであり、抽象的な表現が食べ物であるというだけのことです。
逆に肉や魚に穀物、バナナ、りんごはどれも「食べ物」を具体的に表現したものです。
ダラダラと何の話をしているのかというと、
より抽象的なレベルで仮説をくくることが考察において重要な観点であることを説明したいわけです。
■仮説をレイヤーで区切ってみる
例を出してみましょう。7wondersというゲームの一番の目標は1位になることです。これが最も抽象的な目標であると言いかえられますね。
そりゃ勝ちたいけど、具体的にはどーすりゃいいのさってね。
1.1 とりあえずブレインストーミング
では我々の知る勝つための知識を色々挙げてみます。とくにレイヤーなどは考えずに色々出してみる。
ハリカル最強とかいう漠然とした知識
1.2 並び替えてみる
前述したように、物事は具体と抽象のレイヤーに並び替えることができますね。わかりやすいところからこの並び替えをしてみます。
例えば点数を稼いでいるときの具体的な例はなにか?というと、まず「軍事全勝」が浮かびます。初心者の対戦だとまずまずロードスに負けがちですね。逆に「科学3セットを揃える」もわかりやすい脅威です。
あとは「軍事1枚で片勝ちできる」をし続けたギザが60点を超えてきて負けることもよくあると思います。
では余った「隊商宿とデュアランが取れるとき」の利点はなにか?を考えてみるとこんな感じになる。
※この例はそもそも資材数の限られる3人戦を想定しています。
「デュアランが取れなかった人よりも相対的に強い」とは、資材負けしている人よりも多くのカードが取れる or 借りる額が減るの意味で相対的に有利と捉えてください。
1.3 関係をつなげてみる
さて、今2つの木ができたわけですが、隊商の話と軍事全勝の間にはなにかしら関係性が見えてきました。どう繋ぐのがきれいかなぁとこねこねしてみるとこんな仮説がたちます。
下のような理屈で繋がるのが美しそうです。
1.4 線引がおかしいような?
しかし、もともとの図だと「隊商とデュアラン」のレイヤーの下に軍事で勝ちやすいという事実があるのでは?と疑問をもつかもしれません。
軍事全勝するために隊商デュアランを抑える利点は軍事で勝ちやすい???
この線引は正しいですが、「点数を稼ぐ」がテッペンにくる木構造とはレイヤーの順序が逆になっていそうですね。
上の図が表しているのは「隊商とデュアランを取る」という手段は、どういう目的(利点)のために行うのかです。目的と手段は目的のほうが抽象的なレイヤーですので、「点数を稼ぐ」がテッペンにくる木構造と向きを合わせるならこう表現されるべきですね。
どっちがより抽象的な事柄なのかは間違えやすいので、こんな感じで実は逆だったなんてこともままあります。
1.5 改めて2つの木をくっつける
で、本来議論していた話に戻ります。そもそもなんの話だったのかというと、1位になるためには具体的にどうしたらいいのか知りたかったのでした。
途中割愛しましたが、「目的:1位になる」→「手段:点数を稼ぐ」の関係性は明白ですね。7wondersは細かい話を抜きにすればとにかく点数が高ければ1位になれるわけです。
では、ここまで議論してきた木構造を、点同士で結びつけてみます。ちゃんと順序があっていればテッペンに目的がきて、一番下に具体的にどうすればいいのかが書かれているはず
ふむふむ。
まあ線でつながっていない部分は一旦置いときましょう。
少なくとも、なぜ「隊商宿とデュアラン2枚を取る」ことができれば1位になれるかはわかりやすくなりました。
点数を稼ぎたい → ので軍事全勝したい→ ので隊商とデュアラン取る!
一方で、「隊商とデュアラン2枚を抑える」という項目の目的で挙げた「資材負けした人よりも相対的に強い」とか「大体のカードを無料化できる」といった項目が余った上位レイヤーの目的と結びつくとは限りません。
どこに来るかはわからないけどこれはまた違うレイヤーの観点であることが推測できます。これらの項目は、まだ考慮していない目的を達成できる可能性があると言い換えてもよいでしょう。
■戦略と戦術
ところで、我々は経験則的にデュアランと隊商を取れれば確実に勝てるわけではないことを知っています。
まあかなりレアケースですが、こんな負けパターンを想定してみましょう。
このパターンはなぜ負けてしまったのか?
