R6.5.29(水/晴)【瀬尾義治さん語録…腐植酸・キトサン】
出典:facebook『瀬尾義治』様のご投稿
【(株)ハートランド・代表取締役】
干ばつにおける腐植酸とキトサンによる
📕『ビート』の収量と糖質増加についてのエジプトの研究をブログにアップしましたので、ぜひご覧ください。
Efficacy of Humic Acids and Chitosan for Enhancing Yield and Sugar Quality of Sugar Beet Under Moderate and Severe Drought
Journal of Soil Science and Plant Nutrition Volume 22, pages 1676–1691, (2022) Agronomy Research Department, Sugar Crops Research Institute, Agricultural Research Center (ARC), Giza, 12619, Egypt
https://link.springer.com/article/10.1007/s42729-022-00762-7
実験
2018/19と2019/20の2つの生育シーズンに沿って、ビートの収量と品質における干ばつの影響を軽減するための腐植酸とキトサンの可能性を評価を実施した。
結果
●腐植酸を30L/haの割合で施用した結果、根の長さ、根および頂部の新鮮重、頂部/根の比率、葉面積、根および糖の収量/haが最大に増加した。
●ショ糖、糖抽出物および糖収量/haは、キトサン処理株が無処理株より有意に増加した。
●腐植酸(30L/ha)+キトサン(200 mg/L)を中程度のストレス(80%)区条件下で施用した場合、無施用と比較して気孔閉鎖率が48.86%から31.06%に減少し、根および糖の収量と品質の改善が期待された。
結論として、腐植酸とキトサンの相互作用の効果により、抗酸化の防御と気孔形成に良好な変化が見られ、低灌水下での収量および糖質形質の改善が認められた。従って、ビートに30L/haのフミン酸と200 mg/Lのキトサンを施用することで、灌漑水を20%節約し、中程度の干ばつをうまく管理することができた。
解説
200mg/Lは、0.02%のキトサン溶液となり、ランドグリーンPRO換算では150倍液となります。ランドグリーンPROで考える場合には、300倍を2回、または500倍希釈液を3回で散布するなどpHを極端に低下させずに散布する方法が代替策として提案できると考えています。
📕
ビートってどんな植物?
ビートは地中海やカスピ海などに囲まれた外国の地域で見つかった作物で、元々は葉や根の部分を野菜として食べていました。
甘さを持つとわかったのは18世紀のことで、その後フランスやドイツなどの国で急速に品種改良が進みます。
そのため、ビートが砂糖の原料として使われるようになった歴史は、まだ200年ほどとなっています。
北海道の基幹作物で「甜菜(てんさい)」とも呼ばれるビート。
ほうれん草と同じヒユ科に属するため、緑の葉が一面に広がるビート畑はほうれん草畑によく似ています。
しかし、砂糖になるのは葉ではなく根の部分です。
ビートは広大な大地でたくさんの光を葉に浴びて、光合成によって根の部分に糖分を蓄えます。
この根に蓄えられた糖分が砂糖となるのです。
ビートは、国内で生産されている上白糖やグラニュー糖などの砂糖の多くに使われています。
その割合は約82%(2019/2020年度)※1となっており、サトウキビよりも遥かに多いです。
しかし砂糖の自給率は34%(平成24年度)※2と低く、年間の砂糖需要量の約60%(2019/2020年度粗糖輸入量と国内甘蔗糖・甜菜糖生産量から算出)※1は輸入に頼っており、国内で作られる砂糖だけでは需要に追いついていないことが窺えます。
ビートの糖分は気温に大きく左右され、7~10月の最低気温が低い年は糖分が高く、気温が高い年は糖分が低くなるといわれています。
また栄養素としては、天然のオリゴ糖と称されるラフィノースを含んでいます。
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