ビラ配り
数ヶ月前、駅前でビラ配りをしている人がいた。
僕はこういう類のものは常に全て受け取る姿勢でいるか、全て受け取らない姿勢でいるかの2択だと思っているので、面倒ごとを避けるため基本は受け取らないようにしている。
その日も無意識にビラを断っていたが、断っている途中で(おそらくそこまで有名でない)劇団の公演?に関するビラだとわかり、断った後で非常に後悔した。
こういった偶然の出会いに身を任せて面白いものに出会う瞬間が堪らなく好きだからだ。
だが、一度断ってしまった手前、もう一度受け取りに戻るのもバツが悪く、なくなく諦めた。
そして次に同じようなビラを配っている場面に遭遇したら絶対に受け取ろうと心に決めた。
そして先日ついにこの時と同じ駅前でビラ配りをしているところに遭遇した。
遠くからその姿を確認した僕は興奮で焦る気持ちを抑え、平静を装いながら自然と貰える動線を確保していた。
ところがビラ配りの人のほぼ目の前に差し掛かった時、ビラの内容が書かれた看板が脇に立っているのが目に入った。
「あなたの血管年齢測ります!」
俄に興味を失った僕は、直角に進路を変え、ビラ配りの人の横を通らない動線に急転換し、元の目的地へと向かった。