まず科学に点数で劣っている時点で、必要な点数を稼ぎきれなかったことがわかります。なぜ点数を稼げなかったかというと、一番の理由は軍事点が低かったから。デュアランと隊商その他にも軍事で勝つために色々資源をとったものの軍事で勝てなかったわけです。
「目的:点数を稼ぐ」→「手段:軍事全勝」を満たせなかったから負けた。
他にも色々要因が考えられますね。
軍事の準備に注力して点数カードを取る暇がなかった。
科学をカットする余裕がなくてバビロンが好き放題点数を伸ばせたから。
エフェソスが勝率度外視で軍事で張り合ってきたので消耗した。
...など。
こうして要因をテキトーに挙げてみると色々見えてくるものです。
たとえば、エフェソスが軍事のやる気が満々であるならどうあがいても点数効率を伸ばすことは難しいです。軍事を両勝ちするのにたくさんの軍事を必要とします。
それなら逆にデュアランと隊商を抑えたあと、無理に軍事で張り合わずに青を抑えてもよかったかもしれません。
しかし、カットする気のないエフェソスと、片勝ちで青を拾い続けるロードスでは、誰にも邪魔されずに科学を積み重ねるバビロンを止めることはできないでしょう。
話をまとめます。そもそもなぜデュアランと隊商を取るのが強いと思ったのかというと、一位になるためには点数を稼げば良いと考えたからです。しかしエフェソスとバビロンとロードスで構成されるこのゲームの条件下では、どうあがいても安定して点数を稼ぐ手段がなさそうです。エフェソスに点数を落とされるか、バビロンの点数効率に勝てないか。
これはつまり目的と手段の行間が成立しないから生じた現象なワケです。
今回のゲームを構成する要素として文明の引きとか配置とか色々あるわけですけど、そのうちの一つが「右の人の軍事意欲が強い」であったわけです。
これはわかると思いますが、何が何でも軍事で勝とうとする人の横にいると色々無駄になりやすい。盾4差をつけていてもage3で軍事2枚を取ってまくってくるとか効率度外視な行動をしてくる可能性が高い。
なのでこのゲームはそもそも、「目的:点数を稼ぐ」→「手段:軍事全勝」というルートを通すことが難しいことがわかります。
であるなら、「条件:右の軍事意欲が高い」ゲームでは、軍事全勝を通すための手段として紐づく行動もまた非効率な行動であると経験則的に考えられるわけです。
age1で大量の茶色をとったことは無駄だったかもしれません。逆に青を取らなかったこと、科学をカットしなかったこと、灰を取らなかったことなど今回選ばなかった道が正解だったかもしれません。(それらの道がどの目的に到達するかは別問題として)
ここで最初の食べ物の例で今の話を考えてみましょう。
かいつまんで言えば、「どんな食べ物が好きですか?」と聞いてきたひとが知りたかったのは好きなデザートであって、主食ではなかったというのが今回の話です。だから牛肉とか、まぐろなんて答えはすべて質問者的にはNGな回答だったわけです。その回答がどの目的に繋がっているべきかを知っていればよかったわけですね。
同様に、もし「隊商とデュアランを占有できれば強い」という先端の情報しか知らななければ、なんでそれを満たしたゲームで負けたのかを分析することができません。
逆にどうすれば一位になれるかを知っていれば、今回は隊商・デュアランにこだわるよりも妥協して軍事とる、隊商・デュアランにこだわる場合は軍事を妥協して青を取る、どっちも妥協して青とカットを両立する、のどれを選ぶべきだったかまで絞ることができます。
具体的なケースをいくつか見て理解を深めていきましょう。
仮にロードス・ギザに挟まれたオリンピアがいたとしましょう。
このゲームは配置や組み合わせだけではまだどうなるかわかりません。
2-1 ケース1:一般的なロードスーギザーオリンピア盤面
ふつうはロードスが軍事、ギザが片勝ち青と競合を避ける可能性が高いですね。どっちの文明も点数を稼ぐ手段としての「手段:軍事全勝」「手段:安く片勝ち」が強いためいろんなパターンで60点を超えてくる可能性があります。
