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#17 アイドルに想いを馳せる③
100日後、30歳になる小川 #17
はるごん、と出会ったのが高校3年生の多分冬くらい。
そこからはまた受験だとか、卒業だとかそういうものに精を出すことになるのでしばらくはアイドルとエンカウントする機会も減った。
そして、2011年3月。
僕は高校を卒業した。
その時すでに京都の大学への進学が決まっていた。
一人暮らしを始める準備をしながら、なんとなくTSUTAYAでたくさんのDVDを借りてみたりした。先にテレビを買ってもらったり、パソコンを買ってもらったりしたので、僕の部屋は急に充実を見せていたゆえに、一気に夜更かしをする割合が増え、とても退廃的な生活をしていたと思う。
この頃に3.11がきた。兵庫にある僕の実家は結構背の高いマンションで、11階の部屋では大きくはないけどとても長い揺れがじわじわと続いたことを覚えている。
テレビをつけてしばらくすると陸に水が押し寄せるヘリからの映像が流れてきた。これが現実に同じ国で起こっていることなのかと、呆然と眺めることしかできなかった。
何か大変なことが起こっている。そう感じながらも、西日本にいる僕は何をするでもなく、ACの広告ばかりが流れるTVをただただ見ていた。
富士急ハイランドに行く予定だった卒業旅行は中止になった。ので、代わりにナガシマスパーランドに行った。その帰り大須商店街に行く。あ、バンザイVenusのMVのところだ!そう思うくらいに、なっていた。空白の時間に、テレビをつけてもぽぽぽぽーんばかり。その結果YouTubeにハマったのだ。その結果、AKB関連の動画をたくさんみた。そしてだいぶアイドルへの造詣が深くなっていったのであった。
そして、4月がやってきた。
僕の大学生活の始まりだ。
一人暮らし1日目の夜。
この日は何もない部屋で過ごした。
全ての荷物がやってくるのは翌日だった。
近くにあったほっかほっか亭で買ったお弁当を食べて、床で寝た。寒い。とても寒かった。京都の春をなめていた。完全に新生活の洗礼だった。だいたいそう。春に引っ越したらみんながだいたいハマる罠。春の朝晩、だいたい寒いの洗礼だった。
この頃はまだ、自分がアイドルオタクだという自覚はなかった。人生で一番たくさんの自己紹介をする、春。この時はまだ一度も、アイドルが好きです。という言葉を発することはなかった。
こうして、始まった一人暮らし。
自由な時間が圧倒的に増えた。
この増えた時間のほとんどが動画鑑賞に消えていくことになる。そこでメキメキとアイドルオタクとしての小川が出来上がっていくことになる。