タイトル作者【てちゅろん】タイトル【ボドゲーン同好会へようこそ!】

・タイトル作者【てちゅろん】
・タイトル【ボドゲーン同好会へようこそ!】


・番号【1】・文章作者【カジキ】

その男はインドを旅していた。
「ここもダメだ。ボードゲームに似合わない……」
大小さまざまなボードゲームを背負い西へ東へ。

時には、テロリストや猛牛すらボードゲームでたしなめた。マザーテレサやガンジーをカロムでぶっ飛ばしたこともある。

そんな行いがインド内でも噂になってきたある時、男は山奥の秘境に訪れた 。
「おい……そこの日本人。名は何という?」
「ぼ、僕の名前は……」

・番号【2】・文章作者【ワク】

「僕の名前は、どどめです。」
「Do do me ? 変わった名前だなぁ。」
「あなたの方こそお名前は何と言うんですか?」
「俺は、ラージャマウリだ。」

ラージャマウリ!?あの大ヒットインド映画「バーフバリ」や「RRR」の監督のラージャマウリ!?

どどめはこの出会いを逃すまいと、監督をボドゲに誘うことにした。
「カロムで遊びませんか?」
インド発祥と言われているカロムを監督はもちろん知っているようで、OKしてくれた。

この勝負、負けるわけにはいかない!

監督のターン。
監督はナートゥのように足を激しく揺らし、その足で駒を打ち始めた。

やっぱりインドは規模が違うなぁ。
どどめはここに来たことを少し後悔した。


・番号【3】・文章作者【りにょり】

カッコーーン!!
パックがポケットに入る小気味良い音が響く。どどめも負けずにストライカーを指で弾いた。
ボドゲーーン!!
奇妙な音を立ててパックはポケットにインした。相手はニヤリと笑い、舌なめずりをしながら、どどめに握手を求めた。
「ナカナカヤルジャナイカ」


・番号【4】・文章作者【てちゅろん】

カナカナカナと、近くの林でひぐらしが鳴き始めた。2人はまだそこにいた。
「コウ?」
ボッゲゲゲーン!
「違う!もっとお尻と唇を突き出して、インパクトの瞬間に小指をピンと立てながら、つま先立ちで腹式呼吸と共にストライカーを弾くのよ!」
「フッ!!」
ボドゲーーン!!
奇妙な音を立ててストライカーに弾かれたパックがポケットに飛びこむ。
「そう、それでいいわ。まさか半日足らずで修得するとはね。これならガギグゲゲゲゲーンも修得できるかもしれないわ」
「ナンデ、オネエナノカ、ワカリマセンガ、ドドメ=サンノ、指導ノ賜物デスヨ。アリガト、ゴザマス!」
2人はすっかり仲良くなっていた。
「アナタとなら……C-1の頂点もイケるかも。どう、私と組まない?」
手を握るどどめに返事を返すよりも早く、部屋のドアを蹴り破り、熟した桑の実のような黒ずんだ紫色のジャージに身を包んだ男が現れる。
「ちょっと待ったどどめ、お前の相方は俺だろ、俺!」
「キクゾウ=サン?!」


・番号【5】・文章作者【カジキ】

「ドーモ。クラスクスレイヤー=サン。ダークキクゾウです」
「ドーモ。ダークキクゾウ=サン。クラスクスレイヤーです」

オジギ終了から0.02秒。クラスク台は跳んだ。
ワケの分からない2人の闘いに巻き込まれて破壊されてたまるか。という気持ちがクラスク台に命を吹き込んだのだ。

そして始まった、2人と1台の死闘。
弟子のクラスクスレイヤーを見守るどどめ。
相方を自称するダークキクゾウに覚えがないどどめ。
心配するどどめ。
見飽きるどどめ。
帰宅するどどめ。
話題のゲームに夢中などどめ。

かくして、3人と1台は固い絆で結ばれ
オリンピックのクラスク会場へ向かうのだった。


・番号【6】・文章作者【ワク】

3人と1台が出場する競技は、クラスクの団体競技だ。クラスクを使って、いかに美しい試合風景を再現できるかを競う。

しかし、ここでクラスクスレイヤーは喫煙と飲酒の事実が発覚したため出場辞退する事となった。
「悪人に人権はないっ!!」
そう言い残すとクラスクスレイヤーは爆ぜた。

クラスクの団体種目は2部構成である。
45秒という制限時間内に技を連発するRUN方式と、技の完成度を競うBEST TRICK方式だ。RUN方式の高い点数とBEST TRICK方式の高い点数2本の合計点で勝敗が決まる。

試合後半。BEST TRICK方式。チームの順位は7位。メダル圏外だ。

どどめは目を据わらせ、クラスクの前でオーラを放った。
ダークキクゾウは土下座をしながら地面に頭をめり込ませた。

「おっとー!これは【GACHIKANA(ガチカナ)】だー!有名選手カナの試合風景の再現だー!!点数は…低い!これはどういうことなんでしょうか?カナさん。」
「ガチ感の再現がまだ足りてませんね。がんばってほしいです。」

5回のうち2回は高得点をとらなければならない。
次が最後のチャンスとなってしまった。
逆転するためには96.99点が必要だ。
ダークキクゾウがささやく。
「ドウスル ドドメ」


・番号【7】・文章作者【りにょり】

どどめの身体から汗が噴き出る。もはやこれまでか・・・・・・

でも!!

「やるしかない...」どどめは自分に言い聞かせ、クラスクの前に立った。

観客席からは緊張が伝わり、静まり返っている。どどめは集中し、次の技に全てを賭ける覚悟を決めた。
彼が選んだ技は、極めて難易度の高い「ファントムスラッシュ」。
この技は一度も試合で成功させたことがないが、成功すれば必ず高得点を取ることができる。

クラスクのスティックを握り、どどめは一瞬の躊躇もなく動き始めた。


・番号【8】・文章作者【てちゅろん】

ぼどげーん!ぼどげーん!ぼどどどどどど……!!
およそアラームとも思えない音を立てる目覚まし時計を叩き止めて、ガバっと起きるどどめ。
「……あれ?ファントムスラッシュは?」
「何寝ぼけてるんだよ。もう朝ごはんできるぞ。今日からカラハンタの営業なんだから、しっかりしてくれよ!」
目玉焼きが焼けて美味しそうなフライパンを片手に、エプロン姿の呆れた声はキクゾウ=サンだ。
「わりい、すぐ顔洗うわ」
飛び起きたどどめは洗面所に向かい、コップから2つの歯ブラシを抜いて、手ばやくうがいと洗顔を済ませた。
「「いただきまーす」」
2人の声が重なりあう。
あれから2年、ファントムスラッシュで大会を制覇した俺は、夢だったボードゲームカフェを立ち上げたのだ。
何か大事なことを忘れている気はするが、思い出せないのなら大したことはないのだろう。
そう言い聞かせ、どどめはケチャップでハートが描かれた目玉焼きをほおばるのであった。

おわり♡


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