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<一言コラム>日本コロムビア本社ビル (第5回『ナイアガラ・トライアングル』レコーディング関連)
1970年代、日本コロムビアの本社は、港区赤坂の高台にありました。
6階建ての本社の上には、大きなコロムビアのネオン・サインがありましたが、谷川氏によると、ネオンは赤坂丹後町内会からのクレームですぐに消灯されることとなったそうです。
フロア構成については、谷川氏の記憶によると、役員室が眺めの良い最上階の6階にあり、5階が人事関係。4階は大会議室にあてられていました。大会議室は、全社員を集めることが出来る広さが確保されており、新年には、社長自ら訓示することもあったそうです。
レコードの営業担当は3階に、オーディオ( DENON:デンオン)を扱う電気事業部は2階に、経理、財務や総務部門は1階にあったそうです。
レコード制作を行う文芸部は、レコードの営業担当と同じ3階にあり、廊下を挟んで配置されていたとのことです。
レコード録音用のスタジオ棟「Grand Studio(グランド・スタジオ)」が、本社ビルのすぐ隣に併設されていました。携帯電話もない時代でしたので、来客があると、受付から内線電話で呼び出しがかかり、「上がってきてもらって、エレベータの前で待っている」ことにするか、「スタジオ棟の”ロビー”まで階段を下りて迎えに行く」ことにするかを決めていた、とのこと。
3階の自分のデスクで仕事をするディレクターが、アーティストからの連絡を受けて、スタジオ棟の”ロビー”へ階段を下りて、意気揚々とレコーディング・スタジオに向かう姿を想像すると、コロムビア・スタジオで録音された音源全般に対しても、さらに興味が加わってきます。
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(谷川氏曰く、3人のうち一番左のスーツ姿は自分だろうとのこと)
<参考文献>
井上のぼる 「まんが訪問/録音からプレスまで―日本コロムビア川崎工場」 (雑誌『中二時代』13(2) 旺文社 1968-05)
穴沢建明「日本コロムビア 最新録音機械を備えたスタジオ紹介」 (雑誌『ラジオ技術』 26(4)(306) アイエー出版 1972-04)
保柳健「日本のレコーディング・スタジオ 日本コロムビア」(雑誌『レコード芸術』21(5)(259) 音楽之友社 1972-05)
2021.12.13
霧の中のメモリーズ
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「日本コロムビアの谷川恰と大滝詠一」
第5回 『ナイアガラ・トライアングル』レコーディング パート2に戻る
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