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【Research】 物語のデザイン( 画家Nat Tate,Bridge Nr.114,Stanisław Lem「完全な真空」,Phillip K. Dick「高い城の男」)

【 1 - 19. Bridge Nr.114 】

1998年,伝説のアーティスト Nat Tate の伝記が出版されました。
Nat Tateは知る人ぞ知るアメリカの画家で,今では彼の作品は数点しか残っていません。この絵はその数少ない中の一つ,Bridge No.114 という作品です。

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実はこれはイギリスの小説家 William Boyd (ウィリアム・ボイド)によって創作された嘘伝記「Nat tate」という作品で Bridge No.114 は実際にはボイド本人が描いたものです。ボイドは Nat tate という架空の人物を作り出し,彼がいた証拠として絵をでっち上げたのでした。

昔から創作を現実のように作りこむ遊びは世界中にあり,この伝記もその一つと言えるでしょう。
現在,日本の嘘を嘘として楽しむ文化を手がかりに,Nat tate についてリサーチを重ねつつ彼の魅力も追いかけています。また,Bridge No.114 を描く際に使われた技法なども調べ,再現画を制作し展示する予定です。


【 1 - 20. Nat Tate 】

前述の小説家ウィリアムボイド著作の伝記「 Nat Tate 」の日本版を作ります。
Nat Tate は,幼少期に両親を亡くしたものの,恵まれた環境で美術に打ち込んでいました。しかし,最後には自身の作品の99%を燃やし自分も自殺したらしい。
彼の作品は実際に売却されたり,有名人の証言などによりほとんどみんなが彼の存在を信じていました。しかし,1998年 4/1 のパーティーで彼が存在しないということが明かされます。小説を読んだ後にもずっと騙される本であるという点が興味深いです。
Maki 達との議論で「彼の売却された作品についても調べてみて。」はという指摘をいただきましたが,売却された彼の作品についてもほとんど海外のサイトなので少し手こずっています。
現在は,引き続き Nat Tateの日本版として名称や,人物を日本人風にしたものを作ろうと考えています。彼の作品についてももう少し掘り下げていきたいです。

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【 1 - 21. A perfect vacuum 】

これは Stanislaw Lem (スタニスワフ・レム)著の,実在しない書籍に対する架空の書評集です。メタ的に作者が自分の書いた本を書評として書いています。オーダーはこの本の日本語版を購入することです。

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現在,実際に売られている日本語訳版『完全な真空』を購入し,メンバーで回し読みをしているところです。実在しない書籍と言っても,その元になったような書籍は存在しているなど,実際に読むとまた面白い発見があります。
今回のオーダーは日本語版の購入ですが,ブックデザイン的なアプローチも検討しています。また,本作に登場する架空の書籍も実際に物として作ってみたらどうだろうか,というアイデアも出ています。


【 1 - 21. The Man in the High Castle 】

テーマは Phillip K. Dick (フィリップ・K・ディック)が書いた「 The Man in the High Castle (高い城の男)」という小説です。「高い城の男」は様々な国の様々な言語で何度も出版されており,日本語版だけでも3種類以上の装丁がありました。

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この本の舞台は第二次世界大戦後のアメリカ。しかし物語を読み進めていくと,徐々に大きな違和感に気づきます。実はなんとこの世界では,枢軸国が大戦に勝利し,日本とドイツが世界を分割統治しているのです。そしてその日本ドイツ占領下で暮らす人々が,一冊の本を巡って物語を繰り広げていきます。
気になるその本の内容は,なんと「もし連合国が大戦で勝利していたら」つまり,虚構の中に登場する虚構が現実というなんとも不思議な物語なのです。
Makiからのオーダーは「この本の日本語版を購入すること」ですが,私たちの班では,メンバーそれぞれがこの小説を読み込み,最終的にどんな作品にしようか想像を膨らませています。
この虚構をテーマにした作品の中でもひときわ有名なこの小説から,一体どんな展示が生まれるのでしょうか。


画像引用元:
https://en.wikipedia.org/wiki/Nat_Tate:_An_American_Artist_1928%E2%80%931960
https://en.wikipedia.org/wiki/A_Perfect_Vacuum
(本記事に使用している画像に問題があった場合はご連絡ください。)

【 クラウドファンディングのご支援のお願い 】

本プロジェクトは,今秋の展覧会開催のためにクラウドファンディングを実施しています。
目標金額400万のうち,現在250万円以上のご支援をいただいております。
ご支援いただいた皆様,本当にありがとうございます!

こちらは7月末までの期日で,まだまだ皆様のお力が必要です。
少しでも「応援したい」と感じた方は,ぜひご協力よろしくお願いします!
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