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ヒートマネジメントの性能考察
これは何の記事ですか?
前半は実験、中盤は解説、後半は私の思想が書いてあります。
結果だけ知りたい人は目次から【ヒートマネジメントの性能比較】まで飛んでください。図だけ見てブラウザバックしても大丈夫です。
過程や製品の理解をしたい方は、お手数ですがこのまま読み進めてください。
注意点
今回は手持ちのヒートマネジメントの中から、皆さんが良く使いそうなものを選びました。Vyro2は炭と穴の距離の説明のため検証しています。
なのでKitsun Vulcanのステンレスや、Kaloud lotus2だったり実験に向かない初期のVyro(26ミリキューブがそもそも入らんこいつは)だったり、そういった物は測定から除外しています、そのうちやったらこっそり加筆します。
やっていること
測定対象:蒸らしを行い、吸出しをし、喫煙。
その後吸わずに放置した後炭を取り除き再度放置をします。
ボウル内部の以下の特定箇所の温度変化をヒートマネジメント毎に測定し、その商品の特性を探ります。
測定箇所(図1参照)
測定箇所①、③:フレーバー表面から0.5ミリ程下部の外周を①と、内周を③とする。
測定箇所②、④:フレーバー最下層から0.5ミリ程上部の外周を②と内周を④とする。
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条件①:全台同じ吸出し機を使用、10秒に1度の吸いを繰り返す。吸いの時間はボタンが押されてから吸出し機の回転までのラグも含め5秒とする。
条件②:炭は26キューブを4つで行う。
条件③:全て計測電熱線はボウルの同じ穴(中央、側面)、同じ角度から生やし、高さのみを変化させたものとする。
条件④:炭の配置も穴の箇所も計測電熱線の上部をに来るように固定し、炭と計測電熱線の距離はヒートマネジメントの構造依存となるようにする。(これは電熱線を縛ったゴムを印にしていて人力なので、数ミリの誤差はあるものです)また、中央に炭を寄せられる大きさのヒーマネに関してはヒーマネの両縁を炭の接地点とする。
実験内容
蒸らし時間8分、吸う時間10分、放置する時間1分、炭を取って放置する時間3分とする。
また、吸出し終了時(つまり蒸らしのみで8分経過時)と、吸いの境目の計測は連続する為、正確な数値を図るためデータロガーの結果を1秒毎にエクセル出力し、別途記録し、終了後に出力する。
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目的
ヒートマネジメントの大まかな性能や、実際の保温性能、どこにアプローチする商品なのかを知り、機材の理解を深める。
使用機材
・デジタル熱電対温度計/K/J/ADJ補正
・タイプK熱電対センサー 4本
・4チャンネルデータロガー
・バーチャルデータロガー/Tasi
・テーパーゲージ/シンワ測定
・Excel
・自宅のパソコン
・自分のヒーマネ
・自分のボウル
機材留意事項
・ロガー接続に際しセンサー間で最大2℃、実数値を下回る場合有(平均を取ったデータに2℃低いデータが混じる可能性がある状態の測定ということ)
目的
そもそも、何故同じボウルを使っているのにシーシャの味が違うのでしょうか。
それは作った人のエアフローが違うからです。
これを見てください。
これは全て同じボウルの内部で起きていることで、ボウルの内周だけ吸いの影響を受けていたり、表層だけ影響を受けていたり、ボウルの中にグラデーションができていたり、全ての箇所が吸いでバラバラになっていたりしています。
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僕はシーシャの味の違いの正体はこれだと思っていて、エアフローの設定と炭を置く場所と置き方でそもそも吸いの影響を全く受けない箇所や、よく受ける箇所が変わってしまうので、そりゃあ違う人が違う穴開けて吸出してるんだから味もかわるよな、ということです。
今回はヒートマネジメントという炭の置き方以外が不変のエアフローについて、それぞれの熱が通りやすい箇所や吸いの影響を受ける場所、受けない箇所、熱の伝わり方等を伝える記事です。
ONMO
レビュー
・下層への熱のリーチが非常に速いヒートマネジメント。
・吸出しを行い始めて数分でボウル内部のフレーバーを上層から下層まで成分を放出する温度帯まで持っていくことに成功している。
・内周上層だけ吸いによる影響が少ないが、一回の吸いで全ての箇所に吸いの影響を及ぼしているのも特徴的。
・外周上層、外周下層への熱は吸始めて5分程で落ち着くが、内周上層、内周下層への温度上昇はなだらかに影響を与え続ける商品となっている。
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蒸らし終了時のボウル内温度
ボウル外周上層:107.6℃
ボウル外周下層:51.5℃
ボウル内周上層:90.8℃
ボウル内周下層:42.2℃
