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いつまで経っても宿題が終わらない生徒たち

手が止まる

 こんなことがありました。
学校課題に時間がかかってしまい、どうしても提出するだけで精いっぱいという生徒がいました。
 そこでどんなやり方をしているか塾でもやり方のアドバイスをするようにしたのです。
見ていると問題を見て、一つずつ一生懸命考えてやり、時々わからなくなるのか手が止まります。
 簡単なヒントを出してあげると何とか答えを書き込み先へ進みますが、また手が止まります。
 「これだと時間がかかるから、まず説明部分をしっかり読むか解説書を一回読んでみたらどうかな。それからやればよくわかってくるから時間が半分で済むよ」
そんなアドバイスをしました。

罪悪感

 そのアドバイスに生徒は一応うなずきました。しかし一向にそれをしようとしません。
また同じように少し進んでは手が止まり、考えた挙句何か適当な答えを書き込んで先へ進みます。
そんなやり方をしているので時間がかかります。
 ただ、それでもひとまとまりの単元を終えると丁寧に解説書をみて答えを直していきます。
彼にとってはそれがオーソドックスなやり方なのでしょう。
 私は生徒に聞いてみました。
「どうして答えを先に見ないの?」
返事はありません。
色々問いただしてみると、どうも先に答えを見てしまう事に強い抵抗があるようでした。
学校ではもちろん答え合わせまでして提出する課題ですので解答を先に見る事は禁止されていないのでしょうが(たまに禁止する先生もいます)彼本人の性分としてそれを自分に許すことができないようです。
 「答えを見ないでやりなさい」という指導を受けていると解答を見てしまう事に罪悪感を覚えてしまうようになりがちですが、勉強の目的は「正解を出せるようになること」ですから、まったく手掛かりがなく解答を出せない場合には解答を見てそこからやり方を学び直し、再度やってみるというのは当たり前の手法です。
 何のために課題をやるのかという面に目が行っていないとこのような事になりがちなのかも知れません。 

宿題に時間がかかる真の理由

 宿題に時間がかかる場合には、色々な理由があります。
一つには対象となる分野の理解が十分にできていないこともあると思いますが、理解が割と進んでいても時間がかかってしまう生徒はたくさんいます。
 それはこの彼がやっていたように時間のかかるやり方をしている場合が多い気がします。
いわゆる丸付けをするタイミングが遅すぎてたとえば4ページくらいやってようやく全部丸付けをしようとしていたりします。
途中でわからない所でストップしている時間が実際に解いている時間の7~8割くらいの生徒さえいると思います。
 よく「宿題がなかなか終わらないので塾でやらせてください」と言うような相談があります。
多くの保護者の方は、宿題ができない理由は、単に生徒が宿題をやりたがらないからと考えていますが、その背景には「やり方が悪いから時間がかかる→だからやりたくない」ということが隠されている場合があると思います。

逆にとても早くやる生徒もいますが、そういう生徒も実は同じだったりします。ただわからないところを大胆に飛ばしてしまう勇気があるだけだったりもします。
それでできているので良いとは思いますが、適当にササっと答えを書いて丸付けして「間違いか」と言ってそのままにして定着しないならば、最初に良く説明書なり解説書を読み(そこで一回学習)その後解答して(ここで二回学習)最後に丸付けする(ここで三回学習)方が断然効果的である気はします。
どうせやるなら効果がある宿題のやり方をしたいものですね。


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