RSGT 2025 初参加しました


はじめに

RSGT(Regional Scrum Gathering℠ Tokyo)2025 の参加レポート・感想です。

以前とあるコミュニティで RSGT 2024 の動画を紹介いただき、
いろんな意味で衝撃を受けるとともに自分も是非参加してみたい!となり、
今回初参加しました。

オンラインですが、とても色濃い熱量を肌で感じることができた3日間でした。
印象に残ったものをいくつか感想として書き留めておきます。
※手元のメモから書き起こしてますので、発表内容との細かな違いなどはご容赦ください。

The Best Product Engineering Org in the World

スピーカー:James Shore さん

Day1 の Keynote、書籍「The Art of Agile Development」※の著者の方です。
※初版は日本語もありますが、第2版はまだ英語のみです。

開発生産性は測ることはできない、けど良い開発組織とは?といった流れで
セッションでは以下の6つの要素をあげていました。
(括弧のなかは私の意訳です。)

  • People(人材・職場)

  • Internal Quality(内部品質)

  • Lovability(愛され力)

  • Visibility(可視性)

  • Agility(俊敏性)

  • Profitability(収益性)

とりわけ「People」のところで、
"チーム全員がリーダーシップの役割をする"と言っていたのは印象的でした。

スライドでは「Peer Leadership」と表現されていましたが、シェアド・リーダーシップ(共有リーダーシップ)と類似のものととらえました。
個人的にこれは「みんなリーダーシップっていってもどう意思決定していくの?」って思ってたんですが、
"誰かがリーダーシップの役割をもっているわけではなくて、状況に応じて対応していく、もっともその状況に対して知識がある人に従って動いていく"といったことを言っていてとても納得感がありました。
そのためにも、チームで互いの得意不得意を把握しておくことが大事なんだな、と感じます。

エンジニアリングマネージャー視点での、自律的なスケーリングを実現するFASTという選択肢について

スピーカー:Yoshiki Iida さん/Takeo Imai (Bonotake) さん
資料:

正直「FAST」をあまり聞いたことなかったので参加してみましたが、
開発組織としての実体験が色濃く出ていて、とても印象に残りました。

機能単位で分かれているスクラムチームに対して、
機能間をまたぐ改修が増えてきて、
いきなり認知負荷などの課題が頻発した、という経緯でした。

改善策として進めた「FAST」はタスクに対して人が"自律的に"集まる、
という OST のような形式のようで、
2日単位など短い期間でチームが入れ替わるようです。
チーム間の情報共有も活発化して認知負荷も減るし
自己組織的に連携するようになる、ということで良いことは多いようにみえました。

また、
上意下達でこれらの組織改善の方向性を決定せず、
推進チームとして自立的に進めている点は非常に素晴らしいと感じました。

しかし、
「FAST」は自律性とリーダーシップが強く求められるうえに
チームに溜まる知が分散してしまうような気がしており
そのあたりをどう解消されているのか・考えているのかは気になりました。
(知識が広く薄くなると結局認知負荷が高まるような...)

組織のスケーリングはどこにでもある問題だとおもえるだけに、
非常に深く聞き入るとともに、学びになるセッションでした。

Closing Keynote

スピーカー:Hiyoshi Homma さん

Day3 の最後です。今回一番感銘をうけたセッションでした。
ここだけでも参加した価値がありました。

ホンダの CITY の開発に携わった方だということで、現在は児童福祉関連のお仕事をされているそうです。
まずとても言葉がきれいで、すんなり入ってくるイメージがありました。

そもそも RSGT でなぜ?ってところでいくと
スクラムの語源にもなった「The New New Product Development Game」という論文の
インタビュー先となった企業・組織であるということらしいです。
つまり、スクラムの源流の源流ということのようです。
(論文を発表された方は企業の研究者なので、ホンダがその研究対象・インタビュー先のひとつだったということ)

本間さんは"インタビューでラグビーの話を深く考えずに言ったらけっこうウケたみたいだった"といっていたので
「えぇ、軽い...」とめちゃくちゃ驚きましたw

そしてホンダ CITY の開発の話に移ると、
「若者ユーザーを取り返したい」という上の指示のもと
若い開発者が斬新なアイデアを提案したといった旨のお話がありました。
"このとき提案したのが私です"っていったときはさすがにかっこよすぎましたね。

最後あたりに
「管理型のリーダーシップ」ではなく
『何ができるか何ができないのかわかるまで皆で考えよう!』という
「変革ができるリーダーシップ」というお話もありました。
このあたりは Day1 Keynote にもつながってきてわかりみが深かったです。

DevOps やアジャイルといった関連の書籍を漁っていると、
製造業との関わりはけっこうでてくる気がするので
やはりこのあたりのお話を聞けるのはとても貴重でありおもしろかったです。
また、「チームでつくる」「一緒に考える」を改めて考えさせられる内容でした。

おまけ

なにかの会話ではじめて知ったんですが、今年 Kent Beck 氏が来日されるそうです。
丁度年越しながら「Tidy First?」をよんでいましたので、楽しみです。
該当の登壇だけでもききたいなとおもいます。

まとめ

スクラムをはじめて日が浅い私にとっては、
"コマンド&コントロール"から自己組織化を目指し"チームでつくる"といった体制へのギャップが(良い意味で)強くありました。楽しいですが、どう行動するのがよいのか暗中模索する毎日です。
そういった現状に対して、有識者の意見や実体験による知見はとても参考になりました。
書籍などでは得られないものもたくさんあると感じます。

もちろんここで得たものは必ずしも"答え"とは限りませんので、
自身の組織・チームで活かすための支えにしていけたらと思います。

最後に、イベント運営・登壇・その他の皆様、お疲れさまでした & ありがとうございました。
また、イベント参加に際し快く送り出してくれたチーム・組織にも感謝です。
ありがとうございました。

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