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保熱性能
上層:43.7〜59.4℃下降
下層:49.8〜53.7℃下降
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BLADE
レビュー
・フレーバー外周上層と、フレーバー内周下層へ吸いによる影響を大きく与えることができるヒートマネジメント。
・一方で、外周下層と内周上層への吸いによる影響はほぼなく、熱伝導による時間経過の温度上昇が継続的にみられた。
・外周下層の温度が内周下層の一段下、内周上層の温度が外周上層の一段下という具合でジグザグのグラデーションを常に維持している。
・フレーバーを暖めながらボウル内にグラデーションを作りたい時に向いている。
・逆に言うと外周下層に詰めたフレーバーには熱伝導でのアプローチの比重が大きく、吸いによって外周下層に詰めたフレーバーを最初から出力できないことには注意が必要。
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蒸らし終了時のボウル内温度
ボウル外周上層:110.0℃
ボウル外周下層:52.6℃
ボウル内周上層:97.5℃
ボウル内周下層:40.6℃
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保熱性能
上層:67,1〜73.6℃下降
下層:30〜60.8℃下降
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NA GRANI(ステンレス)
レビュー
・フレーバー内周上層が常にフレーバー外周上層の一段上の出力をしている。
・フレーバー外周下層が常にフレーバー内周下層の一段上の出力をしている。
・フレーバー内周下層のみ、吸いでの影響をほぼ受けていない。
・これは今回の検証関係なく、ナグラニを良く使う人は何となく感じていると思うが、この商品は吸いによってボウルの中央下層部以外を効率よく温める事に非常に長けたヒートマネジメントである。今回その傾向がしっかり見られたことはなんか嬉しい。
・吸いによる熱の供給力が他のヒートマネジメントに比べて非常に優秀であることがわかる、出力が全く落ちていない、非常にやりたいことが明確でよく練られた商品。
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蒸らし終了時のボウル内温度
ボウル外周上層:82.7℃
ボウル外周下層:46.9℃
ボウル内周上層:84.2℃
ボウル内周下層:46.9℃
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保熱性能
上層:56.7〜61.9℃下降
下層:33〜60℃下降
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NA GRANI2(ステンレス)
レビュー
・吸いの影響を受けている箇所は外周上層と内周上層、それ以外の箇所はあまり吸いの影響を受けていないように見える。
・下層を比較した場合は微細だが内周の方が影響を受けており、NA GRANIと比較すると温度上昇は緩やかに思える。
・上層への熱の供給力の安定性という部分では正直トップクラスに見える、一方で下層に対する熱伝導のみの影響が強く見えるが、BLADEと比較すると上層下層の位置によるジグザグ等は発生していない為、ダークリーフの風味はしっかり感じたいが、そこまでニコチン感を重たく感じたくない人や、長時間の喫煙を行いたい人に非常に向いたヒートマネジメントである。
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蒸らし終了時のボウル内温度
ボウル外周上層:89.3℃
ボウル外周下層:46.4℃
ボウル内周上層:73.0℃
ボウル内周下層:47.3℃
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保温性能
上層:20.9〜34.4℃下降
下層:32.1〜35.8℃下降
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Pervane lotus(ザマック)
レビュー
・一目でわかるが、要約するとボウル全体に吸いの影響を与えることが可能で、同時にボウル全体にグラデーションを作ることができるヒートマネジメントである、BLADEの吸いのリーチを一段高めた商品。
・一方で中央に熱がたまる事を嫌う人や、断面としてボウルを見た時に熱の分布が定まらないことを嫌う人にとっては向いていない商品。
・一番高温になるのは内周上層部分、次が外周上層部分、次が内周下層部分で、最後が外周下層部分
・出力の落ち方は見てわかる通りだが、初動の出力が非常に大きい為余計尻すぼみに見えているだけで(ここまで事実)、実際の運用ではそこまで気にならないと思っている(これは普段使っている感想なので事実ではないですが参考までに)。
