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ジロ・デ・イタリア

 イタリアに行きだして、残念なことが一つあった。それは当時、ピエモンテを除く他の地方の多くの生産者が、ボルドー・タイプのワインを目指していることだった。

 それを反映してか、リーデルのソムリエ・シリーズの中でもボルドーの大グラスに人気が集中していた。ブルゴーニュから巣立った私たちにとっては、やはりショックな現実だった。

 それでもイタリアでは、見るもの聞くもの、全てが目新しい。毎回毎回、何か新しい発見があり、楽しい撮影旅行を繰り返していた。イタリアに来るようになってから作風に変化が現れたのも、単なる偶然ではないだろう。その場の雰囲気がそうさせたのかもしれない。

 とにかく当時は、イタリア人がフランスに追いつけ、追い越せと頑張っているのを見るのが、楽しかった。何かと刺激が多いし、それに、生産者達が立派なグラスを使っていることに敬服した。なにせブルゴーニュでは、少なくとも当時、皆、みみっちくINAOの安グラスだったから。その点、イタリアは皆粋で、格好よかった。

 ジェナーロの人選の見事さも、私たちのイタリア行きに拍車をかけていた。勿論、彼の個人的な好みでの選択で、今の私たちの好みとはまるで違うが、当時の時の人を確実に押さえていた。

 皆、強烈な個性の持ち主で、第一線を歩んでいた。その人たちを全員撮るために、北から南まで、東の端に至るまで、何百キロ、何千キロ走ったか分からない。

 うちの車はフランス・ナンバーだし、当時はまだ区間計測方式のねずみ取りトゥトールもなく、走り易かった。イタリアの道はどことなく日本の道路に似ているし、その道に慣れ、知らない土地を走るのが楽しかった。

 とにかく走り回り、シチリアのアルジオラス以外、ジェナーロ・セレクションを全員撮影した。その中で、ロベルト ヴォエルツィオに次いで、印象に残る人がいた。が、それは次回のお楽しみ!

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