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地方議会の情報を分析すると、何が見えてくる? ーデータサイエンティストと協働してみたー
こんにちは!
「届きづらい女性の声を政治につなぎ、1つずつ実現していく」ことをミッションとするWOMAN SHIFTです。
2022年3月から10月までの約半年間、WOMAN SHIFTは富士通株式会社(以下、富士通)のデータサイエンティストのみなさんと「地方議員に関するデータ分析」を行ってきました(WOMAN SHIFTのメンバーは毎月アドバイザリーとして分析結果にコメントをしてきました)。
このnoteはWOMAN SHIFTプロボノ兼富士通社員である小針が、本取り組みについてご紹介します(分析結果の詳細資料および解説動画については、WOMAN SHIFT会員のみにに共有しています。ご希望される会員の方はお問合せください!)。
取り組みのきっかけと、進め方
富士通のデータサイエンティストのみなさんは、元々政治分野のデータ分析をしており、「政治分野でのデータ分析はもっと広がりがあるはず」との感覚を抱いていていました。
私としても、「地方議員のデータを分析することで、何かもっと見えてくるものがあるかも…?」と思い、WOMAN SHIFTメンバーに相談し、WOMAN SHIFT×富士通データサイエンティストのみなさんとの協働がスタートすることになりました。
様々な可能性を考えるため、複数の分析アイデアを出して仮説を立て、実際にデータを集めて分析して、そこから見えてきたものを眺めながらまた分析する…といった、探索型のサイクルを回してきました。
データとしては①選挙当選情報、②議員数男女比率情報、③議会議事録情報の3つのオープンデータを利用しています。
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一番難航したことは…
データ分析を始めようとしたころ、一番課題になったのが「データをどのように簡易に取得するか」ということでした。
いくつか「難航したなぁ」と感じた点を書いてみます。
①欲しいデータがどこにあるのかわかりづらい
「こういうデータが欲しい!」と思っても、その対象データが、どこにあるのか、かなり探さないとわからない…!いろんなつてを辿り、リサーチにリサーチを重ねていくつかのサイトにたどり着きました。
②データをダウンロードするのが手間
これは特に議会議事録に言えることですが、データをダウンロードする際に「一括ダウンロード」みたいなボタンはないため、欲しいデータは1件ずつ取得することに。
③データの形式PDFなので分析しづらい、書式も不統一
これも議会議事録ですが、データがPDFになっていることが多々あり、また議会議事録の書式も各地域によって異なるため、データ取得後の加工に時間がかかりました。
実際にやってみることで、わかることがありますね…。
地方議会についてデータを起点に調べたい方向け おすすめサイト一覧
「①欲しいデータがどこにあるのかわかりづらい」ことについて、何か貢献できたらいいなと思い、このnoteを書くことにしました。
地方議会についてデータを起点に調べたいと思った方向けに、私たちが参考にしたサイトをご紹介します。
選挙ドットコム
政治山
選挙ドットコムさんと政治山さんでは、議員の方の情報を知るために利用しました。それ以外にも政治関するさまざまなコラムなどもあります。
市区町村女性参画状況見える化マップ
今回大変お世話になったサイトがこの「市区町村女性参画状況見える化マップ」です。日本地図のダッシュボードで、女性議員比率などをグラフィカルに可視化してくれます。
データをCSVなどでダウンロードできるようになったら、さらにありがたいです…!
【データ】議員報酬&議員定数の全国データ2020
早稲田大学マニュフェスト研究所さんのサイト内で公開されている、市区町村議会の議員報酬および議員定数に関するデータ分析結果が公開されています。「まさにこれを見たかった…!」と思ったデータでした。
議員報酬&議員定数の全国データ2020があることを知る前、私たち自身でも議員報酬や議員定数について調べようと思っていた時に、「市議会議員定数・報酬に関する調査結果令和2年12月31日現在」や「町村議会実態調査結果の概要」なども参照しました。
また、各市区町村議会の議事録は、その地域のサイトに掲載されています。
たとえば台東区であればこちら。
データが使いやすくなれば、政治がもっと身近になるかもしれない
本取り組みに参加したデータサイエンティストからは、「政治が身近になった」「地方議会ってこんなに私たちの生活に関係のあることが話されていたんだ」「社会課題をデータで分析することで、自分の心のもやもやを晴らしていくことにつながった」といったポジティブな声が寄せられました。
データを分析することは、新たなインサイトを見つけるだけでなく、そのテーマに対し関心を強くすることにもつながるのだなと思いました。
ですが、今はまだまだ分析するためのデータを取得することにハードルがあることも事実。私たちも日本の全市区町村のデータを分析することは、とてもできませんでした。
政治関連のデータができるだけまとまって掲載されるサイトができたり、各地方議会の議事録フォーマットが統一されたりすることで、よりデータを分析する機運は高まると思います。結果としてそのデータを見る市民が増え、より政治への関心も高まっていく未来が見えてくるはず。
政治のオープンデータが、より利活用しやすい形になる未来が早く来ますように!
お知らせ:女性と政治を近づける「ジョセラジ!」にて、データ分析結果をお話しています
今回分析に参画したデータサイエンティスト×WOMAN SHIFT議員メンバーにて、データ分析結果を元にトークした内容を放送しています。
「2期目に出なかった女性と男性の違いは?!」
「女性が少ない議会と多い議会で発言内容に差はある?!」
「三鷹市の議事録を見たら、こんなことが見えてきた!」
などなど。
ぜひご視聴ください!