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『チャレンジし続ける原動力と、生き方の指針を示してくれた母の存在』国際NGO Educate For代表/一般社団法人Voice Up Japan代表理事 山本和奈さん

今年1月に発売された『週刊SPA!』の「ヤレる女子大学生RANKING」企画に「Voice Up Japan」として抗議し、有名になった山本和奈さん。 

 チャレンジすると決めたら全力で向き合いながら、こなし続ける強さ。人に寄り添い続ける和奈さんの原点に迫りました。

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山本和奈さん国際基督教大学経済学専攻。南米で教育事業をする国際NGO Educate For代表。環境問題に取り組み竹歯ブラシを開発するJust Smile Inc. 共同代表、一般社団法人(8月法人化予定)代表理事。ジェンダー、人権、動物愛護に取り組みながら起業家・アクティビストとして活動中。現在南米にてブロックチェーンを用いた新事業に取り組んでいる。

『チャレンジし続ける原動力を培った学生時代』

WI大山:南米で教育事業をする国際Educate Forで活動され、教育格差に関心を持たれている印象を受けました。きっかけは高校時代にあったのでしょうか?

和奈さん:香港で生まれ、6歳までシンガポールで過ごしました。その後帰国し、13年間キリスト教のインターナショナルスクールに通いました。修学旅行(高校)はタイに行き学校を建て、必修だった卒論は社会問題をテーマに書きました。

ICU在学中のチリ留学もターニングポイントになっているのですが、夕飯を食べながら中絶に関するディベートをする家庭環境や、母が動物保護活動に取り組んでいたことは今の自分に大きな影響をもたらしていると思います。

WI大山:お母さんの背中は、生き方の指針を示してくれる和奈さんにとってのロールモデルな気がしました。ご両親から受けた影響は大きいですか?

和奈さん:父から仕事への熱意を学びつつも、子どもながらにいつも帰りが遅い姿を見て、「父親ももっと家族の一員として家庭に関わるべき」と思うようになりました。
母は好きなことを自由にやらせてくれる環境を整えてくれたのと同時に、「男性に頼りすぎず、自立した人になってほしい」と育てられました。

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『チャレンジすると決めたら、その覚悟と同じぐらい自分を許す力も必要』

藤井:常に同時並行で何か新しいことをチャレンジされていると思うのですが、自分のやりたいことと、キャパにどう向き合われていますか?

和奈さん:高校時代はディベート、サッカー、バレーボールを掛け持ちし、大学ではスムステ(ICUのダンスサークル)に所属していました。多い時には深夜練もしつつ週20〜30時間練習していたので、キャパは多い方です。

大きく取り上げてもらったSPAの署名活動も、記事を見た当日に全部1人で始めました。プランも何も考えていなかったけれど、夜な夜なビデオ撮ってやってみようと思っていたら「1人じゃ大変だから協力する」って色々な方面から連絡をもらい、大きくなっていった。

やりたいと思うことは全部やると決めていて、始める時にはマイルストーン(物事を進める際、進捗状況を確認するモノ)とゴールを決めています。タイムマネージメントを含め、自分の中でけじめをつけることは意識していますね。そうはいっても失敗は付き物。チャレンジすると決めたら、その覚悟と同じぐらい自分を許す力も必要だと思います。

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『ターニングポイントは、1年間のチリ留学』

秋元:大学入学したての頃、何をやりたいか分からなくなったとお聞きしました。
今は溢れるほど様々な活動と向き合われていらっしゃいますが、4年間大学生活で積み重ねてきた全ての経験が核となって、自分の好奇心の矛先が見えてきたのでしょうか?

和奈さん:やっぱりチリでの1年間の交換留学が大きいですね。私は親のおかげで私立大に行かせてもらっているけれど、留学中ボランティアをしに行ったペルーでは「行き先も分からないまま、お父さんがいなくなっちゃって明日からどうすればいいか分からない」という子どもたちに出会いました。

未だに自分の中で、Educate For で関わっている子どもたちから受けるインスピレーションが1番大きい。子どもたちからもらったメッセージや手紙を見ると、10,20年単位で子どもたちがどんな人生を歩むのかそばで見てみたいという気持ちになるんです。

『目指すはチェ・ゲハラ(アルゼンチン生まれの政治家)。寄り添いつつ、先頭に立てるリーダーになりたい』

相葉:経験をベースに、いつも目の前にいる人に寄り添われている姿は、誰かにとってのロールモデルになっていると思います。和奈さんにとってのロールモデルはいらっしゃるんですか?