ここでオリンピアが2者との衝突を避けるために「手段:科学3セット」を選んだとしてもオリンピアの科学性能ではセットを揃えきる、揃えたとしても高得点を出すのはなかなか難しいのではないかと思います。
ワンチャンスあるとすれば、ギザに安く点数を与えず、ロードスよりも相対的に点数が高ければ勝てるので、「目的:点数を稼ぐ」よりも「目的:全体に相対差をつける」を狙いに行くほうが現実味がありそうです。
急に出てきた「目的:全員に相対差をつける」ですが、その勝ち筋のうち「手段:軍事全勝」は有力な選択肢の一つです。
前回のケースで説明しましたが、ロードスは特性として「手段:軍事全勝」以外で「目的:点数を稼ぐ」選択肢が弱い文明なので(※できないとはいってないよ)
おそらくロードスとオリンピアで軍事全勝を目指したいという思惑は競合します。そうなるとオリンピアが安く勝てることはまずないので「点数を稼ぐ」目的のための「軍事全勝」は通らないでしょう。ただ軍事で勝てさえすれば「目的:相対的に勝つ」をロードス方向には満たせる可能性が高くなる。ギザはわからんですね。軍事両勝ちを取るために資源と軍事を取りまくってる間に、ギザが青を大量に抱え込んで擬似的な科学ポジションになると絶対値で負けてしまう可能性はあります。
まとめると、ここでオリンピアが言えるのは軍事全勝できればロードスに相対差をつけれることだけであって、ギザの「点数を稼ぐ」勝ち筋には関与しにくいということです。
2-2 ケース2:ギザが軍事意欲の高いプレイヤーだったら
逆にケース1を想定していたら、ギザがめちゃくちゃ茶色を集めてきたり、軍事を優先して取るなど、軍事意欲が強そーな気配を感じたとしましょう。その場合はどうなるでしょう。
ロードス視点だと、理屈の上では片勝ち青で大量の点数を稼ぐ力が弱いです。少なくともギザには殴り勝って相対的にギザの点数を落とすしかないと考えるのではないでしょうか。ギザに相対差をつけられると点数勝負で追いつけませんからね。
戻ってきてオリンピア視点では、ロードスとギザがバチバチにやりあうのが見えているので、若干科学をカットされる可能性が低くなりそうです。「目的:点数を稼ぐ」→「手段:科学3セット」という道筋がやや太くなるのではないかと考えられるわけです。
他にも左右が灰を集める余裕がなくなるので、灰の需要を占有できる可能性があります。3人戦は自分しか○○の資源を持っていないという状況をつくりやすく、相対的に経済的有利を得やすいわけです。
なので「目的:点数を稼ぐ」→「手段:科学3セット」と「目的:全員に相対差をつける」→「手段:灰の需要を集める」を両方追うことができる科学を選ぶのが、大局的には最適であることがわかります。科学をする過程で灰を全種集めますしね。
なのでケース1の条件下での科学は最適な選択とは言い難く、シャッフルの運とかギザロードスが結託して科学を止めに来ることを想定するならむしろ軍事をしたほうがマシであるといえます。(ギザロードスは互いに衝突を避けるので手番の余裕があるから)
相手が上級者になってくると間違いなくカットは通してくると考えると、脳死で科学を選ぶよりかは...と考えてしまいます。しかしてケース2のような条件が見えてくるなら、自信を持って科学を選んでも良いでしょう。
あるいはそれらの折衷案として、ギザ方向に片勝ちしつつ灰の需要を独占する第三の選択肢も見えてきますね。「目的:点数を稼ぐ」→「手段:安く片勝ち」を単独で満たすのは難しいですが、「目的:相対差をつける」→「手段:灰を独占する」を同時に追うことができれば、足りなかった点数分を相手の点数を下げることで帳尻を合わせることができるでしょう。
ぼく的にはこの「点数を稼ぐ」、「相対差をつける」の両方を追う立ち回りが硬派だなと感じます。君が科学妨害するならこっちは軍事勝つけどいいの?みたいな読み合いはとてもセクシーだと思うね
2-3 戦略と戦術
ところで、わたしの中で戦略と戦術はこういうイメージを持って使い分けています。
すごくざっくりいうと、手札を見てその場で何をしようかなと悩んでから決める行為はすべて戦術だと思っています。最終的に1位になるっていう目的を達成するためにグラフの頭から先まで引いた線一本一本が戦略というイメージ。
