アテンション

アテンションと言えばアテンションプリーズ。

この言葉を思い出し、さらに紀比呂子や范文雀という女優さんが出演したテレビドラマを思い浮かべるのは、ご年配の方で、まあご同輩というところでしょうか。アテンションプリーズは、CAが機内放送の開始時に使用し乗客の注意をこちらに向けることを意図しています。

アテンションは注目や留意を意味し、意識を向けて欲しいときによく使用されます。

消費者の購買行動のプロセスAIDMA(注意:Attention、関心:Interest、欲求:Desire、記憶:Memory、行動:Action)にも、最初のプロセスにアテンションがあります。第一段階です。広告やCMでは、この注意を引くこと、顧客や消費者に商品に注意を向けてもらえるようにすること、その重要性を意味しています。

インターネット上には膨大な情報があり、多くは無料の情報です。コンテンツを有償にする著作権で稼ぐビジネスモデルが成り立ちにくい状況です。

コンテンツでアテンションを集め、CMをそこに表示してもらい、そのCM料でおカネを稼ぐというビジネスモデルが主流です。

お金だけでなく、名誉が欲しい、評価して欲しい、「いいね」が欲しい、アテンションが集まるようにコンテンツを作成します。人々の耳目を集めるために、時としては過激なコンテンツをアップロードすることもあります。

このビジネスモデルでは、アテンションを、直接、価値に変換することはできません。価値に変換するシステムが存在します。CMエコシステムです。広告代理店を核として多くの企業が連係して、アテンションを獲得できるようCMを作成しています。

アテンションゲッターは、注目を集める人(もの、コンテンツ)です。多くの人の注目を集めるアテンションゲッターは価値が高いといえます。

しかしアテンションゲッターが注目を集めた分だけ相応の実入りになっていません。注目を集めても収入がほとんどないこともありえま。

例えば「2018年「もっとも活躍したアスリート・スポーツ重大ニュース」インターネット調査」( https://www.ssf.or.jp/topics/tabid/1698/Default.aspx )によれば、1位 羽生結弦(フィギュアスケート)、2位 吉田輝星(高校野球)、3位 大谷翔平(野球)、4位 大坂なおみ(テニス)、5位 張本智和(卓球)です。

2018年に活躍し多くの人に感動を与えたこの順位が、彼らの収入の順位ではありません。大衆の感動の大きさに応じた価値を直接受け取ることはありません。さらに広告代理店以外にもマネージメント会社や所属団体(や球団)、協会、事務所等々が間に介在しているのが現状です。

このようにアテンションを集めただけでは、価値に代えることができません。アテンションを通貨(おカネ)に変換して、初めて価値が生まれます。アテンションを集めても価値に変換できなければ、収入にはなりません。CMエコシステムがアテンションを現金化してくれます。

Michael H. Goldhaberが提唱したアテンションエコノミー(関心経済)はアテンションが通貨と同じように交換財となるという考え方です。

価値交換できるものが法定通貨の場合は、法定通貨に換える必要がありますが、アテンションがそのまま交換できれば、アテンションエコノミーが実現します。

アテンションが交換財として成立すると、貨幣経済とは別の形の経済システムになります。大袈裟な表現をすると金融資本主義からアテンション(関心)資本主義に大きく変わります。

このアテンションエコノミーが、暗号通貨等のトークンエコシステムで実現できそうです。アテンションゲッターがトークンを発行し、投げ銭や御捻りのごとく、トークンを流通させていくことで、アテンションが交換財のようになります。

これはCMで稼ぐというビジネスモデルがなくなり、CMエコシステム抜きで、アテンションゲッターに価値をプレゼントできます。これが実現できると大きな変化が起きます。

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