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映画の中(と外)の子どもたち④

『南極料理人』

2009年、沖田修一の作品。

小学生時代の娘が
この映画が好きすぎて
何回もリピート鑑賞。
おかげで私も何度も
楽しんだ。

南極観測隊の一員として、
実際にドームふじ基地で
越冬した西村淳さんの
エッセイを映画化。

外界からほぼ遮断された
8人の男の南極ライフは、
珍エピソードの宝庫。

実際にその場にいたら
過酷すぎて耐えられない
と思うが、密室空間
だからこそ起こりうる
人間同士の心理合戦が、
毎日を彩る食事風景と
絡み合って、全面的に
コミカルな雰囲気を
醸し出していた。

登場する人々の濃厚な
キャラクターに負けない
ぐらい異彩を放っていた
のは、南極料理人の
西村くんの娘・友花ちゃん。

反抗期に片足を突っ込んだ
時期の小学生女子が、
自由奔放に悪態をついたり
突然乳歯が抜けちゃったり
する場面に笑ってしまった。

南極にいる西村くんの
もとには、定期的に
友花ちゃんから、
「カチンコチン新聞」
が送られてくる。

新聞には、友花ちゃんの
言葉やイラストがびっしり
描かれていて、離れて
暮らす父親への想いで
いっぱいなのがよくわかる。

西村くんの1人部屋の
ベッドの横に新聞は
貼られていき、その数は
どんどん増えていく。

子どもがまだ小さかった頃、
彼らが書いてくれた手紙や
イラストを手帳に挟んで
よく持ち歩いたものだ。

ちょっと辛いなぁとか
疲れたなぁと思うとき、
子どもが描いた文字や
絵を眺めたり、手で
なぞったりしていた。

我が子の文字や絵と
いうものは、くたびれた
親の回復におおいに
貢献してくれる。

『南極料理人』

この映画を観ていた
娘の後ろ姿も含めて、
記憶に残り続ける映画だ。


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