日常。

秋の日、夕方。
少しだけ風が冷たく吹き始める頃。
僕の恒例行事が始まる。

「おつかれさまー! やっほやっほだよぉ!!」
来た。
愛くるしさを爆発させながらその人は今日もまた顔を覗かせる。

どんなふうに過ごしたとか、何を考えてたとか、二人の間では話が尽きない。

純粋無垢で天真爛漫にはしゃぐ勢いに少しだけ押されながらも、その微笑ましさに自然に笑みが溢れる。

一喜一憂、喜怒哀楽。
初めて言葉を交わしてから2ヶ月ほどだろうか。
いや、もっと短いかもしれない。
どこの誰かも知らない自分に屈託なく話してくれるその様子に、気付けば夢中になってしまう。
誰かと話すことはこんなに楽しかったのか…

少し前に手違いで始まってしまったこの空間を、今では心地よいと感じている…
自分でもそれに戸惑いながら。
どこか昔の体験に似ている。穏やかに笑いながら考える。
キャンプ地で落ち葉を踏み分けながら小動物と出会った時のような。
ワクワクしつつも驚かさないように、ときめく鼓動を抑えながら近付いていく、あの感覚。
…なるほど。
頭の隅、一人で納得しながら時間を忘れて談笑する。

その時を心待ちにしながらも、いつでも出会えるとは限らない。
土の上の葉をゆっくり馴染ませるように大切に踏みしめるように、静かに言葉を繋ぐ。

少しでも爪をたてれば壊れてしまうような、そんな時間が好きだった。

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