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【ライブレポ】25TH ANNIVERSARY ROCK BAND

 今回は久しぶりのライブレポート。10月15日に行われたストレイテナーの25周年記念ライブに参加してきました。中高生の頃に知ったこのバンドの周年ライブを、この年になった今でも参加出来ることを幸せに感じつつのライブレポート。もちろん公式のライターさんが投稿するレポの方が精度も読み応えもあると思うので、私なりに感じた感情を綴っていこうかなと思います。


 ◆まえがき

 20231015。この日は朝からしとしと雨が降り続き、この時期にしては気温が低いというコンディション。テナーの重要なライブは結構晴れているイメージがあるが、それこそ10年前の武道館の時が朝まで雨が降っていたそうだ。この日も昼頃には雨が止み、どうにか最悪なコンディションは避けた武道館に、早い時間から続々とテナーファンが集結した。
 他のアーティストの武道館公演ほど派手な催しはなかったが、盟友バンドから先輩・後輩バンドまで祝花がズラリと並ぶ。その光景に”バンドマンに愛されるバンド”という事実が詰まっていた。

 ◆本編

 武道館に入場した後の開演前のSEには、かつてのオープニングSEだったDoshの『MPLS Rock and Roll』などが流れる中、定刻の17時30分を6分ほど過ぎてステージが暗転。いつものSTNR Rock and Rollに乗せて…ではなく、オーディエンスの拍手だけが鳴り響く中で4人が登場。
 そんな1曲目に選んだのは『ネクサス』だった。10年前の武道館では4人が揃ったところで演奏された感動の一曲を最初に持ってくるのはニクい。アコースティックアレンジ→通常アレンジというのも粋な演出だった。そんな激しさとエモさ秘めたまま『Little Miss Weekend』では赤い照明で強いオーラを放った後、一転して『泳ぐ鳥』ではシンプルなバンドアンサンブルとブライトな雰囲気に満たされた。
 その後、お馴染みの打ち込み音と共に披露されたのは『Melodic Storm』だった。4曲目という曲順でこの曲が披露されたのは記憶にないが、彼らのアンセムであるこの曲、”Blow the Melodic Storm"の大合唱は武道館の雰囲気を温めてくれるのには最適だった。そのままホリエさんのカッティングリフが鳴り響き、早くもアルバムNexusから3曲目となる『Ark』を披露。意外とこの曲は大きい会場で映えるなと感じた。
その後再び打ち込みが始まり『Grafitti』が始まった。ここまで10年以上昔の曲だったが、ようやく最近の曲がお披露目。この曲はリリース日の前日に緊急事態宣言が発令され、CDショップも閉店して現物を入手したのは2ヶ月後だったのを思い出しながら「こうやってライブやれてよかった…」と感慨深い思いではあった。
 その後は『DAY TO DAY』『タイムリープ』『Braver』と2010年代後半の曲が続く。DAY TO DAYは発売当初実はあまりしっくり来ていなかったのだが、発売から2年程はフェスでもレギュラーだったことによって今では大歓声が起こるまでになった、まさに育てた曲だと感じた。タイムリープではバックスクリーンに歌詞が映し出される演出。Ark同様に意外と大きい会場で映える曲だなと感じた。Braverではホリエさんの叙情的なピアノが鳴り響き、いつもより広いステージ袖でエモーショナルなギターを響かせる大山純(以下、OJ)が印象的な曲だった。
 そのままキーボードに向かうホリエさんの美しい旋律からスタートした『Toneless Twilight』は美メロと儚くも激しいという彼らの真骨頂とも言える曲で、発表当初から一聴惚れだった曲。今回の投票で結構人気の曲だったことが知れて嬉しかった。一転して日向秀和(以下、ひなっち)のアグレッシブなベースからスタートした『宇宙の夜 二人の朝』では武道館の気温が5℃は低下したかのようなつんざく冬の風の空気感。激しいベースから始まり、最後は繊細なピアノで締めくくる、こちらも激しくも儚い曲。バックスクリーンでは赤いカーテンがクローズする演出も再現。

