ロスト・バケーション

 こないだAmazonプライムで「ロスト・バケーション」という大変面白いサメ映画を観たので、その感想をサクッと書いていきたいと思います。これどこかの掲示板だったかどこかでおすすめサメ映画みたいな話になりまして、まあ最近乱発されている半分ネタというかツッコミながら見るのが前提のような低予算サメ映画に混じってこれは傑作だからと紹介されていて、そう言えば劇場公開したときもちょっと気になっていたんだよなあと思い出したのです。

 お話はある人気のないビーチで、サーファーの女性がサメに襲われ、脚の大怪我を負って岩に捕まりながらもサメと戦うという話です。冒頭、ここに行くまでに家族や友達とスマホで会話したりしているのですが、そのスマホの画面をオーバーラップで役者さんの横に大写しするという見たこともない手法を使っていたのでちょっと驚きました。私が知らないだけで最近そういう見せ方が流行っているんでしょうか。この辺気になりました。

 で、まあとにかく海が美しく撮れています。他にもサーファーがいて、サーフィンのシーンも凄い迫力で、低予算サメ映画とは撮影のクオリティが全然違うことがすぐわかります。で、主人公のナンシー(ブレイク・ライブリー)は沖で鯨の死骸を見つけるわけですよ。観ている方はああこれを殺ったサメがその辺にいるんだなとわかりますが、この手の映画の常として、当然呑気にサーフィンを続けます。そしたらもういきなりサメに襲撃されます。テンポが早いのです。その襲われた際も、ボードから投げ出され、海中で揉まれ、岩にぶつかったりと、ちょっと見たことのない水中撮影を見せてくれます。このようにただお金をかけたとかではなく、従来のサメ映画にはない展開と撮り方をしてくれるので、私もかなりテンション上がりました。

 ナンシーは何とか襲撃を逃げのびて、鯨の死骸にとりついて、その上に乗ってサメを避けようとします。こういうのもちょっと新鮮で、見ていて興味がつきません。その後鯨をひっくり返されたせいで、また泳いで近くの岩にたどり着きます。脚にはかなりの傷を負って出血もしているため身につけていたペンダントの金具で応急処置したりと、限られたものでサバイバルしていく展開となります。その後は、どう生き延びるか、助けを呼ぶのか、サメと戦うか、という頭を使って極限状態に対処する話になっていきます。こういう場所が限定された映画というものは単調になりがちなんですが、何とか状況の変化を起こしてギリ飽きさせない展開ができていると思います。この限られた素材の中で、ラストバトルもびっくりするくらい盛り上がります。そういう展開はにはならないかなーと思っていたので、これは嬉しい誤算でした。

 ちょっと気になるのは、家族要素と言いますか、サメとの戦いを、彼女が母の死を乗り越えるのになぞらえているような感じにして、ドラマ要素を加味しているのですが、途中で殺された他のサーファーが頭につけていたカメラを拾って、そこに助けを求めるメッセージを収録するついでに家族への伝言も付け足して、拾った人は家族に届けてとかやっちゃうのはどうかなと思いました。亡くなった人のもの勝手に自分の家族用の伝言にするのか……。という感じです。そのように主人公のドラマがあるだけに、他人の死のどうでもいい扱いが気になってしまいました。このようなパニック映画はそもそも人の命なんて軽いものなので、主人公側のドラマがなければ、そこも気にならないのになあ、と少し残念でした。

 と、終わった後に、エンドロールで監督がジャウマ・コレット=セラさんだと知ってちょっと驚きましたね。ホラー映画かリーアム・ニーソンさん主演の映画くらいしか撮らないかと思っていたらこんな意欲的な映画を撮っていたんですね。あとサメのCGはさすがによくできていましたが、長く映るとやっぱりCGとわかってしまいますね。作り物よりはリアルなんでしょうけど、CGはCGだと分かった瞬間、出来にかかわらず「一緒に映ってはいるが実際はそこに存在していない」感がどうしても出てしまって、特に恐怖感とかは薄れてしまいますね。まあこれも細かい話ですが。


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