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「国家はなぜ衰退するのか」第4章

第4章 小さな相違と決定的な岐路 --- 歴史の重み

<この章のお題>

政治的対立を通じて制度はいかに変化するか、過去はいかにして現在を形成するか。

<この章の副題、まとめ、印象に残った箇所>

ペストが生んだ世界:

1346年の腺ペスト。イングランドでは人口の半分を失う。結果労働人口が減少→封建制度下の農民や召使いの賃金が上昇、封建君主に対して力を持ち始めた。1381年ワットタイラーの乱。しかし東欧では地主がより広大な土地を掌握した。その後の西欧と東欧の発展の岐路。

包括的制度の形成:

17世紀のイングランドで2つの重大な事件発生。1642年の清教徒革命と、1688年の名誉革命。王と行政官の権力制限。元から封建的農奴制は存在しなかった。王は法と秩序を保護(財産権、特許権)、インフラと教育を促進、発明家同士の競争が生じる。


小さくとも重要な相違:

1500年代の世界はイングランドも含めて絶対王政が主流。しかし1600年代には大きな差が出ていた。例えば貿易による利益を得たのが商人であったか王であったか、農奴の有無、腺ペスト流行。


歴史の偶発的な道筋:

偶発的出来事も差異に寄与。例えばスペイン無敵艦隊がイングランドの私掠船に敗戦。大西洋がイングランドの支配下に。


情勢を理解する:

イングランドの制度を取り入れた植民地(オーストラリア、カナダ、合衆国)、西欧人が移住してなお収奪的制度を取り入れた南アメリカ諸国、アフリカは合衆国の経済発展のためにより収奪的に、日本は絶対王政から政治革命を経て包括的政治・経済制度を取り込んで急成長。中国は、、、

<この本全体の課題について(第4章最終項の、まとめより)>

・大西洋貿易によって生じた決定的な岐路と、イングランドの既存制度の本性との相互作用から、いかにして包括的な制度が現れたのか。

・一部は好循環のおかげ、一部は偶発性の幸運な巡り合わせのおかげで、これらの制度がいかにして持続し、確固たるものとなって、産業革命の基礎を築いたのか。絶対主義的・収奪的制度を支配する多くの政権は、産業革命によって解き放たれた新しいテクノロジーの広がりに、いかにして断固抵抗したのか。
ヨーロッパ人自身は、自分たちが制服した世界各地における経済成長の可能性をいかにしてつぶしたのか。

・悪循環や寡頭制の鉄則は、収奪的な制度が持続する強い傾向をいかにして生み出してきたのか。そのせいで、当初は産業革命が広がらなかった地域が比較的貧しいままなのはどうしてか。

・現代の世界において、産業革命やその他のテクノロジーが、国家における最低限の中央集権が実現していない地域には広がっておらず、広がりそうにないのはなぜか。

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