・このヒートマネジメントで炭を遠火にする運用をすると綺麗な出方をするフレーバーがいくつかあって、アフザルやデバジにはまっている(これは筆者の感想文なので聞かなくてよい)
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蒸らし時間終了時の温度
外周上層:112.9℃
外周下層:52.9℃
内周上層:122.3℃
内周下層:47.9℃
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保熱性能
上層:55.1〜74.7℃下降
下層:20.4〜52℃下降
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Vyro2
レビュー
・まず外周に吸いの影響がほぼない、吸っても外周の温度は内周に追随して上がっているだけである。
・最初からグラデーションが生まれるボウルではなく、吸い進めていく内に内周に温度差が生まれ、それに外周側が合わせて温度上昇するようになる商品。
・グラフの形でわかるが、他のグラフにあるような初動の左上にボコっとするような盛り上がり方がなく、右斜め上に向かって直線状に温度が伸びているような上がり方をする、これは他のヒートマネジメントと比べて炭と熱風がフレーバーに当たる穴の距離が構造上長い為だと推測している。
・上記構造上、基本的な運用ではフレーバーに熱が通るまで時間がかかる。
・初動のフレーバー使用率は確実に抑えられる為、軽く喫煙したい人には向いている商品、最初からしっかりとしたダークリーフの風味や重さを味わいたい人には向いていないが、長時間の喫煙や変熱性の高いフレーバーを楽しみたい人には非常に向いている。
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蒸らし終了時の温度
外周上層:80.4℃
外周下層:49.4℃
内周上層:70.6℃
内周下層:39.6℃
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保熱性能
上層:55.9〜58.6℃下降
下層:37.9〜39.3℃下降
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Kaloud lotus 1+
レビュー
・特徴的なのは外周上層のみ独立して温度上昇をしている部分。この挙動はプロベラと似ているが、位置が外周であること、また、そこまで吸いの影響を大きく受けない上がり方になっていることがプロベラとの違い。
・一番この商品が吸いの影響を与えられるのは外周下層部分、基本的に全体的に吸いの影響を受けにくい製品に見えるが、これは他のヒートマネジメントに比べてKaloud lotusには炭の底面の鎮火を防ぐための凸凹が大きめに作られており、そのため炭と穴の距離が他のヒートマネジメントに比べて遠火であることが影響しているのではないかと推測している。
・熱の上がり方の曲線としてはNA GRANIとBLADEの中間くらい。
・外周上層以外の部分のまとまりが非常に良くまとまっている範囲が広い。吸いの影響も受けにくい為、雑味が少なく綺麗にまとまった感じを作りやすい商品(炭が遠火なことも影響しているかもしれない、これも推測)。
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蒸らし終了時の温度
外周上層:122.4℃
外周下層:51.3℃
内周上層:81.1℃
内周下層:42.6℃
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保熱性能
上層:47.8〜71.1℃下降
下層:50.4〜73.3℃下降
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パチモンロータス
レビュー
・正直一番びっくりしました。まず大きな特徴は『吸いの影響を受けている所が吸いの影響を受けていない所より低温になる傾向がある』ということと、『ボウルの下層が非常に吸いの影響を受けている』ということ。正規品のロータスも下層が吸いの影響を一番受けていたが、炭と穴の距離が近くなったことでそれが更に加速されたように見える。
・同じ穴の形状のBLADEと比較すると、BLADEは下層には吸いの影響がほぼない為、この違いは『正規品ロータスとパチモンロータスは底面にポツポツが付いていて、BLADEにはついていない事』『BLADEはパチモンロータスと正規品ロータスよりも穴の位置が3ミリ程内側に開けられている事』等に理由があるのではないかと推測される。
※他のヒートマネジメントも測定することで下層に吸いの影響があるないの規則性が見えるかもしれない。(もしくは下層のポツポツを削ったパチモンロータスと比較して下層への吸いの影響の度合いを測ってもよいかもしれない)