 ここまで11曲をやった中で、ようやくMCに突入。「マラソンのMGCのおかげでメッチャ空いていた」だとか「OJはミスしたらこっちを見るからミスがバレる」など、いつものライブハウス同様のゆるゆるMCを展開。その中でシンペイさんが武道館にも多く立った谷村新司氏の武勇伝をネタにしていましたが、このライブの翌日に逝去されたことが発表され、タイムリーだなと思った。この場を借りてご冥福をお祈り申し上げます。
 気を取り直してのゆるゆるMCから披露されたのは、春のツアーで突如披露された新曲の『246』。4人でやる初期の頃の曲というような曲調は、やはりこれから育てて行く曲なのを感じさせた。再びアグレッシブなサウンドを見せた『From Noon Till Dawn』と続けて激しいサウンドを見せた『シンデレラソング』は、いずれも学生時代にテナーのライブに通い始めた頃にレギュラーだった曲。当時の思い出も思い出しながらの一時だった。
 ホリエさんは「次は87位の曲をやるんですけど…」とギターリフから始まったのは『OWL』。バンドでやるのは10年弱ぶりだったと思うが、別に投票上位でも常連曲だった時期もない曲をこの大舞台で演奏する遊び心に脱帽。しかしながら夜の梟に見立てたのか、漆黒の照明で何も見えない中ただただカッコいいサウンドが響き渡る演出はカッコいい以外の形容が思い浮かばない。そのままCREATURESのツアー同様の流れだった『DONKEY BOOGIE DODO』では、ひなっちが魅せるファンキーなベースを筆頭にグランジ/オルタナティブな世界観を展開。From Noon〜からの4曲はカッコいいストレイテナーを全面に押し出したブロックだった。
 一転してホリエさんが切なげに歌い始めたのは『群像劇』だったが、この曲は最近のリリースなこともあり、当時の自分の精神状況などを思い出しながら聴いていた。間髪入れずにそのまま披露されたのは未発表の新曲『インビシブル』。ホリエさんソロやインスタライブで披露されたことはあるが、バンドアンサンブルとしては初披露。秋らしい温かみのあるバックスクリーンの映像と共に、近年のテナーを象徴する包容力のある曲は今から音源化が楽しみでならない。そのしっとりとした雰囲気は『シンクロ』に繋がる。発売当初はあまりしっくり来なかったこの曲だが、単純に10年以上の時が経ち、私もこの曲の温かみが身に染みる年齢になったな…としみじみしていた。

 再びのMCもゆるゆるで、『春のツアーから何も言わずに新曲を披露することに味を占めるようになった』そうだが、確かに246は「新曲ではなく昔誰かのトリビュートに参加した曲なのかな?」と思っていたのはここだけの話。その後もひなっちが『30周年は2days』と連呼する一方、ホリエさんは『1日1日を必死に…』と返すと、『ロックスターなんだから攻めていこうぜ』とツッコミが入りつつ、14年前の初武道館の時に『俺は自分の為だけに曲作ってる』という旨のMCをしたホリエさんが詫びる場面も。ひなっちが『うわ、こいつ何言ってんの…』と思ったと笑いを誘いつつ、続けて『僕が誰よりもこの4人を、ストレイテナーを愛しているファンだと思っています。そんな僕たちのことを好きになってくれたファンの皆さんのことは誇りと希望だと思っています』と泣かせる熱いMCも。
 4人時代の最初期まではMCもあまりしない、アンコールやるのは気分、前を向かずに演奏する場面もあるなど、ある意味でぶっきらぼうなバンドだったのが、今や笑顔でMCやるし、ファン向けコンテンツも充実しているし、いつも肩を組んで挨拶しているしで、非常にファンとの雰囲気が近いバンドになった。その変貌なんかも思い出しながら、今このバンドを追えていることに感謝…だとか考えていた。

