【エッセイ】救うモノとは(ブラックぺアン感想文)
「本当に、救いたいんですか?」
誰かを助けたい・救いたいと思い、そう公言したものは必ず問われるのかもしれない。
その道に進んだ瞬間に、途中でリタイヤすることも、引き返すことも赦されぬからだ。
人の命にかかわる以上、自分の準備不足・チカラ不足は、自分ではなく、救いたいと思ったその人に光の速度でフィードバックされ、「チクッとしました」という程度ではなく、「事故による◯亡」という、突風の吹きすさぶ真冬の海の流氷の、深さ一万メートル下に沈められる事になる。
「次、頑張ります!」などという薄っぺらい前向きさやポジティブさなど到底赦されるモノではなく、「失敗は成功の母」ではなく、ただ単に「おまえが死神だ」と不特定多数の人間からの冷笑を招くだけであり、「僕、素人なんで」などと軽い気持ちで逃げの一手を打った瞬間に「ふざけたコトを吐かすな!!」と課長に怒鳴られた新入社員の指導員は僕だったコトを思い出す。
一方で、そういう場所に限って、超越的なチカラを持つ者がいる。
それは、金になるし、名誉になるし、自己陶酔・自己肯定・依存心の満足などなど、なんでも揃う東京・銀座の百貨店なみであるからだ。
そこでキミは目の当たりにする。
キミの実力では救えない命が、目の前で消えようとしているコト。今にも消えそうな声でキミに救いを求めて叫んでいるコト。それを救えないのはキミのセイであるというコト。そして、隣には、悪魔的超絶魔術によってその命を救うことのできる冷酷な欲望で固められた蝋人形が、立っているというコト。
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