たとえば「目的:点数を稼ぐ」→「手段:科学を通して勝つ」という景色を描けているからこそ、「手段:科学を通して勝つ」→「手段の手段:ダブラン石カットでロードスの科学カットを防ぐ」という戦術を選べるわけです。
ロードスのダブラン石カットはロードスを機能停止させることが目的であって第三者には影響がないので、第三者に対しても軍事で勝ちたいなと思っているなら戦術が破綻しています。自分がダブラン石カットしてる手番で第三者に軍事負けしてしまいますからね。
あるいは第三者が科学なら、ロードスのダブラン石カットは科学の妨害能力を奪ってしまうので、これも戦術として破綻していることが理解できると思います。
このゲームのオリンピアはおそらく○○の勝ち筋しかないのでそれを追うために科学しましょう・連鎖だけで生きていきましょう、というグランドデザインを描くことが戦略です。
ターン経過ごとにプレイヤーの特徴がわかってきたのでAge2は軍事スイッチの方針に変えて、Age2終了時点で軍事全勝の盤面を作って「目的:相対差」の勝ち筋を追ったほうが強そうだなと地図を書き換えるのは戦略の転換であるといえます。
わたしの昔の動画ですが、2ゲーム目のアレクサンドリアはまさにこの戦略の転換を行ういい例です。
もともとグランドデザインとして「目的:相対差」と「目的:点数を稼ぐ」の両方を追う手段として「手段:軍事全勝」を追っていたけど「条件:思ったより全員の軍事圧が強い」「条件:Age1時点で資源・点数で負けている」などの要因があったので、「目的:点数を稼ぐ」→「手段:科学」が勝ち筋だなと方針を変えているわけです。
たぶんこのときの脳内
これはオリンピアの連鎖だけで行きていくゲーム。
オリンピアの勝ち筋として、「目的:全員と相対差」をつける景色を描いていたので、迷いなく「手段:バビロンの灰を奪う」ことでバビロンの科学能力を奪い、「手段:ロードスのダブラン石を捨てる」対立によってロードスも機能停止。そのうえでダブルアップの「目的:全員と相対差をつける」ための「手段:軍事全勝」を通す。
これにより、自分以外の全員に対立して相対的に勝てた、という動きができていることがわかるのではないでしょうか。
わたしはよくこの科学軍事の立ち回り(工房薬屋展開)を推しています。その背景としてはアレクサンドリアやオリンピアなど絶対値を伸ばしにくい文明でも全員に相対差をつけれる可能性があるからですね。
全員の邪魔をして勝ったカンジ。怪しい立ち回りも全部通せた
正直youtubeに残す動画はちょっとインパクトのあるゲームを選びがちなんですが、私はどのゲームも本心ではヤバイ戦略だとは思っていません。
これは科学ギザでミスらなければ1位だったゲームですけど、大切なのは「目的:全員に相対的に勝つ」ために「手段:対面のエフェソスに軍事をさせる」という絵を描いているから、その手段として「灰占有」「科学」をしている。
この絵が大切なのであって、科学ギザという戦術自体には価値はありません。どこでもかしこでも科学ギザを狙って強いわけではないですからね。
■考察とは戦略を描くための材料探しだ
とまあちょっとごちゃごちゃした話になってきたわけですが、話を整理すると、一つ一つのゲームで景色(戦略)を描いて、そこから道のりを逆算して毎回のピックを考えるのが大事ということです。で、一番伝えたいのは思考のバイアスに気づけるようになろうということです。これこそが7wondersの体力につながる最も重要な部分だと思います。
※ここから先は上記を踏まえた主観を語っていきますのでご注意。
ここまでざっくりと戦術(立ち回り)ありきで考えるのは良くないよという論旨で進めてきたわけですが、アリーナで遊んでいるとたびたび派手な立ち回りが有名になったり流行ったりしますよね。
そういう流行りの立ち回りとか、あるいは自分が信じている立ち回りでもいいですけど、それらは本当に「点数を稼ぐ」「相対差をつける」という1位になるための2大目的を達成できていますでしょうか?
