Mr.Children くるみ 歌詞考察

くるみ/Mr.Children

私のMr.childrenとの出会いであり、MVも含めて忘れられない楽曲です。

主人公が語り掛ける「くるみ」とは何を表しているのか?


ネットでもよく言われますが、「くるみ」=「来未」=「未来の反対」=「過去」ではないかと言われています。

過去の自分ではなく、傍にいた恋人、家族、友人…今はもういない、大切にしていた存在に対して語りかける歌になっています。捉え方は聴く人それぞれだと思うので、ここではひっくるめて「くるみ」として表します。

それでは歌詞を見ていきましょう。

ねぇ くるみ
この街の景色は君の目にどう映るの?
今の僕はどう見えるの?

くるみと別れてしばらく経ち、街なみや自分自身の変化を感じています。きっと主人公自身、変わってしまった自分に対してよく思っておらず、あの頃の君にハッキリと言ってほしいのではないでしょうか。

ねぇ くるみ
誰かの優しさも皮肉に聞こえてしまうんだ
そんな時はどうしたらいい?

マイナス思考に陥ると、どんな慰めの言葉も卑屈に考えてしまいます。くるみがいた頃はひねくれず、言葉通り捉えられたのでしょう。去ってからはどこかおかしくなってしまい、またくるみに助けを求めてしまいます。

良かった事だけ思い出して
やけに年老いた気持ちになる
とはいえ暮らしの中で
今 動き出そうとしている
歯車のひとつにならなくてはなぁ

過去の栄光や幸せな時間ばかり回想していると、まるで人生の終わりを迎えるかのような気持ちになります。本当に命が尽きる直前であればそれでいいですが、実際はまだまだ日常が続いていきます。
多くの歯車が各々の苦悩を抱えながら、日々の生活を支えています。

希望の数だけ失望は増える
それでも明日に胸は震える
「どんな事が起こるんだろう?」
想像してみるんだよ

希望や幸せを願った分だけ、打ちひしがれることも増えていきます。
それならいっそ望まない方がいい!そう思っても明日はやってきます。
良いことも悪いこともひっくるめて、まだ見えない未来を想像する。
自分を奮い立たせるように主人公は立ち上がります。

ねぇ くるみ
時間が何もかも洗い連れ去ってくれれば
生きる事は実に容易い

Mr.children自身が「終わりなき旅」で私たちに教えてくれた言葉。「心配ないぜ 時が無常なほどに すべて洗い流してくれる」。
多くの人を勇気づけた歌詞であり、人生の応援歌として長らく愛されています。
しかしそのような優しい言葉でさえも、主人公にとっては皮肉に聞こえるのではないでしょうか。
自らの曲を引用することで、主人公の弱さを表現するとは恐れ入りました!

ねぇ くるみ
あれからは一度も涙は流してないよ
でも 本気で笑う事も少ない

くるみが傍からいなくなった今、感情が揺れ動く出来事が少なくなってしまいました。
最後に泣いた「あれ」は、くるみとの別れだと思います。失恋、死別、喧嘩…様々な理由が想像できます。

どこかで掛け違えてきて
気が付けば一つ余ったボタン
同じようにして誰かが 持て余したボタンホールに
出会う事で意味が出来たならいい
出会いの数だけ別れは増える
それでも希望に胸は震える
十字路に出くわすたび
迷いもするだろうけど


桜井さん自身が歌詞に手ごたえを感じている部分ですね。ボタンホールが1つ余るという、誰もが経験するあるあるネタをここまで感動的にできるのが凄いです(笑)。
まさに凸凹同士が結びつくように、人生においても足りないところを補える人がどこかにいます。

そんな出会いが増えるたびに、辛い別れも増えます。くるみとの別れを経験したはずなのに、それでも主人公は新たな出会いに胸が震えます。
様々な迷いも全てひっくるめて、まだ見ぬ未来に歩き出そうとしました。

今以上をいつも欲しがるくせに
変わらない愛を求め歌う
そうして歯車は回る
この必要以上の負担に
ギシギシ鈍い音をたてながら

最後のサビとなりました。MVで熱唱するMr.adaltsの姿が自然と思い浮かびます。
まさに桜井さんのおっしゃる通りで、人はないものねだりをしてしまいます。
今以上というのは、まだ見ぬ未来のことではないでしょうか。
「希望を抱くからこそ、必要以上に絶望が増える。それでもまだ見ぬ未来に希望を抱いてしまう。」
表現の仕方が変わっても、根底にあるテーマは同じであると解釈しました。

希望の数だけ失望は増える それでも明日に胸は震える
「どんな事が起こるんだろう?」 想像してみよう
出会いの数だけ別れは増えるそれでも希望に胸は震える
引き返しちゃいけないよね 進もう 君のいない道の上へ

最後に主人公は、振り返らずに進む決意を固めました。
過去に引き返して、よかったことだけを思い出して感傷に浸るのは楽で幸せです。
しかしそれでは今以上の幸せは見えず、新たな出会いに胸を震わすことはありません。
くるみとの決別が、新たな出会いと別れを生んでいくのでしょう。

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