死がチラついて笑えるか?
先月から本のシェア会をするとSNSやチラシで発信していたら「本を受け取ってくれないか?」という依頼が複数件きました。スペースの限りYORIMICHIに置いていきます。自分から発信しているとありがたいお誘いを受けることもあるんだなあと実感しました。今後も自分の考えはきっちり発信していこうと思うきっかけとなりました。
こんにちは!まるちゃんです!
今回はヨーロッパを周遊していた旅のときのお話し。日本ではまずあり得ないと感じたこと。2年ほど前、イタリアのローマからハンガリーのブダペストへ向かう飛行機での出来事である。
その日は天候が悪く、予定の時刻よりも1時間遅れての出発。ただでさえ夜中12時着の予定で、かなりしんどく疲れている状態での遅延のお知らせ。1月で冷え込む時期でもあり、気分は落ち込んでいた。
11時過ぎに飛行機に乗り込み、ようやく出発。遅延しているし雨も降っていたため、機内はなんとなく憂鬱な空気が流れていた。大体がイタリア人だったのか英語を話している人はおらず、何を言ってるのかわからなかったもののイライラしている雰囲気は感じ取れた。
出発して20分ほどして高度が上がってもシートベルト着用サインは付いたままで、なかなか揺れが収まらない。窓側の席だったので窓に張り付くように当たる雨をのんびり見ていたら急に空が光り、ドーーーンと背筋が伸びる音がした。雷が発生していた。そして揺れも雷も激しくなってきた。
私は旅行によく行っているので100回以上はおそらく飛行機に乗ったことがある。だから揺れる経験もしてきたのでそんなに驚きはしなかった。雷は初めてだったので少し気味は悪かったが。そして、眠たかったので窓にもたれかかって一眠りしていた。
30分ほど経っただろうか、スウッと落ちる感覚があり、なんとなく騒がしさを感じて目が覚めた。そう、飛行機は激しく揺れていた。ジェットコースターのようにフワッとなる感覚が断続的に続いた。言語はわからないけど機内は少し緊張感が出る。機内アナウンスも流れるけど英語がなかったから何言ってるかわからなく、自分も不安になってきた。
その瞬間、「スッ、スッ、スーーーーッ」と3段階で飛行機が落ちていった。その後バランスは取り戻したが、命の危機を感じるほど落ちていく感覚があった。機内も騒然としている。自分の頭にも「死」がチラついた。
そのタイミングで笑い声が聞こえてきた。少し経つと大勢の人が笑っている。揺れも激しい。パニックの中、想像力を働かせた。この人たちは死を実感しているとき、最後は笑っていたいのだろうかと。墜落がもしあったとして、恐怖に覆われながらではなく笑顔で死にたいのかと想像した。
多分日本で同じ状況だったらパニックで悲鳴が聞こえるだろうし、恐怖でざわざわして機内アナウンスでなんとか落ち着いてもらおうとする形になっていただろう。しかし、その機内は違っていた。恐怖の隣に、笑い声が存在する異様な空気感だった。私は隣が子連れの親子で英語を全く話せなかったので恐怖の中、ただ祈っていた。
そして着陸準備のアナウンスがなり、緊張感が走る。高度を下げ、相変わらず尋常じゃない揺れが続くもの、空港も街も見えてきた。運命の着陸。
ドン、ドドん、ドーーーーン
無事に着陸した。その瞬間
「ワーーーーーーッッッ」と大歓声。
ワールドカップで優勝したみたいな。100万円かけたカジノで勝ったかのようなガッツポーズがあちこち溢れる。こんな状態は初めてだとわかるお祭り状態の機内。全てが180度変わった。私も「生きている。確かに生きている。」と実感が湧き、ホッとした。これで旅を続けられる。緊張感が和らいだ。
あの日のあの瞬間をときたま思い出す。死の恐怖が自分をまとうなか、あの人たちは自分には思いつきもしない、なぜ笑うという選択肢が出てきたのだろうか。次
同じような場面が来ても笑えないだろう。ただ、死ぬときは笑っていたいという気持ちは理解できるし、笑っていたいとも思う。