ぼくはなんとなく噛み合ってることも多いんじゃないかなーと思っています。あるいは相手が変な行動をしたから2大目的を満たしてしまっているだけで、本当は強くないんだろうなと思うことも度々あります。
7wondersに不思議の負けあれど、逆はないからです。勝つときは必ず支配要因となる理由があります。
色々思い浮かびますが、
諦めたプレイヤーが特定の誰かの妨害を始めた(お金を一切渡さない、科学を無意味に集める、資源をカットする)ことである個人が一方的に弱体化
→支配要因はそちらだが自分の○○の行動のおかげで勝てたと誤認する。
あるプレイヤーが、自分の不利が確定する状況で対応しない(軍事確負け状況をつくる、埋めターンで重要なカードをカットしない)
→本来存在しなかった空き手番、ドラフトができている。
など。
具体的な例を1つあげましょうか。わたしが一番遭遇するなと思っているのは「キミが先に軍事をしたからこっちは軍事をせずに点数だけ取ってればいいし、だからキミの2周目のハンドの点数が枯れて負けたんだよ」理論です(長い😅)
うまく盤面を想像して欲しいのですが、つまり4人戦のAge3開始時点で自分が左右に軍事挟み込みされてるけど自分がギリギリ軍事勝ちしてる状況で、左右より先に軍事を取り軍事両勝ちは譲らないよというポーズを示したシーン。ここで左位置が「キミは軍事を取るのが早すぎだ。そっちがそうするなら俺は軍事を取る必要がないし点数を取り続ければいい。このプレイングでキミの点数を枯らしたから勝ったんだ」と主張している場面。
ところで、七不思議というゲームで勝つために効率的なことをし続けるなら「点数を稼ぐ」行動が増えるはずです。
まさに囚人のジレンマと同じ問題だと思っているのですが、誰も裏切り(軍事やカットなどの対立手)をしてこない前提なら青や緑というのは一枚平均3点以上がほぼ約束されるわけで、この行動を追いつづけるのが全視点で効率的なわけです。しかし実際には点数力の格差であるとか、点数を取る手段がゼロサムなので全体の点数総量に天井があるとか、裏切り者の存在があるので、必ずしもそうではない。しかし裏切り者がいないなら点数行動だけをしていればいいという話が否定されたわけではなく、それはそれとして事実なのです。
何が言いたいのかというと、左のカットのプレイングが優れていたから2周目のハンドが枯れたのではなく、全員が効率的な行動をとったら枯れるハンドで想定通りに枯れてしまっただけであるということ。
もう一つ。「こちらが先に軍事をしたから左が軍事をする必要がない」のではなく、「左の左(自分視点の対面)が軍事をしないから左が軍事をしなくてよい」→「左は効率的な点数行動だけを追えた」のが真実だと思っています。
もし自分視点の対面がage3でいきなり軍事を始めたとして、その状況で左が軍事をしなくていいのは十分に点数を稼ぎきっているケースです。これはage2までに左が軍事1枚で片勝ち+青4枚+埋め2みたいなレア状況を作っていて今更age3軍事負けても問題ないかなって場合とか、age3で職人哲学だけで20点以上稼いでて点数レースに勝っているとか。
そうでなければ安く片勝ちすることを徹底できないのはダメージなはずです。最悪の場合左視点で効率は悪いけど片勝ちし返すために軍事を取らないといけないこともあるわけです。
そういうわけで左が(本来的にはなかなか起きない)有利状況にいて、左が勝った理由の支配要因はほぼほぼ対面が裏切り行動をしなかったことであると断定できるわけです。
ファッ○ン長い例になってしまいましたね。おつかれさまです。
読んでみて辟易したかもしれませんね。ただわたし的には7wondersってこういう理論の詰め方をするゲームなんだろうなと思っています。
このゲームいろんな要因が複雑に絡み合ってくるので因果関係を誤認しやすいなと思うんですよ。
さっきからわたし点数行動と対立行動は独立した概念であるかのように振る舞っていますけど、点数カードの総量が決まっている(青とか緑の枚数が決まっている)ということは
→「点数行動として青をとり続ける行動は誰かの点数行動の機会を奪う対立行動でもある」ので、青をスティールし続けることこそが立派な対立行動であるゲームだって存在するわけですよ。どっち方向からも解釈できるけど、今回の条件下ならやや点数行動よりかなというグラデーションを指差して🫵強い行動ってなんなんだI’m lovin’ itを詰めるしかないのです。
だからこそ、こうした「自分の意図してない勝ち」を分けて考えられるようになると、やがて一回一回のピックで強い行動を打てるようになるのではないかと考えています。思考のバイアス沼から抜けよう。
それにもったいないじゃないですか。せっかく強い立ち回りを見つけて、そこそこ勝てるけどその立ち回りが通用しないケースの理由がわからなかったら、変に負け越すことになってしまいますよね。嫌になって七不思議そのものを辞めてしまうかもしれないわけです。
これは☀面🌙面どちらを選ぶかの問題とも地続きです。アリーナのレート戦で勝つことが目的ならば、まずどう戦うか(戦略)があるべきで、それを満たした面を使うべきですよね。理論上はね。
(お気に入りポケモンを活かせるパーティをつくって、そのお気に入りポケモンが抜けたらパーティの完成だ!に近い...)
