VRoid合作記録
前回に引き続き第二回の合作。
今回はHNPNの店主こと八乃ぺんた様。
VRoidを通じて出会ったモデリングの先輩です。
前回のメイキングでは色分けテクスチャの際にご紹介した方です。
名前繋がりから会話が広がり、そのまま「良いですね〜コラボしちゃいましょう!」と始まった企画。
八コラボと言いながらどちらの名前も「はち」と呼ばせないところに強い何かを感じますw
八乃氏のフットワークの軽さや、アクティブな動きは見習いたいものがあります。今月VTuberとしてデビューされるため、今後の活動にも期待し、応援していきたいと思います。
制作時のメイキングを細かく記録していないため、企画開始から完成の作品までの振り返りを中心に行います。
今後VRoidで合作される方の参考になればと思います。
担当を決める
互いの得意を活かすべく、頭・素体を八乃氏、衣装を八が担当。
制作したものは各店で売る方向で決めていたのですが、素体モデルを裸で売るには可哀想なのと、掲示している全身モデルから内容物が不足しているように見えるトラブルを防ぐため、衣装をワンセットだけ着せて販売・ワンセット分の売上を後日頂くという形で決めました。
BOOTHには利益の分配機能がないので、振込の手間などをどう対応するか決めておけばトラブルは起きないかなと思います。
利益分配の側面でも学びがありました。
ちなみに織部呉服では自分以外の方がデザインを手がける場合もありますが、双方合意の下で分配せず利益を頂いています。その分、一次創作の活動や無料&割引でモデルを作るといった形で還元する事で円滑に運営しています。
イメージを決める
「かわいい女の子と背の高い青年」で設定。
八乃氏が得意とするビビットカラー系の彩度高めの配色を意識しつつ、和アレンジの衣装を考案。
先に身長と体格のイメージを決めた素体データを受け取り、そこから製作を開始。
…が、ここでVRoidStudio(1.29.3)のアプデ後の不具合が発生し、2週間近く衣装が制作出来ない事案が発生。iPad版ではダウングレード出来ないため、次のアプデまで待機。つらい。
原案ラフを立ててからしばらく動けませんでした。
原案ラフ製作
自分の場合は形だけ決まったらそのまま制作へ入る事が多いので、デザイン資料も非常に簡易。
事前に使用する型紙が分かっている場合、先に形を作ってその上からデザイン画を考えると完成時のイメージが崩れにくいのでオススメ。
サイバー×和要素を詰め込んだデザインで、こちらはまだ配色が具体的に決まっていない状態。とにかく自分の癖に任せて作ったデザイン。
八要素のディテールは製作中に足していくスタイル。
袖にフリルを詰め込んだ華やかな衣装をイメージ。正月にも使えそうな豪華な衣装。
腰から流れる紅白の飾りは八の字を意識していたり。
制作
制作中に届いたモデル素体とフッティング。
双方共に何度も修正や仮完成を投げ合いながら完成へと近づけました。
完成作品
伊十和×オクト
制作エピソード【カラーバリエーションが多すぎて苦しむ八乃氏】
パーツが多くて色塗りは大変ではあったものの、衣装の配色のパターンが決めやすかったため、大量のカラーバリエーションを展開。
その結果…
八「楽しくなっちゃってぇ」
八乃氏「多すぎるわ!!!!」
「誰もが自分色にカスタマイズできる楽しさ」がある織部呉服の衣装。
「服の色に合わせてモデルの髪や肌を合わせます」と、話をしていた事もあり、完成データが届いた時はその多さにひっくり返ったそうで。反省はしていない。
実際にテクスチャデータを全部入れたVRoidカスタムファイルは重くて何度か処理落ちしたので、テクスチャフォルダを作ってまとめました。
「これってまだ追加カラーあったりしますか…?」と怯えた目で聞かれた時はちょっと笑っちゃいました。
八「やろうと思えばアウターのベース色を赤や白に…」
八乃氏「ヤメテェ」
華弥×アハト
制作エピソード【色の置き方に苦しむ八】
