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何かを守ることはヘイトになりうる
ぺけったーとかで、このような書き込みを見た人は多いのではないだろうか。
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「消防団よりの連絡なので」とか書いてますが、消防団はその情報を否定しており、完全なデマです。
地震などの災害が起きるたびに「ナイフを持った外国人がいる」とか「マイクロバスに乗った外国人窃盗団がいる」とかいう注意喚起がなされるわけですが、それらの情報の殆どはデマです。
こういう情報は、受け取った側も「被災地の人が心配だし」という完全なる善意で拡散しがちで、「たとえデマであっても被災地のためになるのでいいのでは」と多くの人が考えているのではないでしょうか。
問題はそのような人々の善意に付け込んで「外国人」の恐怖を煽っている点です。もちろん、被災地で窃盗が発生しないわけではないし、窃盗をする犯人の中には外国人が存在することも事実です。しかし本当に被災地の心配をするのであれば、「外国人が」という部分は不要な情報であり、ただ「窃盗団に注意」としたほうが良いはずです。
少し考えればわかることです。「既におきた犯罪の犯人が外国人だった」ならまだぎりぎりわかりますが、「これから起こる犯罪の犯人が外国人であるか日本人であるか」など誰にもわからないことです。「日本人なら注意しなくてよい」などということはありません。
震災のたびに「窃盗団が」というデマを流す人たちが、まいどまいど「外国人が」とつけているのは「外国人が犯罪をしている」という話を流して外国人に対する恐怖を煽ることを目的としているのです。彼らは被災地のことなど何も考えていません。誤った情報によって被災地の人が、実在しない窃盗団を探すことになるかもしれないとかそういうことは一切考えていないわけです。本当にひどいことをしているのは、外国人ではなくそのようなデマを流している人であることは明らかでしょう。
なぜ彼らがそのような極悪なことをするかというと、それは「外国人を追い出すことが日本人のためになる」と考えているからであり、かれらの自意識は「日本人を守ろうとしている」から「外国人に対してデマを流す行為は正当化される」となっているのでしょう。
で、ここからが本題なのですが、昨日一部で問題視されてたのがこの件です。
札幌のシーソーブックスさんはアビゲイル・シュライアーの『トランスジェンダーになりたい少女たち』のツイートを削除されました。経緯は不明ですが適切な対応をされるものと信じて見守ります。#トランス差別に反対します https://t.co/0LuQ2LEpT0 pic.twitter.com/fEyDuzLj2l
— ゆーすけ/유스케/Yusuke (@yoox960093) April 27, 2024
シーソーブックスというのは決して普段からヘイトを垂れ流すようなそんな本屋ではないそうですが、そのような本屋が例の本を「読めばヘイト本でないことがわかります。10代の子どもたちを救おうとして書かれた本です」として一部で大変な騒ぎとなりました。
トランスヘイターの皆様は同様に「女性を守ろうとしているだけでヘイトではない」という言い訳が好きなようですが、前半の話で書いたように「何かを守る」行為は「それの行為がヘイトである」という事実を否定しません。
「何かを守ろうとしつつヘイトをしている」は十分に有り得る話であり、むしろ「ほとんどのヘイトは何かを守ることを建前としている」とすら言えるでしょう。
すでに指摘されているように「あの子もトランスジェンダーになった」と題する書籍ではトランスを考えていた少女たちに対する聞き込み調査を行っておらず、親の判断によりトランスであることを否定された子どもたちが本当に「救われて」いるのかどうかすら不明です。
もし仮に「親の説得でトランスを諦めた少女」の中に本当のトランスジェンダーがいたら、その子はいまごろとてつもない苦しみを味わっていることでしょう。このような雑な議論を許してしまえば、トランス当事者の子供をシスジェンダーに「矯正」することを正当化しかねません。
「子供を流行のLGBTから守らねば」という主張。その主張は「外国人から日本人を守らねば」という建前で外国人を攻撃する人たちと同じ位置に立ってはいないでしょうか。たとえば「自分の子供がLGBTであってほしくない」という願望が根底にあるのではないかと私は感じます。
自分の子供を守りたいがゆえに「一時的な気の迷いだよ」「そのうち好きな人ができるよ」というのはLGBTの子供を持つ親がよくやりがちな失敗例です。子供が本当にLGBTだった場合、それらの言葉を受け取った子どもたちは「親に存在を否定された」と強く感じるのではないでしょうか。最悪の場合、子供を失うことにもなりかねません。
イーロン・マスクが自分の子供のトランスを認めないせいで、子供から絶縁されているのは有名な話です。
我々がいますべきなのは「なにかを守ろうとしているその行為が、別のなにかに対するヘイトになってないか」と一旦立ち止まって考えることではないでしょうか。
たとえば、女性の人権を守るのに、トランスジェンダーに対するデマを流すことは必要なことでしょうか。
もちろん未成年のトランス医療は慎重に行うべきだというのはそのとおりです。しかしながら、「SNSなどの影響でトランスするのが流行っている」とする言説に根拠はあるのでしょうか。それは「外国人窃盗団が」のようにただトランスを攻撃するために有りもしない犯罪を捏造して攻撃しているこういではないと言えるでしょうか。よく考えてもらいたいですね。
追記(2024/04/30)
洗脳済みのやべーやつがいるので追記しておきますね。
令和2年度における外国人全体の検挙人員は9,529人で、このうち、来日外国人は5,634人、その他の外国人は3,895人となっています。令和2年度の検挙人員総数が18万2582人であることから、外国人の犯罪率は全体の5%しか占めていないことが明らかとなっています。
ちなみに令和2年度末の時点で来日外国人はだいたい170万人ほど、永住者などは120万人ほどいますが、どちらも割合としては0.3%程度が検挙されたことになります。日本に住む日本人で計算すると、日本人の検挙人員はおよそ18万人程度なので、その割合は0.2%程度です。来日外国人・その他の外国人の0.3%程度は若干高いと言えますが、明らかに多いとは言えない差です。