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Change for Purpose!(2)惨敗したICCから10ヶ月。ピッチで優勝するまで

こんにちは。WizWe代表の森谷(もりたに)です。

ICCサミットFUKUOKA2022の惨敗から始まった、私とWizWeのピッチロード。2022年12月2日にメドピア/日経新聞が主催するHealthtech/SUM2022にて「最優秀賞」と視聴者・参加者が投票して選ぶ「オーディエンス賞」をダブル受賞!改善を続け優勝という結果を得ることができました!

2022年はピッチをしながら駆け抜けた1年であり、優勝するまでのピッチロードをまとめてみました!1年分の記録に近いところもあり、めっちゃ長文になっております。振り返ってみても、本当に多くの人の支えがあり、本当に多くの人からヒントをいただいており、感謝しかありません。

ターニングポイントになったICC惨敗

今につながる起点には、ICCでの惨敗があり、ここが始まりの場所。ICCでのピッチの振り返りから本稿をスタートします。ICCはWizWeの事業面でもピッチ面でも、本当に重要なターニングポイントになっています。

尚ICCサミットでのピッチ登壇へ至る道のりは以下にまとめています。

ICCサミットFUKUOKA2022において、唯一公募で登壇ができるスタートアップ・カタパルトというピッチコンテストで、滑り込みで登壇機会が得られました。しかしオーディション段階のピッチ評価では『5段階の2』という厳しい評価。ギリギリボーダーの滑り込み。ピッチは下手という所からのスタートでした。

登壇が決まったのが2021年の12月2日。そこから本番の2022年2月15日に向けて2ヶ月半かけて、一歩一歩ピッチを磨いていきました。準備過程では、プレゼンの達人、三輪開人さんの『カタパルト必勝ワークショップ』も受講しました。プレゼンテーションにおける本質がぎっしり詰まっており全てが学びの時間となりました。練習ピッチの機会もいただき、三輪さんからは「森谷さんと似たタイプの起業家のピッチを参考にすると良い」というアドバイスをいただきました。具体的に三輪さんから名前が挙がったのはガラパゴス社の中平社長、スピークバディ社の立石社長でした。お二人はピッチへの準備を記事にしてくださっており、その記事を読み込み、ピッチ動画も何度も見ました。

(以下はガラパゴス中平社長のピッチ準備のnote)

(以下はスピークバディ立石社長のピッチ準備のnote)

私も参加した三輪さんの講座の様子はICC様の記事になっています。

ICCのピッチは、準備をスタートした段階では、ボーダーギリギリ。本番までにかなりの努力とアップデートが必要というポジションからのスタートでしたが、「やるからには優勝を目指す!」と気合だけはMAX入れました。そして、事前準備や練習含め、やれることは全てやって本番に挑みました。喉が枯れてきて、声が持つかどうかという所まで練習をしましたが……

結果は惨敗!!カタパルトの登壇者の皆様は本当にすばらしく、ツワモノばかりでした。投票結果もいただきましたが見事なくらいの惨敗でした。

スタートアップ・カタパルトでの惨敗を悟り凹む本人

凹みましたが、その直後にICCの会場で、一番最初から本番に至るまで、私のピッチの準備過程を見守っていてくださっていた、プレゼンの達人、三輪さんが声をかけてくださいました。

「森谷さんにとってのICCは、ここからがスタートですよ!」
「きっとそうなります。ここからです!」

何というか、凹んだ気分が一瞬で消え去り「次だ、次!!」と、やる気がみなぎった気がしました。「敗北こそがスタートポイント」「ピッチと事業を磨き続ける」と心に誓いました。実際に敗北したことで、得た学びは本当に大きく、「勝つにはどうしたらいいか」にアンテナを張り巡らせるようになりました。この時の悔しさと感度は、今も私の資産になっています。

ICCでは、アダコテックの河邑社長との出会いもありました(私が勝手に師匠と呼び、今も多くを学ばせていただいています)。河邑さんはICCサミット FUKUOKA 2020 スタートアップ・カタパルトで優勝。私は河邑さんのプレゼンに感動し、河邑さんの話す速度(1分あたり文字数)、声のトーン(めちゃ聞き取りやすい)、間の取り方、複雑なことでも分かりやすく説明する構成などなど、勝手に学ばせていただいていました(動画を繰り返し見て真似ていました)