 そんな変わったテナーの最新の姿を見せた『Silver Lining』では、春のツアーで新曲として披露した時よりも解像度が向上しており、この武道館に向けて育てていった曲なのを実感する部分だった。これまでのテナーとこれからのテナーを繋ぐ1曲として、このライブのハイライトとも言えるシーンだった。その流れからOJとホリエさんのアルペジオの繋ぎで始まった『REMINDER』は20周年のベストの投票で1位を獲得した曲であり、20年に渡りテナーの重要な場面を彩ってきた大切な曲。いつも思い出にはこの曲がある、まさにREMINDERである。このエモーショナルな流れから『冬の太陽』と『シーグラス』を披露。どちらも10年代のテナーを引っ張ってきた曲であり、フェス等でもMelodic Stormに変わってアンセムを務めたこともあったりと、最近のテナーを担ってきた。夏と冬という対照的な軸ではあるが、まさにエモメロの真骨頂であり、この曲もまた歴史を刻む曲なのだろうなと感じた。
 一瞬の静寂の後、シンペイさんの力強いカウントからスタートした『叫ぶ星』は、未だ終息が全く見えなかった2020年9月に開催されたオンラインライブにて、その希望となる新曲として披露された曲。結局2020年は1度もテナーのライブに参加出来なかったが、この曲の存在にどれ程勇気づけられただろうか…と、今こうして規制がほぼ撤廃された今この時の武道館で演奏されたことに感慨もひとしおだった。
 既に全てを出し切った感覚だったが、最後を締めるのはやはりこの曲しかなかった。『ROCKSTEADY』は幕張から5年弱の間に色々な情勢の変化もあったが、いつまでもテナーの原点だった。バックスクリーンには荒い画質の映像で、ステージには2人しかいない大昔の姿が映し出された。曲が進むにつれてその映像に映るのは3人→4人に増えて行く。よく最新が最高と言われるテナーだが、その歴史の全てを見てきたのはこの曲なのだと感じさせられた。万雷の拍手が鳴り止まない中、いつものように4人で肩を組んでお辞儀をし、ステージの袖に捌けて行った。

 ◆アンコール

 当然ながらアンコールを求める声援が鳴り止まない。いつもより長めのインターバルの後、本編では使われなかったオープニングSEの『STNR Rock and Roll』のイントロのピアノが鳴り響く中で4人が再登場。ところが今日はなかなかバンドサウンドに展開しないな…と思っていたところ、4人が定位置に着いた後に「ジャーン!」とバンドサウンドが展開。2019年の秋から使用し始めた自作のSEなこの曲、なんと初の生演奏でお届けという形に。いつもだったら歌に入る部分で終わるのだが、この日はホリエさんの生歌でフル披露。しかもレアなハンドマイクスタイル。基本的にボーカル専念する姿もYou and IのMVぐらいしか記憶にないし、ある意味25周年にして貴重な姿を見た気がする。
 しかしこの曲を25周年記念ライブでフル演奏するのはずっと温めていた構想なのだろうか?と感じた。また私はステージ正面ではなかったので確証はないのだが、歴代のロゴを並べたようにも見えた。10年前は1人ずつ人数が増えて行く演出だったが、今回も狙ったのならまさにニクい演出。
 乾いたギターリフが鳴り響いたのは『羊の群れは丘を登る』。この曲も爽やかな印象を感じさせる曲だが、そういえば今回は4人体制以降のアルバムの中でセルフタイトルの『STRAIGHTENER』からは1曲も披露されていなかったな…と回想していた。このアルバムはセルフタイトルなのにテナーの中でも屈指の難しいアルバムな印象があるが、この曲はテナーらしい楽曲だと思う。
 曲が終わり静寂と暗闇に包まれる中、ホリエさんのピアノが鳴り響く。ステージ上にはスモークが焚かれ、メンバーを照らす灯篭のような照明が幻想的な雰囲気を醸し出された『MARCH』は、まさに武道館だからこそ可能な演出。しっとりと優しい曲調と、心の葛藤を解き放ったような叙情的なアウトロ。最後は再びピアノだけのアウトロになるとステージは暗転され、1人ずつステージに捌ける。最後の1音を鳴らし終えたホリエさんも、ステージがライトアップされることなくステージ袖へ。あまりの圧巻の演出に、しばらく拍手することすら忘れてしまうぐらいの感動の場面だった。

