ソロキャンプ 2022.3.4-5③伊豆の山神にmaji感謝編
8回目のソロキャンプ記録、完結編です。
いっこうに晴れない夜空に業を煮やし、自分のソロキャンプ史上最速で寝袋に潜り込んだのが21時半過ぎ。いい塩梅に酔いも回っていたため、音速で寝落ちした。
そこから日付けは変わって、3月5日未明。
ぱちりと目が覚めて確認すると、枕元の時計は午前0時半前を示していた。気温は2℃。やはり前回に比べると格段にあたたかいな、と思いつつ、防寒着を羽織ってテントの外に出てみる。
計 画 通 り
寝る前まで夜空を埋めていた雲が晴れ、いくつもの星がきらきらと瞬いていた。日ごろ己の食い意地に忠実なよゐことして暮らす私の祈りを、伊豆の山神さまが聞き届けてくだすったのだろう。かしこみかしこみ。
……というのはまあ半分冗談です。
日没時に確認したところ、夜の早い時間帯はずっと曇天だけど、深夜になれば晴れるかもよ、的な天気予報が出ていたので、思いきって仮眠タイムを設けることにしたのだ。その作戦が、どうやらうまいことハマってくれたらしい。
すっきりと晴れわたったピーカン……とまではいかないけれど、かなりの数の星が見える。さっそく撮影開始。
なるべく雲が少なく、かつマイテントも入るアングルを……と試行錯誤した末に撮れた一枚。前回同様、長野や山梨に比べるとかなり光害がきついけれど、予想以上に星が見えて感激する。
撮影スキルがへっぽこなので分かりにくいだろうけれど、実際はもっとたくさんの星が見えた。正直伊豆でここまでの星空を拝めるとは思っていなかったなー。ありがとう伊豆の山神さま……(拝み)
私が絶好調時ならばかろうじて認識できる星座・北斗七星が、なかなかいい感じで撮れた。ところで死兆星ってどれだったっけな。
ちなみに私が唯一識別できる星座については、この日は雲に隠れてしまってお目見えを許されなかった。残念。
深夜帯に場内をうろつき回って物音を立てるのははばかられたので、マイサイト周辺をしゃなりしゃなりとうろついている間に、こんな風に雲が全面晴れる瞬間も訪れた。
一時は星撮り練そのものを諦めるようかな、とも思っていたので、とてもうれしい。のちほど伊豆の山神さまに、感謝の御神酒を捧げることを固く心に誓う。
気温も相変わらず2℃前後に留まっており、寒さはまったく気にならない。これなら焚き火ナシでも星シャー真が狙えるかな?と思ったのだけれど……
撮影開始から1時間半を過ぎる頃、再び雲が目立ち始める。さすが山の中だけあって天気は変わりやすく、この後あっという間に曇天へと逆戻りしてしまったので、今回は星シャー真は諦めることにした。
ちょっと消化不良気味だけれど、伊豆の星空を拝めただけで幸せだ。ありがとう山神さま……と一礼してから、再びテントに戻る。
時刻は午前2時過ぎ。しかしまったく眠気は訪れない(そりゃそうだ)。かと言って周囲が寝静まっている中、焚き火をするのもいかがなものか……と思ったので
テントの中で、伊豆の山神さまに感謝と敬愛の御神酒を捧げる儀式を執り行う。
実は晩ごはんの王族リゾットで満腹になってしまったので、燻製にはほとんど手をつけていなかった。それらをちょいちょいつまみつつ、ホットワインをいただく。きりっと冷やした白や泡もいいけれど、ほくほく湯気の立つ赤も合うなー。
小一時間ほど呑んでいるうちに、酔いのせいで再び眠くなってきた。それにしても、なんとあたたかい夜だろう。氷点下行かないとこんなに過ごしやすいものなんですねェ。
前回の朝霧高原では、手持ちの防寒服を全て着込んでぶんぶくれに着ぶくれて眠ったのだけれど、今回はユニクロの極暖+フリースジャケット+ナイロンパンツ、という軽装で寝袋に潜り込んだ。ただちに入眠、爆睡。
翌朝、午前6時半に起床。3時間程度だったけれど、ぐっすり眠れたのでとてもさわやかな気分だ。
テントの外に出てみると、雲ひとつない快晴の空が広がっていた。んもゥ……あと5時間くらい早く、こういう空模様になってくれれば最高だったのになー。
お手洗いに行きがてら、ちょっと場内を散策。
林道に沿って区画整備されたキャンプ場なので、立派な杉の木が整然と並んでいる。こういう景色はわがまちでも見られるけれど、割と好き。
日が完全に昇りきる前の林の雰囲気に心ひかれ、ちょっとカメラを向けてみた。
ちびっこよ、強くたくましく育つのだぞ。
松ぼっくりには、今回も焚き付けで大変お世話になりました。ありがとう。
今回も一応朝ごはん用の食材は用意していたのだけれど、丑三つ時に山神さまへの御神酒を捧げてしまったせいか、全くもってお腹が空かない。ということで今回は朝ごはん抜き。周囲のキャンパーさんたちが朝の焚き火を始める中、のんびりと撤収作業を開始した。
今回テントには全く霜が降りていなかったものの、地面に面した部分とグランドシートは濡れている。それらが完全に乾き、全ての道具を車に積み込み終えたのが午前9時頃。
青空と太陽の下だと、早朝とは全く表情が変わる。まっすぐ伸びた幹が白く輝いているようだ。うつくしい。
9時過ぎにキャンプ場を出発。お世話になりました。
山あいにぽつぽつと民家の並ぶ、のどかな景色を楽しみながら帰路につく。ところどころで桜が咲いているのがうれしい。
すてきなポツンと一軒家(実際は倉庫的なもの?)に、ちょっと車を停めてカメラを向けてみたり。予定より早めにキャンプ場を出られたので、今日はこんな感じでのんびりまったり、家までのドライブを楽しもう。
……と、このあたりまでは大層平和だった。
Google Mapのナビに従っているうちに、なんだかどんどん山の方へと運ばれてゆく。道幅も狭くなってきた。
マー伊豆って山国だし、こんなもんかなぁと進んでいく。思えばこれが大きな過ちだった。こんな風にお日さまの光が届く景色が続いているうちに、車を停めてルートを確認すればよかったものを……。
やがて道はうっそうとした林の中に誘われ、周囲は「あれ、もう日没なの……?」みたいなほの暗さに包み込まれた。行けども行けどもひたすら上り坂、それも先がまったく見通せないカーブの連続。道幅はというと、もはやお察しいただけましょうが……車1台がやっと通れるくらいに狭い。昨日キャンプ場の直前で遭遇した道よりさらに狭い。県道っていうか林道じゃねーかこれ!
