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Green Dayら出演!5万人以上を収容した<Hella Mega Tour>LA公演、現地ライヴ・レポ!

今回は、グリーン・デイ(Green Day)の本国USで実施された<Hella Mega Tour>の現地ライヴ・レポートをお届けしたいと思います。

新型コロナウイルスの影響を受け、2020年夏から延期されていた当ツアー。
1年後となった21年夏の7月24日のダラスからスタートし、ウィーザー(Weezer)フォール・アウト・ボーイ(Fall Out Boy)とともに、北米各地のスタジアム・クラスの会場を巡っていました。

LA はドジャースタジアムにて、9月3日に行われたライヴ・レポートが、現地在住の音楽ジャーナリスト、鈴木美穂さんから到着いたしました。

ザ・ヘラ・メガ・ツアー、ロサンゼルス公演レポート(2021年9月3日)

コロナ禍で初、そして21ヶ月ぶりのコンサートだった。しかもただのコンサートではない。

今夏最大のロック・ツアー、“ザ・ヘラ・メガ・ツアー”である。グリーン・デイが、同じマネージメントに所属するフォール・アウト・ボーイウィーザーとタッグを組んで全米のスタジアムを回る本ツアーのロサンゼルス公演は、1年の延期を経て、LAが誇るドジャースタジアムで行われた。屋外ではあるがマスク着用がルールで、食べ物やマーチャンダイズの購入はクレジットカードのみ、またチケットは、携帯に入れたチケットのみが許可されていた。約2年前から楽しみにしていたコンサートとはいえ、突然何万人もの人々が集結している場所に来ると、やはり少し緊張せざるを得ない。席についてからは、マスクを外している人達も結構いた。 

オープニング・アクトのジ・インターラプターズに続き、18時すぎにロサンゼルス出身のウィーザーが登場。56,000人収容の場内は、最上階の席まですでにほぼ埋まっている。『Van Weezer』が発売されたばかりなので、イントロではヴァン・ヘイレン(Van Halen)「Jump」が流れ、同作のファースト・シングル「Hero」で勢いよく幕を開けた。リヴァースはなんと80年代に流行ったマレットヘアで、鋲のついたライダースを着ている。

約1時間のセットリストは、『Blue Album』『Green Album』『Red Album』と長年のファンが大好きな一連のセルフタイトル作のヒット曲を網羅しつつ、「The End of the Game」「Feels Like Summer」「All My Favorite Songs」等、一気に多作になった過去数年の新しい曲もしっかり入れ、終盤で予想外に大ヒットしたトト(Toto)「Africa」のカバーを披露してさらに盛り上げた後、「Say It Ain't So」「Buddy Holly」の大合唱と共に幕を閉じた。最後に4人が並んで挨拶をすると、「ウィーザー!」コールが巻き起こった。

(↑ 今回のツアーから「All My Favorite Songs」パフォーマンス映像)

彼らの記事を書く度に強調してきたことだが、ウィーザーは本当に優れたライヴ・バンドだ。「エモ」という言葉が存在しなかった90年代から、リヴァースは切なさと哀愁を根底に湛えた彼ならではの声で最高にエモい歌を歌い続けていて、今も変わらず瑞々しい彼のヴォーカルはライヴになると一層エモさを迸らせ、その歌声と百戦錬磨のタイトなバンドが叩き出す激しいリフと体を突き動かす強靭なビートとの融合が実に見事で、涙腺が緩むほど素晴らしいウィーザーのショウを見せてくれた。他のバンドと同様にあと30分長くやって欲しかった。

続いてフォール・アウト・ボーイ。巨大な木がそびえているステージ上に4人が登場し、大歓声を受けてダイナミックな「The Phoenix」でショウがスタートした。2曲目にデビュー・アルバム収録の代表曲「Sugar We're Going Down」が早くも披露され、場内が爆発的に沸く。2000年代にデビューした彼らはグリーン・デイウィーザーの一世代後のバンドではあるけれど、すっかりベテランの域に入っていることに気づいて感慨を覚えた。フォール・アウト・ボーイは今も同世代のバンドの中で一番売れていて、新作が出る度にシングルがラジオで流れ、2010年代に発表された3枚のアルバムはどれも全米1位を記録している。
中盤で、ショウのMCと盛り上げ役を担っているベーシストのピート・ウェンツは、観客にこう語りかけた。
「今時のキッズって、ロック・ミュージックを聴くのか?」。歓声と拍手。「このツアーが決まった時に思ったことなんだけどさ、今、この完売のドジャースタジアムのステージに立って、実感してるよ。キッズはロック・ミュージックを聴くんだ!」。次の瞬間に始まった「Save Rock And Roll」は、時代の流れに敏感に対応してかなりポップなロックやダンサブルな曲を作り続けてきた彼らが、真のロックバンドであることを伝えてくれた。そしてピートの言葉通り、このツアーは、ロックがまだ生き続けているどころか繁栄し続けていて、愛され続けていることを証明していた。

