アデライン 、100年目の恋

 先日感想を書きました「ロスト・バケーション」のブレイク・ライブリーさんが主演ということで、「アデライン 100年目の恋」を観ましたので、その感想を書いてみたいと思います。歳を取らなくなったアデラインという女性が現代で恋に落ちるというラブストーリーです。何か原作があるのかなーと思って調べたんですが、映画オリジナルのお話らしいですね。

 1908年に生まれたアデライン は、結婚して幸せに暮らしていたのですが、旦那が事故をしたと連絡を受けて車で向かう途中に彼女も事故に遭い、水中に投げ出されさらに落雷に会うことで歳を取らない特殊体質になってしまうのでした。こういった設定をナレーションですませてしまうのがちょっと面白いと思いました。最初戸惑ったのですが、むしろ昔の映画っぽくて内容に合っているのではないかと思えてきます。それからアデライン は現代まで名前を定期的に変えながら、正体を隠して生きてきたのですが、その時代ごとのファッションやヘアスタイルなど、ちょっとゆったりめのテンポの映画なんですが、ブレイク・ライブリーの美しさを見ているだけ飽きずに観ていられます。また長く生きているということで、あらゆる知識を持っていて語学も堪能というちょっとしたスーパーウーマンになっているところがなかなか痛快で楽しいです。

 今はジェニーと名前を変えたアデライン は、ヒゲのイケメンと出会って恋に落ちますが、ここからのエピソードもわざとらしく作ったようなものでなく、ちょっとした行き違いとか、そこからまた仲直りしたりとか些細なもので、日常的にありうる出来事の積み重ねでちょっとずつ恋心を盛り上げていきます。設定が非現実なものですから、こういったところをリアルにして説得力を出しています。人物の感情の流れも納得のいくものばかりで、絵空事になっていません。そして彼氏の両親に会いに行くと、父親のウィリアム(ハリソン・フォード)が彼女のことを見て、アデラインと呼ぶのでした。昔恋に落ちた人だったのですね。

 そこからの展開はなかなか面白いので、とりあえずは伏せておきますが、意外性がどうということよりも一人一人の心理を丁寧に描いていてとにかく好感が持てる映画です。ウィリアムとその奥さんのこともぞんざいに扱ってませんし、コメディタッチに逃げたりもしていません。私はここが一番感心しました。

 最終的にまあ自分の秘密を告白するかどうか、恋の行方はどうなるかというところなんですけど、ここを省略してサラッとやっているのは確かにオシャレで粋なやり方なんですが、役者さんはそこは演じたかったんじゃないかなーとちょっとだけ思いました。でも本当観ていて気持ちいい映画ですので、最近の編集の目まぐるしい刺激の強い映画に疲れた方にはオススメの一本と言っていいと思います。

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ウルフガー
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