ここに来てようやく、私のうすらぼんやりした脳味噌が事態を把握した。
これは王道ルートではなく、抜け道だ。
これが本来通るはずだった、そして私が通っていると思い込んでいた(※正気かと思われましょうがmajiで信じていました)ルート。
そしてこれが、Google Mapがエスコートしてくれたルート。ご覧の通り完全なる山道で、ルートを示す青線が「波乗りしながら引いたんですか?」ってくらいにブルッブルにのたうっている。つまりはヘアピンカーブ連続ルート。
えらいとこに来てしまった
しかし、引き返そうにもUターンするスペースなどない。何しろ道幅が愛車の車幅にシンデレラ・フィットなのだ。進むしかない。進まなければ、おうちには帰れない。
教習所時代もかくやというような、ギチギチに背筋を伸ばした体勢でハンドルを握りしめ、慎重に進んでいく。心臓は今やドキンコを通り越してバクンコ状態だ。たちまち噴き出してくる手汗や脇汗。汗かき大魔神のつらみ。夏でもないのに今回のソロキャンプ発汗してばっか。もはや「帰ったらnoteのネタにしよっと☆」と撮影する余裕は皆無だ。手汗を拭いつつひたすら前進することに全集中。
帰宅後のつぶやきに「対向車来たら詰むなって50回は思った」と書いたけれど、50回どころか108回は思った。そして、来るんですよ対向車が。
この静岡県道59号・伊東西伊豆線を走行していたのは、おそらく1時間程度だったと思うけれど(体感的には107兆5964億時間程度)、その間に何度か対向車に遭遇した。そのどれもが伊豆ナンバーだった。我ながらまったくもって幸運すぎると思うのだけれど、どの対向車とも絶妙に道幅が広がっているスポットで出くわしたため、なんとかすれ違うことができた。華麗なるドライヴィング・テクニックですれ違ってくだすった対向車のみなさま、本当にありがとうございました。っていうか、あの道は走り慣れてる方しか通らないルートなんだろうな……。
極度の緊張感と恐怖に吐きそうになりながらも、なんとか精神に恐慌をきたさずに走り続けること小一時間。
突然開けた視界に、誇張でなく涙が出た。
センターラインの引かれた車道って、なんてうつくしいのだろう。そして日の光が届く道って、なんてありがたいのだろう(感涙)
いつの間にか標高800m以上の高さまで運ばれてきたらしく、前方には伊豆の雄大な山並みが広がっている。小休止も兼ねて、ちょっと車を停めて写真を撮ろうかな……そんな余裕も出てきた。
しかし、車を一歩降りた途端凄まじい強風にさらされ、髪の毛の分け目が180度転換した。陽射しがふんだんに降り注いでいるというのに、バッチクソに寒い。っていうかmajiで吹っ飛ばされそう。
スマホで1枚だけ撮影し(たのがこの↑写真です)、そそくさと車中に戻る。今回最も寒さを感じたのがこのスポットでした。
その後はずっと広くて明るい道を延々下り、無事下界まで辿り着くことができた。着ているシャツの脇部分は大惨事だけれど、何事もなくあの地獄回廊を脱出できて本当に良かった。伊豆の山神さま……本当に本当に、ありがとうございました。
おうちに帰ったら、伊豆の山神maji感謝祭を七日七晩にわたって開催することを固く心に誓う。
その後、お土産を買うべく立ち寄った『いちごプラザ』にていただいたブランチ。かに出汁ラーメン、五臓六腑に染み入るおいしさでした……。
いちごプラザを出てからは、渋滞に巻き込まれることもなく平穏なドライブとなった。対向車線は大渋滞だったので、河津はきっと大賑わいだったんだろうなあ。
お昼過ぎに無事帰宅。ねこたち、今回もよゐこで留守を守ってくれていました。
ということで、8回目のソロキャンプは色々とおかしな汗にまみれつつも、楽しい時間を過ごすことができました。相も変わらず長ったらしい駄文と稚拙な写真を大量に晒してしまいましたが、お付き合いくだすった方、ありがとうございました。
帰宅後に「県道59号・伊東西伊豆線」で検索したところ、「県道っていうか険道」「怖い」「えぐい」「10mバックしてすれ違う」等のキーワードが続々と出てきてしまい、改めて震えています。もう二度と走りたくない。
だいぶあたたかくなり、そろそろ虫さんたちもアップを始める季節なので、私のソロキャンプはしばらくお休みかなーと思っています。次回はまた秋かな。その時はまたお付き合いいただけたらうれしいです。