そういうわけでなんか上手くいったなぁで終わってももちろん面白いと思いますが、ぜひもう一歩踏み込んでなぜうまくいくのかを考えてみてください。浸かるなら考察沼にハマろう。(唐突な締め)
ここから先はさらに主観多めでアドバイス。
まずはグラフを脳内でもいいので描いてみることです。そこまで厳格ではなくてもいいので、少なくとも、今自分がやってる行動は抽象化を突き詰めていくと「自分の点数を上げる行動」「相手と差をつける行動」のどちらに属するのかを意識してみてください。前述したように、どっちとも取れるグラデーションな行動もあるでしょうがうまく結果と現象の間で納得がいくように自己解釈をしてください。解釈を次のゲームでも試してみてまた同じように結果と見比べてください。また、どちらの目的にも属さないのであれば本質的に不要な行動なので減らしていきましょう。
ぼくの中で黒歴史化している黄染の立ち回りをこの例に当てはめてみる
この立ち回りは結果的にはそんなに使えなかったわけですが、しかしこうした新しい立ち回りを思いつく→実践→また良かった部分を抽象化→...とサイクルを回す糧にはなっているわけです。
この例は4人戦を想像して書きましたけど、なぜ黄染が弱いのかを言葉に書き下してみると4人戦がどういうゲームなのかが見えてきますね。
たとえば対面に資材を集約されると詰むけど、別にこれって黄染に限らず苦しいわけです。それに軍事を取れる準備自体はできていたけど、右から軍事を先に押さえられたから負けている(≒対面がある程度軍事を抑えてくれないと右に勝てない)
→4人戦はどうも対面の動向に影響されやすそうだな、とそのルールの特徴を理解できていくわけです。
この戦略とか考察をするという行為自体にも具体と抽象の考え方が生きてくるわけですね。
立ち回りを要素分解して色んなゲームで流用できそうな部分を仮説として切り出す(抽象化)、抽象化したモデルを実践投入することで適切にモデル化できているかを考え直す→またモデルをつくる→実践…この反復がなにかを理解するうえで効率的な手段なわけですね。
最後に、方方でしている話ですが、このゲームで最も抽象的な目的は「1位になること」つまり「最終的に一番得点が高いこと」です。
そして得点を稼ぐことに最も寄与するのはAge3です。大体Age2終了時点の点数が20点前後、Age3終了時点では60を超えると思います。つまりAge3で全体の6~7割の点数を稼いでいることになります。
なのでAge3で大量に得点を取るにはどうしたらいいかを考えるのがそのルールの特性・よりよい戦略を理解する近道です。
分析の結果Age3で大量の得点が取れないのなら、それ以前のAgeはどう立ち回ればいいか、と発展させていけるのではないかと思います。
まとめ
さて、そんな感じで本記事を締めたいと思います。
しかし考察をはじめて2年弱。思えば遠くまできたものです😃
かつて日本選手権が行われていた7wonders1.0時代は多数の考察が落ちていたものの、環境が激変した2.0からはあまり情報がありませんでした。わたし個人もハマったら突き詰めてしまうタイプなんであれよあれよと記事が増産され...😅
ちょっとはみなさんのお役に立てたかな?新規にプレイヤーが増えてくれてれば嬉しいな~なんて。
あらかた基本的な立ち回りとか、ルールの特性は理解できたかなと思うので、わたしの考察活動はここまでにしようと思います。
まーでもね、やっぱこのゲームおもしろいです。伊達にヨーロッパで覇権をとっているゲームではありません。デュエルとかアーキテクトを見る感じ製作者的には愉快なパーティゲーム路線を推しているのはわかるのですが、それはそれとして本家第二版はあまりにもこのゲームを競技目線で理解したデザインをしています。各ルールを突き詰めていくと使い道がないと思っていた文明が思わぬ強キャラだったりするのは本当にとんでもないことです。その上で国を発展させるという要素と、ゲームとして強い行動が噛み合っているという設定のデザインも秀逸な神の作品ですよこれは。
しかしてわたくし語るほどボドゲ界隈に詳しくありませんが、日本はコミュニケーションの場としてボドゲがあることが多いので、なかなか他の対戦ゲームのような対戦コミュニティを発展させていくのは難しいのでしょう。
そんなわけで今はオンラインのみ活動をしていますが、人口が増えてきたら7wondersオンリーのオフ会なんかもやってみたいなと考えていたりします。もちろんオンラインでも一緒になにかできると楽しそうですね。
というわけで7wonders第2版の考察シリーズでした。
またね〜。
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