 当然というべきなのか、再びアンコールを求める拍手は鳴り止まない。三たび登場した4人は、今度は各々グッズTシャツを身に着けて登場。ホリエさんがそれぞれ一言と振り、ひなっちとシンペイさんは照れなのか口数多くなかったが、OJは『普段は耳栓をしているんですけど外します。みんなの歓声を聞かせてください』と問いかけると万雷の拍手と歓声。これを聞いたOJが『良い人生だ』と微笑みながら呟いた。一時は音楽から離れたこともある彼がこう呟いたことは感動を誘う場面だった。
 続けてホリエさんが『名残惜しいけど、これでお別れです。でもさよならは言いません、また逢いましょう』と言い始まったのは『彩雲』だった。今回のベストアルバムでの投票で第1位を獲得した曲は、シングルカットもタイアップもないこの曲。そんなアルバム曲ながら、まさに長く愛される普遍の名曲はファンそれぞれに思い入れがあるであろう。サビではハート型の紙吹雪が舞い、「これで本当にライブが終わっちゃうな…」としみじみ思いながら、今日もこの曲は名曲だった。
 最後にホリエさんが『ストレイテナーは明日10/16でメジャーデビュー20周年を迎えます。最後にこの曲をやって終わりたいと思います』と、これで本当に最後の曲となるメジャーデビュー曲の『TRAVELING GARGOYLE』が始まる。最後は客席も完全に照明が点灯したまま、まさに大団円のような形で一体感を残したまま全ての曲が終了。いつにも増して深い4人のお辞儀の姿を見届け、名残惜しいながらもステージ袖に捌けて行った。

 ◆セットリスト

1.ネクサス
2.Little Miss Weekend
3.泳ぐ鳥
4.Melodic Storm
5.Ark
6.Grafitti
7.DAY TO DAY
8.タイムリープ
9.Braver
10.Toneless Twilight
11.宇宙の夜 二人の朝
12.246
13.From Noon Till Dawn
14.シンデレラソング
15.OWL
16.DONKEY BOOGIE DODO
17.群像劇
18.インビシブル(新曲)
19.シンクロ
20.Silver Lining
21.REMINDER
22.冬の太陽
23.シーグラス
24.叫ぶ星
25.ROCKSTEADY
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en1.STNR Rock and Roll
en2.羊の群れは丘を登る
en3.MARCH
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Wen1.彩雲
Wen2.TRAVELING GARGOYLE

 ◆あとがき

 25周年記念ライブはなんと30曲、3時間弱にも及ぶ超大作のライブとなった。ホリエさんが『次はこんなに曲数出来ないと思います、あとチケット代が上がってMCが増えるかもしれません』と冗談混じりに語っていたが、そりゃ30周年は全員50代に突入する訳で、このボリュームは確かに厳しいのかもしれない。逆に言えば、これ程までに満足度の高いライブは近年でも群を抜いていた。
 ホリエさんが”誇りと希望”という言葉を述べたが、こちら側としてもストレイテナーというバンドのファンで居られることは”誇りと希望”であると再確認した。
 幅広い楽曲と演奏技術、ホリエさんのメロディセンス。馴染みやすい人柄とファン1人1人に寄り添ってくれる姿勢。言語化するのは難しいが、私がストレイテナーというバンドに魅力を感じたのはこういう感じだろうか。
 いつもライブが終わった後の満足度はテナーが著しく高い。同時に常に活動を続けている安心感というのも感じる。25周年が終わったばかりだが、早くも30周年記念ライブが楽しみで仕方がない。

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