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雪かきをめぐる攻防

この季節がやって来た。うんざり。

屋根からの落雪や雪の捨て場所など、お隣との戦いの話ではない。お隣さんはいい人。敵はいつも家族にいる。

雪かきが嫌い。それでなくても寒いの嫌い。四十肩……順調に五十肩。毎年、自分の身体と相談しながらイヤイヤやってきた。

結婚して家を建てた。夫が設計した家は、玄関が道路の反対側にあった。春から秋は良い。南向きのドアを開けると、小さいけれど庭がある。木には鳥がさえずり、芝生では猫が遊んでいる。しかし冬になると、景色は一変する。

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2018年1月。家の中から撮った写真。今の家ではない。この年の8月この家を出て離婚した。車が2台写っている。奥のビニールハウスはお隣さん。車のちょっと前、白樺の木までが狭い庭。掘り出した息子の車が出て行ったあと。

「大したことないじゃん」て思いますよね。今年の大雪の報道がスゴくて、今この写真見ると、わたしもそう思います。

うしろ側が道路。右側に玄関への通路。わたしと子供たちの車は、道路からぐるっと左側を廻って入って来て、冬だけ玄関前を通り右から出て行きます。雪かきが間に合わない。

道路から玄関までの通路、夫はそこに車を停めていた。車の幅でちょっとだけ雪かきすれば、すぐに出て行ける距離。自分さえ良ければいいという人だった。あとは言うまい。

車の跡が四角く残った雪をかく。車から落とした雪も積み上がっている。ようやく玄関にたどり着くまでで1時間ぐらい。だいたいこの辺で喘息の発作がおきる。

長くなりそうだな。思い出したらイヤになってきた。

家の周り全部かくのに5時間かかる。もちろん毎日こんなに降るわけではない。休み休み2日に分けたりもする。子供が生まれてからは、遊ばせながら。ソリの坂を作ったり、雪ダルマ作ったり。

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免許をとった子供2人がそれぞれの車で学校に通うようになって、あの写真の冬が一番大変だった。時間に合わせて車を出せるように、早起きして孤軍奮闘。本人たちはギリギリまで起きず、それぞれ自分の身支度。なかなか外に出てこない。おい!自分でやれ。疲れたぞ。まぁ休みの日は手伝ってくれたけれども。

いや、もういい。終わったことだ。家を建ててから冬が24回。がんばった!ちなみに、雪かきがイヤで離婚したわけではありません。そりゃそうだ。

実家に出戻った。ここの雪かきはすぐ終わる。玄関から真っ直ぐ道路。なんだこんなの。カラ元気で雪かきをする。ところが、ここにも敵がいた。86歳の父だ。わたしのやり方が気に入らないらしい。

今年、家の前の道路が拡張された。松やオンコの庭木を伐ることになった。業者さんに頼んだが、父はツツジの木だけは「花が咲き終わってから自分で伐る」と言って聞かなかった。淋しかったと思う。

庭がアスファルトになり、わたしと娘の車が並ぶ。わたしがせっかくきれいにかいた雪を、わざわざ持ってきて真ん中に積み上げる。そんなところに置かれたら方向転換もできないじゃん。

父は眼底出血のあと、両目の視力が急に落ちた。真っ白い雪は境目がわからないらしく、玄関から道路までの通路と庭との境目に、ぼっこ(北海道弁?棒っこ?)を立てていた。

父が新しく積み上げた雪、ぼっこが立てられたその位置は、かつての庭との境目だ。父の目には伐ったはずの松やオンコやツツジの木が、ちゃんと見えているらしい。

わたしが冬にうつになる原因は、なんだろう。いつも一人で頑張ってきた。孤独だった。辛かった。自分以外は敵。自分の心を守ってきた。時々、海や青空の写真を見るけど、余計に辛くなる。いつも外は真っ白、雲がどんよりだ。

ここまで書くのに10日かかった。10日もかかったけど書いたら少し気が晴れた。そうだ、固定記事にも書いたっけ。愚痴を書いて笑って忘れなきゃね。


いつも読んで下さる、ツバメさん、タヌキさん、猫さん、犬さん、熊さん、ウサギさん、鳥さん、動物ばっかりだな、ほかにも色々な動物…、いや、人間のみなさん。ありがとうございます。今年noteを始めてよかったです。


雪かきの事故が多発しています。北国のみなさん、どうか、くれぐれもお気をつけて。



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