「女性」を「生理のある人」と言い換えているわけではないという話
結構前ですがハリーポッターの作者、J.K.Rowlingが以下のようなツイートをして話題になりました。
少し意訳も含めて書くと以下のような感じでしょうか。
わかりにくいですが、JKRが言おうとしているのは「ウーマン(女性)」という単語が「生理のある人々」を表すのに使われていた、ということであり、JKRが問題としているのは「なぜ女性という単語を使わないの?『女性』を『生理のある人』と言い換えたのでは?」という話です。
なんせ世界的に大ヒットしたあのハリーポッターの作者ですから、このツイートは大いに拡散されて「女性を生理のある人と言い換えるなんてなんて無神経なんだ」という感じで話題になりました。
果たして本当にそうでしょうか。これを読んだ当時、正直に言うと私自身もあまり意味がよくわからずどこをどう間違えているのかわからない状態でした。
が、この話を簡潔に解説する良い記事があります。
そう、私自身も最初、流れてくるツイートを見て「トランス女性に配慮してトランスではない(シス)女性を生理のある人と言い換えたのか?」と思っていたわけですが
それは完全な誤解であり
「生理のある人」という表現はトランス男性(※身体的性が女性でありジェンダー・アイデンティティが男性である人)への配慮であり、トランス女性(※身体的性が男性でありジェンダー・アイデンティティが女性である人)への配慮ではない、ということです。
生理のある人はシス女性(の一部)だけではなく、トランス男性(の一部)だということ、それを表す良いツイートがありました。
この方はトランス男性であり男性ホルモン投与を行っているので見た目は完全に男性ですが、子宮摘出はしていないので生理はあるということなのでしょう。
JKRが問題にした記事で「生理のある人」とは一体何を表しているのか、それを解説した図を作りました。
ようは「生理のある人」は「生理のある人」であり女性を言い換えているわけではない、ということです。
それを頭に入れた上でもう一度あの記事を読んでみましょう。
私自身はセンター英語198点程度のへっぽこですので全文翻訳することは避けたいと思います。気になるひとはDeeplなりなんなり使ってください。この記事をスーパーグレートにざっくり要約するとこんな感じです。
はい、この記事はまさに生理の話をしていて「生理のある人」を救わないといけないので「生理のある人」と書いているわけです。それは例えば「前立腺がんの患者を男性と変換しない」とか「乳がんの患者を女性と変換しない」とかいうのと同じであり、「女性を生理のある人と書かなければトランス差別だよ」などという主張はどこにも書かれていません。
ではここで書いている「すべての生理のある人」とは具体的に何なのか、それは冒頭付近ではっきり示されています。
"girls, women, and gender non-binary persons"が"menstruate"しているということなのでここで言う"gender non-bainary persons"とは「生理があるが性自認が女性ではない人」ですね。
つまり、"people who menstruate"の表記は「生理=女性」とはしないために使われた表現であることは明らかです。
気づいたひともいるかも知れませんが、この記事では"women"という単語が10回も登場しています。JKRが皮肉ったような「ウーマンが思い出せないなあ??」なんていうのはこの記事の中身を読んでいれば絶対にでてこない発言です。おそらくJRK及びJKRにつられている人々はこの記事のタイトルだけを見て反応していて中身を見ていないのではないでしょうか。この記事が生理の環境を整えるために投資を呼びかけた記事だということを把握しているひとはとても少ないように感じました。
この記事の内容を把握しているならば、生理と全く無関係の文脈で「女性を『生理のある人』といいかえなければトランス差別なんじゃないの?(嘲笑)」とか「男性は射精するひとと言い換えるべきか(嘲笑)」とか言えるはずがないですね。
先述の通りあの記事は「生理=女性」とはしないために「生理のある人」と書いているわけですが、それにたいしてJKRは明示はしていないですが「生理=女性」としてしまっていますね。はたしてトランス男性を女性だといっていているのは誰なのでしょうか。
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