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「女の子はどう生きるか」第2章 その1

上野千鶴子 著(岩波ジュニア新書)、要旨

第2章 家の中でモヤモヤするのはなぜ?


長時間労働の罪

Q.家事の能力は父母とも同じなのに、お父さんは残業ばかりで、お母さんが家事をワンオペ。誰が悪いのか?

A.お父さんが家事をしない本当の理由はなんだろうか。日本の多くの男性が家事育児をしない理由を「したくても時間がない」からと回答しているが、男性が育休を取得すると、実は妻よりも夫は自己の趣味時間を増やしいているというデータがある。だから、本音は「家事育児をやる気がない」であると言える。

家事育児を「したくても時間がない」との答えは何なのか。残業か。でも、残業は断れる。残業を選ぶのは家庭よりも仕事を優先しているからであり、その選択が本当に求められているかは夫婦間で考慮すべき点だろう。

とは言え、残業がないわけではない。日本の経営者は、利益を確保するために人員配置を抑えてきた。一人雇うより残業代を払った方がトクなのだ。みんなんが残業をしなくて済むようになれば良いのにね。

授業だけではNG

Q.家庭科が男女共修になったが、授業だけでは限界がある。「家事は女の仕事」という男子生徒もいる。授業と社会が連動するようになるにはどうすればいいのか?

A.1992年までは男子は技術、女子は家庭科をそれぞれ履修していた。しかし女子がトンカチを使うこともあれば男子が料理や裁縫することもある。むしろ、女子が技術が不得手なら技術を教えて、男子には彼らが不得手な家庭科を教える方が大事。

家庭は男女が支えるもので、男女ともに同じ教育を受ける必要があると考えた家庭科の先生たちが1980年代に運動を起こして、反発や抵抗もあったが、家庭科男女共修が実現された。家事育児が女の仕事と考える人種はこれから先絶滅していくだろう。

専業主婦に憧れます!

Q.離婚経験者のお母さんは、女も経済的に自立しろという。しかし、私はお金持ちと結婚して専業主婦になりたい。

A.「お金持ち」の男性に自分をサポートする脇役を求める。いわゆる「トロフィーワイフ」として、男性を支えていく覚悟があるのであればいいが、無理ならばあきらめたほうがいい。しかも、お金持ちの男性の数は、極めて少ない。また、あなたがお金持ちの男性が好むタイプの職業、例えばCAやモデルになるには、美貌と体型、さらにはその職業にたどり着くための恵まれた環境を持つ必要がある。つまり、あなたが「お金持ちの妻」になる確率は低い

結婚はゴールでなくそのあとの人生は長い。人生には選択がつきもの、そして選択には失敗がつきもの。結婚に失敗しても自立できずに家庭内暴力(DV)に堪えるよりも、女性の経済的自立があると安心だ。

ママみたいになりたくない!

Q.ママは完璧な専業主婦。でも私は家庭に尽くすだけの人生はイヤ。これはママへの裏切りなのか?

A.ママ自身が幸せそうなのに、質問者が「イヤ」と感じるのは、ママの人生が家族に尽くすためだけにあるように感じられているからだろう。どんな人生の選択をしても、得るものと失うものがある。これからの大人は、前の世代と違う時代を生きる。例えば、共働き世帯の数は1998年頃を境に、専業主婦世帯を超え、2018年ではその数はそれぞれ約1200万世帯 vs. 約600万世帯、差は実に2:1に広がった。

他方、男性の給料は減り、ゆとりがあるとされる年収600万円を得る30歳代の男性は、2019年のデータではたったの17%だ。だから、これからはダブルインカムが求められ、また、以前より女性の仕事の機会が拡大している。たくさんの選択肢がある中で、自分の選択肢を狭める必要はない

どのような人生を選んでもママはあなたの選択を心から応援してくれるはずだ。



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