最近はフリルの作成(描画)に慣れてきたのでこちらの服の製作自体は比較的スムーズでした。
一番苦労したのはカラーと配色バランス。
基本的に和色や淡い色を使う事が多いため、ビビットカラーを意識して製作したのは今回が初。
それに伴い複数の色を組んだカラーパレットを使用する事になり、「どこに何の色を置けば良いのか?」という部分で非常に頭を使いました。
イラストでもカラーパレットチャレンジってありますけど、感覚としてはそんな感じです。
同じ色を隣接して置かない・メリハリがつくように濃い色や反対色を交互に置くなど、パズルのような感じでした。
「最初から色のイメージラフを用意しないからこうなるんやで」と内なる自分に正論で殴られました。計画性のなさである。
こちらはカラーバリエーション展開が難しかったものの、セットごとに全体の華やかさや色映えを意識した衣装となっています。
同系色を置く事が多かったので比較的珍しい衣装だと思います。
八乃氏の作品の感想
八乃氏のモデルは目元が特徴的で、パッと情報が飛び込んでくる明るさとインパクトがあります。
そして今回のモデルは全身の肌テクスチャの書き込みとカラー展開がされていて感動しました。褐色もあるんですよこれ。
自陣モデル達は服の方に集中していて肌の描き込みはあまりしていないため、肌が細かく描き込める人って凄いなぁと関心しております。
販売用のモデルとなるとテクスチャレイヤーも一つに統合する必要があるのですが、制作時のレイヤーで乗算20%や、スクリーン15%という形で分けていた場合、不透明度の数値を覚えていないと、ペイントソフトで統合する時に苦労するんですよね…。いつかレイヤー統合機能が来て欲しいものです。
個人的に驚いたのが伊十和の短髪の髪型。
VRoidでアニメのようなツンツン短髪頭を作るのって生え際を理解していないと綺麗に作れないため、慣れてないとかなり難しい髪型。
VRoid Studioのプリセットでは男性の髪型がほとんどないため、髪型の形状だけでも需要が高そうな予感がします。
名づけの由来
オクトとアハトの名前は8の数字の呼びから。
10月はOctoberといって8(Octo)が入っており、これは一年を10ヶ月に分けたローマ歴が由来。10月が8番目に該当するためその名になったそうです。今回の企画では意識していなかったので八コラボの偶然です。
一方、伊十和の「和」は八(わかつ)の「わ」から。
華弥の「華」は八乃(はの)の「は」から考えられたそうです。
ネーミングにも個性が出ますね。
その他の製作
コラボロゴをこちらがデザインし、清書は八乃氏が担当。
今回の企画で八乃氏が当店のロゴも綺麗にレンダリングして頂きました。これは嬉しい。
ありがとうございます!
公開日の打ち合わせなど
「三連休明けにしましょう!」の一声で5日に決定。
この日までに制作記録や商品サムネイルなどを順次制作。
記念販売の期間限定セールやリポスト企画もこの時に話を合わせていました。
Vroidhubでは顔の印象を受けやすいため、八乃氏に掲載をお願いしました。衣装の場合は自分のキャラクターに着せたり透明モデルに着用するなどで対応できます。なるべく「どちらが何を制作したか」が分かりやすいよう表記・掲載の配慮と工夫を意識していました。
途中でモデル側の不具合が見つかって臨時で修正が入るなどのばたつきもありながら、公開への準備を進めていました。
終わりに
VRoidユーザー同士でのコラボは新しい試みでしたが、同じ方向を見てひとつの物事を達成する苦労や楽しさが共有できてとても楽しい企画でした。
自分の苦手を別の人の得意で補うことで、クオリティが向上し、テンションが上がる良い体験になりました。
作る部位によって大変なポイントを知っている事もあり、リスペクトがより深まったと思います。
11月になり、自分のVRoid歴は1年となりました。
1年分の成果が今回の合作で最大に活かせたと思います。
これからも楽しく作り続けたいと思います。