オリンピックはバブル方式?弾けないとよいですね
オリンピックを安全・安心で開くためにバブル方式というものが検討されているとか。実際、いくつかのスポーツ大会がこれで開催されています。でも、素朴な疑問が。選手(と関係者?)にはワクチンがあるらしい。では、バブルに関わる関係者(選手の対応や輸送にあたる人)のワクチンは?
そもそもバブル方式とは?
「オリンピック バブル」で検索したら、色々情報が出てきました。
バブル方式とは、選手などの行動の自由を制限し、空港、宿泊場所、会場の行き来しかできないというものです。海外渡航者が自主隔離を求められますが、その隔離場所自体が移動するようなものです。選手を泡で包んで外界(一般社会)と隔離して感染を防ごうという考え方です。
バブルは中と外だけでなく、膜もある
でも、素朴な疑問があります。シャボン玉は中と外の間に石鹸水の膜があります。先日の「チコちゃんに叱られる」でなぜシャボン玉が丸くなるのか、というのをやっていましたが、膜が四方八方から押されるので丸くなるとか。それはさておき、膜がなければシャボン玉はできません。
オリンピックのバブルに関しては、内側の選手、関係者と外側の一般社会の間に膜が必要です。膜にあたるものとして、まずは選手村とか会場等との移動に使う専用の交通手段があります。それらの施設、乗り物の運営は現状ではロボットで自動化というわけにはいかないので、人数の多寡はともかく必ず人手が入ります。交通手段は国毎に分けるらしいので、国の数だけの交通手段とその運転手が必要です。
また、選手と関係者だけで大会を運営できるわけではないので、大会スタッフも必要です。審判等は大会関係者枠かもしれませんが、その人たちに食事を提供したりとか、世話に当たる人も必要です。
それらの人々は開催国たる日本の国民が当たるのかと思います。ですが、その人たちのワクチンはどうなるのでしょう?ワクチンなしで対応するのでしょうか?それとも優先接種?バブル方式で開催するというなら、その辺はもう骨子ができてないといけないような気がしますが、国民に説明する義務がないと思っているのか、一切、表に出てきません。
オリンピックとパラリンピックの選手だけで1万5千人がバブルの内側に入るのですから、膜もそれなりの量が必要なのですが、どうなっているのかよくわかりません。そもそもバブルが中から外への感染を防ぎたいのか、外から中への感染を防ぎたいのか、両方なのかもよくわかりません。膜の方々はオリンピックに携わっている間中、一般社会と接点を絶たないといけないのでしょうか?そんなことが徹底できるのでしょうか?
また、選手等がコロナに関わらず怪我や病気になった場合の治療はどうするのか?オリンピック開催国は選手関係者に対して専用の病室?病棟?を提供する義務があるという契約になっている、という話を見かけました。その真偽はともかく、バブルというからには泡の内側に期間中医療スタッフを用意しておくのか、ICUが必要な状態、手術が必要な状態になったらその場所があるのか。緊急事態だから例外でバブルの外に出すのか?その時、東京で病床逼迫状態だったらどうするのか?
いや、素朴な疑問がたくさんあります。我々は阪神大震災、東日本大震災、熊本地震、等などで想定外の事態が起こることを学んだし、そもそも想定をしないといざという時に対応できないことを知っているはずです。
今のところ中止は考えていないと組織委は言ってますし、延期もおそらく考えていないのかと思います。が、それなら上記についてどう考えているのか教えていただきたいものです。
シャボン玉が屋根まで飛んで壊れて消えた、では困ります。
ウィルス対策もゼロトラスト?
コロナ禍でなかなか進まないとはいえテレワークというものも増えてきました。テレワークでは会社の中のパソコンや各種サーバ機器に自宅から接続します。その際、何も対策していないとセキュリティが心配です。例えば、玄関や窓に鍵をかけておかないと、空き巣に入られるかもしれません。
この鍵にあたるものとして、会社内外の境目にファイヤーウォール(防火壁)というものを置いて、鍵を持った人だけが通行できるような仕組みになっています。
(厳密にいうとあれこれ難しくなるので、わざと大雑把なことを書いています。テレワークのセキュリティの詳細を説明が趣旨ではないのでご了承ください)
多くの人は家の中にいれば鍵があるので安心ということで、現金や貴重品は家の中では特に鍵をかけていないかと思います。でも、窓を壊して鍵を開けて侵入したり、最近ではSNS等の写真から鍵の番号を読み取ってスペアを作って侵入したりとか、あるいは鍵をかけ忘れたりとかすると、家の中の現金や貴重品を盗まれたりします。ですので、本当に大切なものは金庫に入れて鍵をかけたりします。
ネットセキュリティの世界でも最近はこういう考え方が広まってきており、ゼロ・トラストと呼ばれています。従来は、ファイヤーウォールがあれば悪意のある人は中に入ってこれないので、内側は安心という考え方でした。でも、実際にはなんらかの方法で内部に侵入されると、データが盗まれたり、更なる悪質なコンピュータウィルスを仕込まれたりされます。
なので、侵入されることはあり得ると言う前提で、内側も外側と同様にちゃんと対策をしよう、という考え方が普及しつつあります。なお、超大雑把な解説なので、詳細を知りたい方はご自分で調べてください。
何が言いたいかと言うと、期間も長く、選手関係者も多いオリンピック、パラリンピックをバブル方式でやりますとはいっても、それが弾けた時の対策も想定して考えておかなければ、いざというときに何もできないですよ、という話でした。
膜のない世界になれば
色々書きましたが、そもそもバブル方式の話が出た時点では選手にワクチンを接種という話はありませんでした。つまり、バブルの中も外もワクチンがない前提で、バブル方式でできるという判断をしていたはずです。
オリンピックが各種のスポーツ大会でのバブル方式の実績があるから感染対策すれば可能というのであれば、オリンピックで可能な感染対策が外の一般世界ではできないのか?というのが1番の疑問です。オリンピックはこうこうだからできる、一般社会はこうこうだからできない、というものがあるのであれば、ぜひ示していただきたいものです。
オリンピックを安全・安心にやるためにできることを考えるというならば、一般社会についても安全・安心に生活するために、根拠もなく、基準も曖昧な時短営業、人流抑制以外のやり方を考えてもらえないですかね。
オリンピックの安全・安心の前に、経済活動を含めた一般国民の安全・安心を考えて欲しいものです。スポーツもエンタメも何もかも緊急事態宣言では止めたのに、オリンピックは別腹、ではなかなか納得できないですよ。