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RED HOT CHILI PEPPERS約16年ぶりの日本単独公演、2023年2月19日東京ドーム公演レポート

RED HOT CHILI PEPPERS(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、約16年ぶりの日本単独公演、2023年2月19日東京ドーム公演のライヴ・レポートをお届けします🔥東京ドームが熱狂の渦に包まれた伝説の公演に行けたよ、という方も行けなかった、、という方もこの note から「もう夏か!?」というくらい熱を感じられること間違いなし!🌶

伝説のバンドが日本に戻ってきました!

文=網田有紀子

写真=Kazumichi Kokei

レッド・ホット・チリ・ペッパーズが、東京ドームに還ってきた――2007年に初の東京・大阪2大ドーム公演を行って以来、実に16年ぶりの単独公演が実現した。今回注目すべきは2019年に二度目の再加入を果たしたギタリスト、ジョン・フルシアンテの復活と、それを受けて6年ぶりのアルバムを昨年中になんと2作もリリースした後の新作ツアーでもあるということだ。昨年6月にヨーロッパから始まったツアーは「グローバル・スタジアム・ツアー」と名付けられ、その一環となる東京公演はまさにその名にふさわしい壮大で圧倒的なステージだった。そして鉄板ラインナップのバンドを迎え撃つオーディエンスの熱量も半端じゃなかった。先に16年ぶりの単独公演と書いたが、レッチリはその間夏フェスで3度来日し、洋楽アーティスト屈指の人気を定着させている。もはや伝説となった第一回目のフジロックでのステージや、東日本大震災が起きた2011年にサマーソニックのヘッドライナーとして来日してくれたことなど、日本のファンにとって思い入れの強いバンドだ。開演前の会場内外に漂う高揚感からは、バンドに対する絶大な信頼感も伝わるようだった。

写真=TEPPEI KISHIDA

イントロのジャムからドラムのチャド、ベースのフリー、そしてジョンの3人はいきなりフルスロットルで、オーディエンスを温めるどころか早くもノックアウトする勢いで超絶技巧のプレイを見せ付けた。実質的なオープニング曲「Can’t Stop」のイントロが始まると、ボーカルのアンソニーの登場と相俟って会場は一気に熱狂の渦に巻き込まれ、同じくアルバム『By The Way』収録の「The Zephyr Song」の心地良いメロディに身体を揺らし、レッチリのライブが始まった喜びをかみしめた。続いて披露されたのは新作『Unlimited Love』からの「Here Ever After」で、リズミカルなドラムにベースとギターが寄り添うように絡み合い、その波をボーカルがなめらかに乗りこなしていくという、ジョンが復活した今の4人ならではのケミストリーが感じられる新曲だ。日本の前に周ってきたオーストラリアなどでは、セットリストにヒット曲が少ないと不満の声が上がったりもしていたが、今回の東京公演ではアンコールを含めた全17曲中、新作2作からの曲は7曲だった。ジョンのギター・ソロに痺れる「Eddie」やタイトなドラムが際立つ「These Are the Ways」「ヤーヤヤヤー」の掛け声が耳に残るグルーヴィーな「Tippa My Tongue」、『Unlimited Love』のファーストシングルで新生レッチリの到来を告げたメロディアスな「Black Summer」など、新しい曲はどれもこの4人で再び集まって曲作りができる喜びにあふれていて、それをライブで聴くオーディエンスにはそんな今のレッチリを体感できる喜びを与えてくれた。

写真=Kazumichi Kokei

ステージにはバックドロップ全体と両サイドに大きなスクリーンがあり、グルーヴをそのままビジュアルにしたようなサイケデリックな映像(メンバーの姿とリアルタイムで合成されていたのもかっこよかった)で視覚的にも楽しめた。「Snow ((Hey Oh))」では左にアンソニー、右にジョンの顔が大きく映し出され、2人でコーラスをハモる姿にじーんときた。演奏中のメンバーの手元がアップになるのも見どころで、ベースの弦の上で叩き付けるように力強く、それでいてステップを踏むように軽やかに動き回るフリーの指には何度見ても驚かされた。還暦の概念を変えるチャドのパワフルなドラミングはどれだけ体力があるのかと恐ろしくなるほどで、常に楽しそうにしているのがまたすごい。真っ赤なスカジャンを着て登場したアンソニーは、その後黄色いメッシュのシャツ姿になり(裾をめくり上げて頭にかぶり、のしのしと歩き回るところが最高)、気が付けばそれも脱いで股間に稲妻が走るハーフパンツ一丁になっていた。

写真=David Mushegain

それぞれ熟練の技を見せる彼らだが、いくつになっても大人と子供のいいとこ取りのような、仲間と一緒に音楽をやるのが楽しくてたまらないという変わらなさがあるのがいい。曲のアウトロでフリージョンが向き合って長いジャムを続けたり、アンソニーも加わって全員がドラムキットの前に集まったりする場面は、ここがドームであることを一瞬忘れさせ、まるでスタジオでの様子を覗き見ているかのような親密感があって心温まる光景だった。