・商品の特性としては初動の上がり方が急でありボウル全体を一気に使おうとすることと、同じ特性のONMOに比べて下層を吸いでコントロールできる所である。
・一方、コントロールしたところで最終的に上層から下層まで30℃程度のグラデーションしかでないので上層と下層を使い分けたい時はONMO、ミルフィーユ等に詰めて横に輪切りのようなフレーバーの使い方をしたい時はパチモンロータスというように使い分けると良いかもしれない。
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蒸らし終了時の温度
外周上層:81.8℃
外周下層:49.2℃
内周上層:78.8℃
内周下層:42.2℃
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保熱性能
上層:46.0〜49.6℃下降
下層:56.1〜75.7℃下降
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今回のヒートマネジメントの性能比較
各ボウル内の箇所へのアプローチ性能
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吸いによる熱のアプローチ性能
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蒸らし時間中の熱の伝わり方
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保熱性能
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ヒートマネジメントの形状による傾向の理解
・炭とフレーバー(穴)の距離が遠ければ遠い構造である程、下層への吸いの影響は低くなり、尚且つ材質関係なく温度上昇はしにくくなる(vyro2とかアルミだし)、この傾向は蒸らし中の温度の上がり方の順位にも影響しているように見える。
・アルミ製で炭と穴の距離が近いヒートマネジメントは蒸らし時間中に高温になりやすい。
・逆にアルミ製であってもロータスのような炭と穴に距離があるヒートマネジメントは蒸らし時間中部分的に上がらない箇所がある為、蒸らしに関する影響の優位性としては【炭と穴の位置 > 機材の素材 >穴の個数】かなと推測する。
・外周上層のみロータスが最も熱が伝わりやすかったのはポツポツがついていたからだと想像している。
・パチモンロータスはポツポツが付いているが炭が鎮火しやすいので、アルミ製ではあるが蒸らし時間中に正規品のロータスや新型のヒートマネジメントよりも伝わりにくかったのではないかと推測している。
穴の形状、個数と性能の相関
・穴の個数:多ければ多いほど吸いの影響をボウル深部まで伝えやすいヒートマネジメントの傾向にある。
・丸穴:丸穴のヒートマネジメントは上層と下層のグラデーションをそれぞれまとめる働きをする傾向にある。
・カラードロータスのような穴:ポツポツが裏面に付いているロータス型のヒートマネジメントはボウルの下層にのみ吸いの影響を与えやすい傾向にある。ポツポツが付いていないロータス型のヒートマネジメントは上層にのみ吸いの影響を与えやすい傾向にある。
新作のヒートマネジメントを手に取る際に、もしかしたらどういうヒートマネジメントなのかを推測する時の参考になるかもしれない。
ボウル選びが上手になるために
何故急にボウルの話?と思うかもしれませんが、まずこれを見てください。
中央下層のフレーバーが全く吸いの影響を受けていない上に、成分が放出される温度にもならず、ただのボウルの底で熱伝導でのみ熱を受け取るだけの飾りみたいになっています。
あと、最初に言ったようにここから先は思想です。
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※Sweetのような4つ穴ストレートボウルの比較については中央最下層に穴が開いていない為、4つ穴の内1つから伸ばした熱電対センサーをボウルの中央部最下部に伸ばし、そこから0.5ミリ程上部へ配置した箇所を『フレーバー中央部下層』の測定位置としている。
私はシーシャをつくる時に、何をしたいのか、求められているのかを考えて、逆算して理想の組み合わせを探すのが大切だと思っています。
何故なら失敗しないからです。
今回はコスモボウルのターキッシュで実験を行いました。
なので、今回の記事の全ての結果や推測には【コスモボウルのターキッシュで〇〇のヒートマネジメントを使った時】という前置詞が付きます。
このボウルを採用した理由は、ヒーマネのエアフローや構造の反映率が高く、ソラリスやホレカ等に比べ立体的で、ヒートマネジメントの製作者の意図がわかりやすいボウルだと判断したからです。
もし実験をスイートボウルで行っていたら、おそらく上記の画像のように『全てのヒートマネジメントの中央下層は吸いの影響が全くなく、そこにあるフレーバーは熱が回るまで使用されない。』という結論で終わってしまったはずです。
何故ならボウルがそういう構造をしているから。
