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武器兵器調達課#132: 「MGM-140 ATACMS」
今回は「MGM-140 ATACMS」について見ていきましょう。
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「MGM-140 ATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)」: アメリカが開発した超音速の戦術弾道ミサイルです。長距離かつ高精度な攻撃能力を持つことから、様々な紛争でその名が知られています。
ATACMSの特徴
長射程: 最大射程は300kmを超え、従来のロケット弾に比べてはるかに遠方の目標を攻撃することができます。
高精度: GPS誘導により、目標をピンポイントで攻撃できます。
多様な弾頭: 通常弾頭だけでなく、クラスター弾頭など、様々な種類の弾頭を搭載できます。
発射プラットフォーム: M270多連装ロケットシステムやHIMARSなど、複数の発射プラットフォームから発射可能です。
ATACMSの用途
深深度攻撃: 敵の防空網の射程外から、重要な目標を攻撃することができます。
時間的圧迫: 短時間で複数の目標を攻撃し、敵の戦力を無力化することができます。
心理戦: 遠距離からの攻撃は、敵の士気を低下させ、戦意を喪失させる効果も期待できます。
ATACMSの運用国
アメリカをはじめ、オーストラリア、韓国、モロッコ、ルーマニア、ギリシャ、トルコ、ポーランド、ウクライナ、アラブ首長国連邦など、多くの国で採用されています。
MGM-140 ATACMSの技術的な詳細
その技術的な詳細について...
誘導方式
GPS誘導: 主にGPS衛星からの信号を用いて目標を精密に誘導します。これは、長距離射撃において高い命中精度を実現するための鍵となる技術です。
慣性航法システム: GPS信号が遮断された場合でも、搭載された慣性航法システムにより目標へ到達することができます。
弾頭
通常弾頭: 爆発によって目標を破壊する一般的な弾頭。
クラスター弾頭: 空中に撒き散らされる複数の小弾頭で構成され、広範囲の目標を攻撃するのに適しています。
その他: 目標の種類や作戦に応じて、さまざまな種類の弾頭が開発・搭載されています。
発射プラットフォーム
M270多連装ロケットシステム: アメリカ陸軍が主力とする多連装ロケットシステムで、ATACMSを複数発搭載できます。
HIMARS: M270をより機動性に特化させたシステムで、ATACMS単発発射が可能です。
射程
最大射程: 300kmを超える射程を持ち、従来のロケット弾に比べてはるかに遠方の目標を攻撃することができます。
射程の可変性: 目標までの距離に応じて、射程を調整することが可能です。
その他の特徴
超音速: マッハ3を超える高速で飛行するため、迎撃が困難です。
機動性: 大気圏外に到達し、再突入する弾道飛行を行うため、予測しにくい軌道を描きます。
高い生存性: ECM(電子戦)対策が施されており、敵の妨害を受けにくい設計になっています。
ATACMSの優位性
長射程かつ高精度: 遠距離から敵の重要目標をピンポイントで攻撃できるため、戦況を大きく左右する可能性があります。
多様なミッションに対応: さまざまな種類の弾頭を搭載できるため、広範囲な作戦に対応可能です。
迅速な展開: 発射プラットフォームの機動性が高いため、迅速に展開し、攻撃を実行することができます。
今後の展望
新型ミサイルの開発: より長射程、高精度、多機能な新型ミサイルの開発が進められています。
AIとの連携: AI技術を活用し、目標の自動認識や最適な攻撃経路の選択などを実現する研究が進められています。
補足:
ATACMSは、その高い攻撃能力から、国際的な議論を呼び起こすこともあります。特に、クラスター弾頭の使用については、民間人を巻き込む危険性があるとして、禁止を求める声も上がっています。
各国の運用状況や技術的な詳細は、機密情報であるため、公開されている情報が限られています。
ATACMSの課題
高コスト: 1発あたりの価格が高く、経済的な負担が大きいという点が挙げられます。
射程制限: 一部の国では、射程を制限して使用されています。
倫理的な問題: クラスター弾頭を使用する場合、民間人を巻き込む危険性があります。
まとめ
MGM-140 ATACMSは、現代戦において重要な役割を果たす長距離精密攻撃兵器です。しかし、その高い性能の裏には、コストや倫理的な問題など、様々な課題も存在します。