和奈さん:エマ・ワトソン、チェ・ゲハラ(アルゼンチン生まれの政治家)、マーティン・ルーサー・キング、マヤ・アンジェロウ(アメリカの活動家)は私にとってのロールモデルです。マヤ・アンジェロウの「If you don’t like it, change it. If you can’t change it, change your attitude. Don’t complain.(もし現状が変えられないのであれば、自分の見方を変えろ。文句を言うな)」の言葉には数え切れないほど救われてきました。

バックパックで訪れたキューバでは、チェ・ゲハラが“チェンジメーカー”として活動していたことを知り、休日も休まず社会に貢献する姿勢やリーダーとしてのあり方からインスパイアされました。典型的なリーダーは上にたって下に指示するけれど、チェ・ゲバラは先頭に立つリーダー。自分も上から指示するのではなくて、寄り添いつつ、先頭に立てる人になりたいです。

中間:やりたいことや向き合いたいことが溢れているように感じます。今の時点で、何を軸に生きていきたいと思っていますか?

和奈さん:かなり難しい質問だね(笑)。「初心」を軸に生きていきたいかな。自分が活動を始めて感じたこと、社会に対して嫌だと感じたことを忘れずに生きていきたい。

もう1つはダンス。今でもレッスン行ける時は行くし、作品も作っています。キャパオーバーになると友達をクラブに誘って、朝5時まで踊ったりもするよ(笑)。正直ダンスがないと生きていけないぐらい、ダンスでバランスを取ってる。

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『躊躇してしまう自分を卒業するチャンスは、1人バックパッカー』

秋元:たまたま目に留まって見ていた報道ステーションで、おかしいと思う社会のタネの1つを変えようとする和奈さんの行動力と、想いの強さに感動して今日の取材に参加しました。行動してみたい気持ちはあるものの追いついていかない時、どうしたらいいですか?

和奈さん:お金がなかったらバイトして、それでも足りなかったら飲み会を少し削って、1人でバックパックするといいかもしれないね。言語の壁含めて、起こるトラブル全て自分自身で対処していかなければいけない経験から身につくことが絶対ある。そこで初めて日本にいたいのか出たいか知りながら、自立するきっかけにもなる。海外の考え方を取り入れるのとは別に、ただ単に究極なサバイバルになるから海外に行くと自分が見えていなかった新しい視点を得ることができる。

私は“先週までイラクで戦争していた”と語る人や、“2年かけて世界をバックパックしている”人たちに出会えた。居心地のいい場所から少し抜け出すことで得られるものは数知れないので、よく「1回1人でバックパックしてみたらどう?」と言っています。

臼井:仮想通貨やブロックチェーンやフィンテックなどが勉強になるとツイート(取材当時)されていましたが、これから叶えていきたい夢はありますか?

和奈さん:今見ていると、ほとんどの市場があまり伸びていない。その中で唯一伸びているのがフィンテックやブロックチェーン。これからの経済はそこに1番のチャンスがあって、それをうまく使うのは私たち次第だと思っているんです。

資本主義社会によって生まれる格差に対して、今からどんどん市場が広がっていくマーケットでお金の使い方を考え直したい。今新しく立ち上げている事業もそういう関係です。もう1つは、25歳までにForbesの30 Under 30に載って、周りの起業家と高め合っていきたいですね。

『自分でしか自分をサポートできない瞬間もある』

WI尹:最後にウーマンズ読者へメッセージをお願いします。

和奈さん:やりたいことが見つからなかったらそれはそれで良くて、逆に色々なことにチャレンジできるチャンス。やりたいことがあるのなら、それに軸を置いて活動していけばいい。疲れている時こそ自分に対するリスペクトは欠かさず、焦らないでほしい。

何か活動をしていると「意識高いよね」と言われることや、応援してくれる人が少ない時もあると思うんです。私の場合は、感情を書き出して悲しくなったら読むメモまとめを作っています。自分でしか自分をサポートできない瞬間もあるから、自分に合った自分のサポート方法を見つけられたら楽になるんじゃないかな。

(文:尹素希・中間有香、編集:大山友理)



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