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「国家はなぜ衰退するのか」第15章

繁栄と貧困を理解する

<この章のお題>

世界はいかにして異なるものになったのか、それを理解すれば、貧困と戦おうとするほとんどの試みが失敗してきた理由を説明できる。

<この章の副題、まとめ、気になった箇所>

歴史的根源:

経済格差の大半は過去200年の間に生じた。過去200年とは、大航海時代以降、植民地政策による影響を受けた時代のことを指す。

著者の理論は2段階で構成してきた。
➀第一段階:政治と経済の収奪的制度と包括的制度を区別すること。
➁第二段階:世界のある地域で包括制度が生まれ、他の地域で生まれないのはなぜかを説明。


収奪的制度下の経済成長があっても持続しない理由は2つある。
➀持続的経済成長にはイノベーション、創造的破壊が必要。収奪的制度のエリートたちは、創造的破壊を受け入れられないので、イノベーションは進まず、経済成長は持続しない。
➁収奪的制度のエリートが持つ富は狙われる。集団や個人の蜂起が起こりうる。その結果、内紛が発生して政情不安となる。


独裁政治下の成長の抗しがたい魅力:

2000年以降の中国では、巨大企業は今も共産党の指揮下にある。起業家が資産没収の憂き目にあうことは珍しくない。中国は、成長を牽引するモデルにならないので、今後のアフリカの発展を目指す場合でも、サハラ以南の国々の成長のひな形にすべきではない。

繁栄は設計できない:

繁栄の設計のパターンは2つある。
➀国際機関によるマクロ経済的、ミクロ経済的な介入(1980年代から行なっている)
➁NGOが医療機器を送り込む。だが、街中の医療機関がそもそも機能していないことも解決させるべき。例えば、医療従事者が給与を得られないために、帰宅してしまえば、医療機器を送り込んでも役に立たない。


対外援助の失敗:

国際支援の教訓は2つ。
➀これまでの支援は効果的とは言えない。貧困の根源は制度なので、受け入れ国の既存の制度の枠内で支援をしても持続的成長を促せない。
➁支援の一部を包括的制度の整備に使うことは有効。

権限の委譲:

政治への市民参加を促す役割を果たしうるのはメディア。他方、メディアを利用する独裁者が(ペルー、中国などに)いる。持続的政治改革に向けての鍵は、「岐路、選択、偶然」である。

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