[行動ファイナンス的なメモ]田舎の経済学
首都圏から地方の農村地域に嫁に来て早●十年。
この時期、犬を連れて近所を歩いているときゅうりや豆や果物といった農作物をいただくことが多い。
もちろんありがたく頂戴します!
乏しい料理の知識を駆使し冷凍保存の知恵を総動員して、基本、残らず食べきっております。
農家や家庭菜園を楽しむ土地持ちが多い地域だと、こうした「モノ」が無償で行き来する事態は結構ある。
シェアリング・エコノミーどころか、これはまさに贈与経済。
都会・田舎どちらでも、「いただきもの」をすることに抵抗がある人は多い。
そして、こういう人は、いただいた瞬間に御礼を言うのも苦手。
田舎の贈与経済については、人間関係の構築力が問題で市民としての成熟度が問われる、とか、返さなくてはいけないという返報性の原理に基づく善意の経済が精神的に負担なので現金決済のほうがラク、とか、いろいろな分析がされている。
いらないものもらっても困るし、という人もいるでしょうね。
贈与経済がうまく回せない人って、経済についての理解が一面的なんだと思うのね。
お金やモノは、働いて稼いで手にするもので、「そうでなければならぬ」と信じ込んでしまっているのでないかしら。
働いて稼いで、消費する。
それ以外の経済活動に手を出そうとしない。
いただきものをしたら、にっこり笑って「嬉しいです、ありがとうございます」と言えばいいだけ。そして、何かの折りにちょっとしたおみやげを返せばいい。
たくさんもらいすぎちゃったなあ、ウチだけでも余っちゃうなあ、と思ったら、半分をまた近所の人に差し上げればいい。
「●●さんにもらったの、おすそわけ! 御礼は●●さんに言ってね」って、どんどん次に渡していけばいい。
そうしてお金やモノをどんどん循環させていくことが経済の基本だ。
投資も同じこと。
いい会社だなあ、と思ったら、株式を買えばいい。
株式の購入代金は出資であって、贈与的な意味合いが強い。
ウチでお金余ってるから、これをもとに商売すればいいよ、てこと。
受け取った側は、返報性の原理に基づいて配当を出したり株価を上げるよう努力したりする。
もらいっぱなしで何のお返しもしてくれないところなら、出資を引き上げるし、もう次の贈与は行わない。
ほら、田舎の贈与経済でも、循環の輪に入ってない人たちっているでしょ。
アレと同じね。
贈与経済はプリミティブなものに思われがちだけれど、貨幣経済から少し離れた視点を持っている経済活動の総称だ。
きゅうりのやり取りも株の売買も似たようなところがある。
ちなみに、投資信託はインデックスなら市場全体の成長性に投資することになるんだけど、出発点は個別株式や債券の評価や見方がわかるところからであるべき。
そういう点では、投資信託しか扱わない確定拠出年金は、ちょっと高度な知識や認識が必要なものであるとは思っている。
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