ここからは私の思想です。
シーシャはセッティングの枠を人間の技術が出ません。
どんなに吸いがうまい人がいても、どんなに歴の長い人がいても、スイートボウルの中央部下層のフレーバー成分を最初から出すことはできないんです、構造的に。
では、これから先の人生スイートボウルしか使ってはいけないとなったらどうでしょう。
それはプラスに見れば安定して軽めのシーシャを生産し続けるということを意味しますが、生涯ミルフィーユ盛りしてしまうと底に敷いたフレーバーの味がなかなか出てこないシーシャしか作れなくなるという足枷でもあります。
まぁこれは使うボウルに合わせて詰め方を変えようという話にも繋がるのですが、今回はしません。
今回いいたいことは、同じセッティングだけじゃなくて、いろんなものを擦ってみて欲しいということです。
他の機材を使うことは、いま使っている機材の悪いところや良いところを見つけるきっかけにもなるし、色々擦ればよかったことやわかったことはアルミの穴あけや他の技術介入のあるセッティングにも活かせるはずです。
基本的にシーシャはトレードオフなので、良い所があるやり方程、お客さんが変わると悪い所になり得ます。
また、今回のグラフはヒートマネジメントの特性がある程度見えやすくなっていましたが、ボウルによって実際はより特性の影響が軽度であったり、反映率が減少したり上昇したりする場合もあります。
先ほどのグラフの話に戻ります。
ONMOはコスモボウルに乗っけたら最初から全体のフレーバーにリーチしていたのに、sweetボウルに乗っけたらリーチの深度が見る影もなくなってしまいました。
中央下層のフレーバーが100℃を越えるのにかなり時間がかかります。
つまりボウルのエアフローは何よりも優位性が高いのです。
個人的な思想としてシーシャの味というのは
作る人間が誰かによる認識バイアス>>>ボウルのエアフロー>>>ヒーマネのエアフロー>ヒーマネの炭の置き方>シーシャ台のステムとホースの直径と水の量>人間の吸い方>熱伝導的な何か小難しい話>ボウルの素材>ヒーマネの素材
シーシャの比重はこれくらいで見ています、あくまで私の思想です、思想は強い方が勝つってどっかで聞きました。異論があったらバトルしましょう。
実際にアルミ製であってもエアフローや鎮火率の関係で蒸らし時間にステンレス製品の方が優位になっている製品がある事や、外周の下層に関しては素材よりも穴の個数と穴の位置によってアルミがステンレスよりも保熱性能が高まっているという結果があるので『素材に関してはもちろん静的状態(吸ったり吹いたりしない時)では優位だが、それを吸出しや人の吸い方を通じて構造やエアフローが上回る。』という風に考えています。
もちろん外周下層以外ナグラニ優位なので、素材自体で保熱効果に差が生まれることも認めています、優位性の話です。
なので材質や値段というのは静的状態の品質の最低限の担保(どちらかというと炭の質や微量な一酸化炭素量に係る)と認識していて、私が素材をそこまで重視せず皆に捉えて欲しいのは、結局どんな素材だろうとVyro2やナグラ二2やOnmoのように喫煙を始めてさえしまえばヒートマネジメントの構造に引っ張られたり、そもそも乗っているボウルのエアフローにかなりの比重で喫煙体験が引っ張られてしまっているからです。
頭をつかって目で見たヒートマネジメントやボウルの形から特性を考えて欲しいということに尽きます。
ただ、みんなが求めているのは答えなので、ここまで読んで何をするか察した人もいると思いますが、今度はボウルの比較記事を出したいと思っています。
ボウル、結局なにが違うの?どこを見るといいの?
これをやりたいです。
ただ、ボウルは数が多すぎるので、特徴的なものをいくつか並べて規則性のようなものを紹介していけたら良いなと思っています。
そもそも話ですが、ボウルの構造的に不可能なことをできると言っている人や、熱が集中している場所がどう考えたって違うのにセッティングを変えずにバイアスで押し切っている人を散見します。
それってどういう測定をしたのかな?とか、何を根拠に言ってるんだろうとか思いながらも、対面で聞くと『そうなんですね』としか言えないのがもどかしかったりします。
ヒートマネジメントとボウルの組み合わせをより正確に認識することはとても大切です。
なぜなら理解するだけでやりたいことの大半が解決するのと【解決する大半に分類されない物】の存在を認知できるからです。
今回の記事は加筆予定です。
自宅の他のヒーマネも測定したら、他にも見えてくることや間違っていることも出てくるかもしれません。
こういった記事は非常に叩かれやすいです。
ただ、今回の記事に関しては見てくれた皆さんの力も借りたいなと思っています。
できれば批判ではなく『こういう条件に変えて測ってみたらこうだったよ』とか『違うボウルでやってみたらこうだったよ』とか、そういった純粋なデータとしてのご意見を頂けるととても嬉しいです。
また、本当に批判をしたい際は反証を作った上で連絡頂けると建設的なお話ができると思っています。
本記事が新しい機材の理解に少しでも繋がれば幸いです。
ではまた。