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中年リゾートバイト | 3週目 中年vsスピリチュアル女子
共有スペースで同僚たちと話し込んで26:00を回った日があった。
こんなことを書ける日が、中年期以降に訪れるなんて思わなかった。接待飲みで嫌々、とかじゃないから。
同年代のみなさんが"義務”を果たしている間、私はこんなキラキラした財産を獲得しました。キリギリスみたいでいいでしょ。
同じ持ち場の女の子が怪我をし、下山させられる前日だったと思う。
喫煙スペースのテーブルで、たぶんもう最後だからってことでその子を囲んでいた。
4,5人でくっちゃべって、最後までそこにいさせてもらった。
信じられますか...こないだまで部屋でひとり膝を抱えていたのに。
その子が「フア...」とあくびをしたあたりで解散となった。それが26:00だった。
彼女は見た目もちいさくほやほやとしていて、いかにも今どきの、小動物系の可愛らしい女の子という感じだった。
声も澄んでいて可愛らしい。同僚軍団の大人たちからはその魅力に声出し動画で儲けろとか、コンカフェ嬢をやれとか冷やかされていたが、そんなことにも的確な合いの手を入れ、積極的にコミュニケーションをとってくれる。
そして無駄な発言は抑えるところでしっかりと抑えられるので、見た目の印象とはうらはらに、分別のあるしっかりした若者という印象があった。
..のだが、スピっていた。
どのタイミングでスピ傾向を打ち明けられたかは覚えてないが、その手の話に詳しいらしく、
後日談になるが、私が「何かいる」と感じていた寮の廊下には彼女も「見えていた」らしい。
オラクルカードのリーディングもできるらしく、寮に持ってきたそうで、ぜひやって欲しいとお願いした。
そこにいた同僚それぞれがワイワイとリーディングしてもらい、私の番になった。
これからの人生で知りたいこと、みたいなことを聞かれた気がする。
「...今、中年の危機っていうか...ミッドライフクライシスって感じで...。
やりたいこともひととおりできてしまった気がするし、逆に自由すぎてこれからどうすればいいかわからないんですよね。」
つい自分が迷子であることを正直に告白してしまった。ガチ相談じゃないか。
彼女がカードを切って、何枚か引く。
う〜んとか言いながら、腕のあたりを少し触られ、「見えない…」というコメントをいただいたあと、総評としては「愛を受け入れて」みたいな感じになった気がする。「ああ〜」と返した。
こちらとしては了解ス! としか言えない内容だったけど、こういうのはアレですね、どう解釈すべきかの動線確保みたいなことを脳が勝手にやってしまうな。
ええと…愛を受け入れろ? これから差し出される救いの手を跳ね除ける可能性があるので、そこを直しなさいってことかな。
回避傾向の強さを見抜かれての結果かな、とか頭の中で勝手に始まってしまう。
若い人からの声がけにビビってその場から姿を消してみたり、この仕事もドロップアウトしようとしてる最中だったりして、この診断結果はちょっと効いてしまった。
途中で言われた「幸せよりも辛いことをキャッチするほうが楽なんですよ〜」というのもまだ地味に刺さっている。
他の種類のカードもいくつか持っていたので引いてもらう。
出てきたカードと、前後の雑談で「地元のおばさんコミュニティに入会した話」や「リノベ団地に住みたい話」などをしていて、それと結びつけて「団地でコミュニティを営み、丁寧に小豆を煮るような暮らしをすると良い」という無理矢理な曲解でその場を結んだ。なんなんだそれは。
この手のスピ話には没入して深追いしてしまう傾向があり、我が我がと彼女のリーディングタイムをかなり独占してしまった気がする。
饒舌すぎる大阪人ことHさんも同席していたが、この時ばかりは引いていて無言だった。
その様子をチラチラ確認するのがまた面白かった。