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おっさんに夢見せてるんじゃないよ、夢見させられてるんだよ

わたしは大学生に入ってすぐ遊び始めた。それまでは田舎で何も知らないところから、ポップコーンがはじけたかのように大学に入ってすぐクラブに行ったり夜遊びを繰り返した。

そこで出会う女子たちの多くは夜の仕事に従事してる子も多かった。キャバ嬢から、ホステスそしてエッチな夜のお仕事からAV女優まで、高校の時には全く知らなかった職業の子たちに出会った。

当時若くとても好奇心旺盛だったこともあり、わたしは彼女たちの話によく耳を傾けてた。

彼女たちはそろってみんな同じようなことを言う。

「おっさんたちに夢見せてやってんだから、これぐらいのお金もらって良いんだよ。おっさんがさ良い思いしてんだからさ。」

こんな感じで、当時20歳前後の夜の商売に従事してる女子たちはおっさんを下に見て、夢与えてやってんだよ。それぐらいお金払えや。おっさんども。

っという感じだった。

当時のわたしもまぁそうなんか、そんな世界もあるんやな。色々滑稽やなとずっと思っていた。

でも常に、彼女たちの会話に違和感を感じていた。

それは、わたしが間接的に話を聞き、客観的に彼女たちを見ていたからだと思う。

19歳そこそこで突如手に入る大金、というてもたかが月に50万もいってない子がほとんどだった様に思う。でも、彼女たちからしたら周りの友人よりも稼いでるわけで、稼いでるからこそ、偉くなった気になっていた。わたしは当時彼女たちにあやかっていつも奢ってもらい、タクシーに便乗したりしていた。

彼女たちにありがとうと思いつつ、その彼女たちにお金を払ってるおっさんたちありがとうと、わたしもよくわからんけど間接的におっさんに感謝していた(笑)

当時10年前の彼女たちは、おっさんに夢見させてやってんだからって口だけで言ってたのかもしれないし本心かもしれない。

本当は心のどこかでいつまでもこんな生活が続くはずないって分かってたかもしれない、気付かないようにしてのかもしれない、考えない様にしてたのかもしれない。

そんなことは、今となってはどうかなんて全然わからない。

でも10年経って、思うことがある。

おっさんたちに夢見させられてたんだよって。

簡単にお金手に入れられてたけどさ、それは幻想であってただ若いからだよ。その瞬間をただ高く買ってくれてただけ。

逆にたくさんお金もらって夢を見させてもらってたんだよ。

おっさんたちもわかってるんだよ。って、最近昔の女子たちに会う機会があって感じる。

当時の50万は確かに高かったように思う。

しかし、この歳になると50万なんて稼ぐ友人が山ほどいるであろう。でも、彼女たちは若さでしか売ってなかったからもう稼げなくなってきてるのである。

だからね、若い時たくさんおじさんから夢を与えてもらってたんだよってね。

#夢 #夜の仕事 #水商売 #エッセイ #客観的 #おっさん #ホステス




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