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「国家はなぜ衰退するのか」 〜読書後記〜

 読むほどに苦しみが増す本だった。この本は、「経営者仲間に勧められた。議論しながら読書の伴走を」という趣旨で、ある会社のX社長から、要約と解説を、業務として依頼されたものだった。

 2018年以来、3年間ほど、四半期に1度くらいのペースで行なっている。

 X社長が、解説者として探していた人材は、「ビジネスを語ることができて、時間がある人」。日本に「じっくり読書する時間を持つビジネスパーソン」は、あんまりいない。概ねビジネスパーソンは多忙だから。たまたま「会計士&経営者&ワンオペ家事育児&セミリタイア」と言う自分は、一日数時間なら読めるから、たまたまピタッとハマったプロフィールの持ち主だったのかもしれない。

 さて、この「国家はなぜ崩壊するのか」。果たして、自分自身がふらりと書店を訪れても、自ら手に取り購入しただろうか(単行本、上下で5,000円超だし)。自身だけのために、こんなに重い内容を、600ページ超に渡って、読み切ることができただろうか。

 読書と要約の所要時間は約15時間、X社長との議論のアポは2時間が2回。やりがいと読みがいのある依頼だった。この本に出会う機会を得たことに、心から感謝している。

 読み終えての感想は、「世界は複雑で悲しい」ということ。そして「庶民は無力」で「権力者は富が好んで、手放さない」でも「社会を変えることは可能だ」ということ。「命をかける」覚悟があれば。。。

 1970年代の日本に生まれた自分。20歳代後半に、世界80カ国から集った学生とともにアメリカの大学院で2年を過ごした。級友たちは皆幸せそうに見えていた。一人ひとりは陽気で知的で、素敵な人たちだった。

 でも、この本を読んでから、自身の留学時代、南米、アフリカ、アジアなどの発展途上国から集まった同級生たちは、各国の「エリート」たちだったのだろうと思える。懐かしくて会いたい世界の仲間たち。

 あの時の面々を思い浮かべれば、確かに、中国から来た秀才、ブラジルから来た白人カップル、東南アジアから来た富豪のお嬢様、トルコから来た官僚夫婦、中東から来て高級車に乗っていた多分石油王の坊ちゃんたちがいた。米国人学生も、それぞれの実家は、招かれて訪れてみれば皆、豪邸揃い。そして日本人学生だけが平民揃い(笑)。ちなみに、同級生たちとは、2021年の、母校同窓会での集合をオンラインで語り合っている。会えたら嬉しい。

 約20年経った今は、そしてこの本を読みきった今は、平民(の女性も)が、個人の意思で留学や海外就職できることは、日本が過去75年前から維持してきた平和と経済発展の賜物だったのだと前向きに捉えられる。国内に様々な差別や生活苦はあっても、日本は、建前上は「包括的社会制度」と「中央集権的法治」のもと、経済発展をしてきた国と言える。

 つまり、現代の日本に暮らすことができること自体、宝くじに当たったほどの幸運であることを思い知る。世界の多くの地域の、特に平民の暮らしは、本当に理不尽。特に、この書に記されている「収奪的制度」国家の実情は目を覆うばかり。富と希望を民から奪う国家がこれほどまでに数多いとは。しかも、多くが成り行きまかせ。日本の平和だって、永続する保証はないのだ。

 苦しんで読んだ後に、この書籍(約50万文字)の要約(約4000字)を見つけて購入( ;  ; )。すごく良くまとまっている。けど、やっぱ全部読んだ方が、心に浸透するのだろうなあ。。。。↓



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