21時半頃、場内の熱気が最高に高まったところで、グリーン・デイのショウのイントロ(クイーン(Queen)「Bohemian Rhapsody」ラモーンズ(Ramones)「Blitzkrieg Bop」)が流れた。

ドジャースのTシャツを着た着ぐるみのうさぎが出てきて、踊りながら観客を盛り上げた後、ビリー・ジョー、トレ、マイクの他に長年ツアーメンバーを務めているジェイソン・ホワイトと、新たに加わったキーボーディストとギタリストの6名が登場し、「American Idiot」に突入。

スタンディングの観客は一斉にジャンプし、その中央でモッシュピットがぐるぐる周りだし、全観客が大合唱。

※こちらの映像は今回のLA公演のものではありません

最初にビリーが大観衆に向けて放った言葉は、「携帯を置けよ、しまえ!」だった。

「俺達は過去一年半、ずっと家で一人で携帯を見続ける生活を送ってたんだ。今夜はやるな! これは俺達、君達が一つになって、一緒に歌って、踊って、叫ぶ機会なんだ。カリフォルニアが団結する時だ!」

それから「生きてるって感じてるか!」とビリーが叫び、「Holiday」に雪崩れ込んだ。ビリーはサビの部分を観客に叫ばせ、手拍子を促し、場内の結束力をどんどん強めていった。

単独公演と比べて持ち時間が短いので、全英1位を達成した最新作『Father of All...』からの新しい曲は敢えて入れずに、往年のヒット曲を網羅したベストヒット的な内容で、この巨大なロック・ツアーに相応しく、キッス(Kiss)「Rock And Roll All Nite」のカバーも披露。

彼らのコンサートでは定番になっている観客の声援合戦も行われ、ビリーが客席を右と左に分けて合図を出して叫ばせた。5万人以上の歓声は圧倒的な山彦のようにこだまし、ショウのハイライトを作っていた。

「ギター弾けるやつ!」とファンをステージに上げて彼らと一緒に演奏させるのも定番で、ビリーに選ばれてギターをプレイした青年は、最後に「そのギターは持って帰っていいよ!」と最高のプレゼントをもらっていた。

特に感極まったのは後半で、「Basket Case」「She」とメジャー・デビュー作『Dookie』のパンク・ロック曲を90年代と全く変わらない驚異的な勢いでプレイした後、ビリーは胸に刺さる鮮やかな声で「Wake Me Up When September Ends」を歌い上げた。

「俺は今も息してる」と、剥き出しのエモーションを炸裂させる「Still Breathing」に突入。
2016年発表の『Revolution Radio』のシングル曲だが、過去1年半の世界の状況を思うと、まさに今のアンセムのように感じられる。
この曲をビリーと共に大観衆が合唱している様は、本当に圧巻だった。

それから「Jesus Of Suburbia」で最高の盛り上がりを作って一旦締めた後にビリーが一人で登場し、アコースティックの「Good Riddance (Time Of Your Life)」で大観衆を一つにして、ステージの後ろから打ち上がる豪華な花火と共に、最高にロックな夜は終わりを迎えた。

帰り際、女子二人が「来る価値があった!」、「マジで価値あったね」と言い合っていた。昔からコンサートの後によく耳にする会話ではあるけれど、彼女達の感想には「コロナ禍だけど」という言葉にはしない部分が含まれていて、かつての何倍も、重みのある言葉になっているのを感じた。
私も本当に同じ気持ちだった。大好きなバンドのライヴを他のファンと共有することほど、生きている実感と感謝を得られることなんてない——ほぼ2年ぶりに改めてそう思わせてくれたグリーン・デイに、心からのありがとうを送りたい。そして来日公演も、このツアー後にぜひ実現して欲しいと切に思う。
(鈴木美穂)
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更なるブレークスルー感染の懸念から、ワクチン接種証明やマスク着用義務化などの感染拡大防止措置が議論されている中での実施となった<Hella Mega Tour>

USでもまだまだ手放しに喜べる状況ではありませんが、少しずつながらもライヴ・ビジネスを回復させていこうという意思を感じとれます。

まだ少し先のことにはなりそうですが、残念ながら中止となってしまった彼らの来日公演が実現することを祈りながら!

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