写真=Kazumichi Kokei

この日一番饒舌だったフリーは、スパッとしたエンディングがかっこいい「Suck My Kiss」の後で

「今朝食べた和朝食に小鉢がいっぱい並んでいて何を食べているのかまったくわからなかったけどおいしくて、ミステリアスでビューティフルなのが日本のいいところだ」

と言って笑っていた。そして科学者と相談した結果、史上最もスローな曲のやり方がわかったと言って始めたのが、超絶速弾きベースの「Nobody Weird Like Me」! 89年の名盤『Mother’s Milk』からのレア曲に会場が沸いた。そんな沸騰状態はフリーとジョンがひとしきり絡んで始まった「By the Way」で最高潮に達し、ジョンのボーカルで完璧な形になったこの曲で本編の幕が閉じた。

アンコールでステージに戻ってきた彼らが鳴らし始めた「Under the Bridge」に、オーディエンスはスマホのライトで応えた。絶望的な孤独を歌ったこの曲が、満天の星のようにキラキラと輝く数万の光に照らされて、みんなの歌へと昇華していく様は泣けてくるほど感動的だった。そしてラストの「Give It Away」の大爆発で涙は吹き飛ばされ、あまりの盛り上がりに笑うしかなかった。途中アンソニーフリーに質問があると言って(「恥ずかしいやつ?」との返しが笑えた)、どうやったらマスクをしていても笑顔かどうかわかる?と訊くと、「目を見たらわかるよ」とフリーが答える場面があったけれど、エンディングでアンソニー

「見える、君達の笑ってる顔が見えるよ」

と満足そうに言っていた。そしてオーディエンスに向かって

「今夜のショウに来てくれてありがとう。君達を愛してる。また会う日まで、みんな仲良くな。グッバイ!」

と言ってステージを去った。その言葉は未来への確かな約束のように響いた。生のサウンドを浴びて踊って(マスクの下で)歌ってジャンプして、あっという間に過ぎ去った1時間40分あまりは、ただただ最高に楽しかった。


■東京公演セットリストのプレイリスト(2023.2.19)


■大阪公演セットリストのプレイリスト(2023.2.21)


【Red Hot Chili Peppers関連商品】

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【最新情報】


■アルバム情報
アーティスト:Red Hot Chili Peppers / レッド・ホット・チリ・ペッパーズアルバム:Unlimited Love / アンリミテッド・ラヴ
リリース:2022年4月1日(金)全世界同時リリース
国内盤CD情報:WPCR-1850301 / ¥2,860(税込)

<トラックリスト>
1. Black Summer / ブラック・サマー
2. Here Ever After /ヒア・エヴァー・アフター3. Aquatic Mouth Dance / アクアティック・マウス・ダンス
4. Not The One / ノット・ジ・ワン
5. Poster Child / ポスター・チャイルド
6. The Great Apes / ザ・グレイト・エイプス
7. It’s Only Natural / イッツ・オンリー・ナチュラル
8. She’s A Lover / シーズ・ア・ラヴァー
9. These Are The Ways / ジーズ・アー・ザ・ウェイズ
10. Whatchu Thinkin’ / ワッチュ・シンキング
11. Bastards of Light / バスタード・オブ・ライト
12. White Braids & Pillow Chair/ ホワイト・ブレイズ・アンド・ピロー・チェアー
13. One Way Traffic / ワン・ウェイ・トラフィック
14. Veronica / ヴェロニカ
15. Let ‘Em Cry / レット・エム・クライ
16. The Heavy Wing / ザ・ヘヴィ・ウィング
17. Tangelo / タンジェロ
18. Nerve Flip / ナーヴ・フリップ※日本盤ボーナス・トラック

■アルバム情報
アーティスト:Red Hot Chili Peppers / レッド・ホット・チリ・ペッパーズアルバム:Return of the Dream Canteen / リターン・オブ・ザ・ドリーム・カンティーンリリース:2022年10月14日(金)全世界同時リリース国内盤CD情報:WPCR-18503 / ¥2,860(税込)

<トラックリスト>

1. Tippa My Tongue / ティッパ・マイ・タング
2. Peace And Love / ピース・アンド・ラヴ
3. Reach Out / リーチ・アウト
4. Eddie / エディ
5. Fake As Fu@k / フェイク・アズ・ファック
6. Bella / ベラ
7. Roulette / ルーレット
8. My Cigarette / マイ・シガレット
9. Afterlife / アフターライフ
10. Shoot Me A Smile / シュート・ミー・ア・スマイル
11. Handful / ハンドフル
12. The Drummer / ザ・ドラマー
13. Bag Of Grins / バッグ・オブ・グリンズ
14. La La La La La La La La / ラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ
15. Copperbelly / カッパーべリー
16. Carry Me Home / キャリー・ミー・ホーム
17. In The Snow / イン・ザ・スノウ
18. The Shape I’m Takin’ / ザ・シェイプ・アイム・ テイキン
※日本盤ボーナス・トラック


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