(河邑さんの優勝プレゼン。聞きやすく、分かりやすい。一方でかなりの情報量を伝えきっている。たくさん見ました)

河邑さんのピッチから「優勝するピッチのクオリティ」に魅了され、この品質を目指そうと誓ったのでした。「分かりやすく」「聞きやすく」「しかし(勝つために)ギリギリまで攻める構成」こういうピッチをしたい!と、勝手に目指すようになりました。

私のICCのピッチ直後に河邑さんから、以下のメッセージをいただきました。めっちゃテンションが上がりました。河邑さんもICCの別のコンテストでピッチ登壇する日だったのですが、私のピッチを見ていてくださったことにも感動しました。


私のピッチの結果は惨敗だったのですが、カタパルト優勝者である河邑さんからの上記コメントや、ピッチを見てくださった方から「良かった」「感動した」という声を多くいただいたので、事業が更に進捗しピッチがもっと改善すれば、コンテストで勝てる可能性もあるという手応えも掴みました。

ICCの敗北経験を経て、具体的に改善が必要と分かったことは以下でした。

1.社会課題を明確にかつ丁寧に訴求する。解決すべき課題やなぜそれが必要なのか、そして何故我々がそこを解決できるのか、しっかり時間をかけて伝える。

2.その分、サービスやプロダクトの機能面やここがスゴイというポイントは数を絞る。「この一点が圧倒的にすごい」というポイントを切り出し、そこを分かりやすく、インパクトを持って表現する。

3.自動化領域やHuman×MachineといったWizWeの強みを分かりやすく訴求する。現状のピッチでは構成や表現方法の影響でそのイメージが消えてしまっている。ちゃんと表現する。

4.説明不要の大きなTAMが勝手に想像できてしまう伝え方(社会的インパクト)、敢えて説明しなくても、広大なTAMが自然想起される必要あり。

5.シンプルに「トラクションの積み上げ」「具体の導入事例」数字が明確に伸び、踏み込んだ事例があるだけで説得力が倍増する。

この5つのうちの、2.と3.で、良いインスピレーションになったのは、ICCで私の直後にピッチしていたパーソナルスタイリングサービスを展開するDROBE社の山敷社長のお話でした。AI×スタイリストというコンセプト。教師データはスタイリスト側に。AI(自動化)とHumanの融合。

DROBE社のBtoC事業とWizWeのBtoBtoC事業は、ビジネスモデルやマネタイズスタイルは全く異なりますし、DROBE社のパーソナルスタイリング(ファッション)とWizWeの習慣化は、異なる付加価値なのですが、大枠の基礎構造というか、思想的な立ち位置として、参考になる部分が多いと、私は勝手にヒントを得てしまいました。(私の一方的な感覚なのですが)

DROBE社の山敷社長のICCでのピッチはこちら。

同社はICCのピッチで入賞し、11月に10.6億円の資金調達も完了(スゴイ!)注目のスタートアップです。

DROBE社長井COOのnoteにもAI×Humanのコンセプトがまとまっています。
アナログから完全自動に至る間の半自動(テクノロジ+ヒト)が肝。

※尚、今回のnote作成に際して、DROBE社のことを記載しても良いかお伺いを立てた所、山敷社長から以下の嬉しいご返信が!

許可をいただいたのでスクショも掲載いたします!
DROBE長井COOのnoteより
DROBE長井COOのnoteより

自動化とHumanの融合の訴求のポイントについてヒントを得て、WizWeのピッチ資料をアップデートしていきました。

改善ポイントがしっかりアップデートされていけば、ピッチコンテストで勝負になるという手応えもありました。一方で、次のピッチコンテストの前に、まずWizWeの習慣化事業をしっかり磨こうと考えました。ICCの敗北から、事業の積み上げ(トラクション)が大きく出ていないと優勝は困難であると実感した為です。

登壇後の3月からは、事業の進捗にどっぷりフォーカスするようになりました。資金調達活動も早めにアンテナを立てて動き出しました。スタートアップ冬の時代と表現されている外部環境となり、日を追うごとに環境が厳しさを増していたためです。WizWeでは、事業の本質的進捗を最優先し、続いて資金調活動を優先するようになりました。

ピッチに磨きをかけたスタートアップ・ワールドカップ

そうした中で、大和証券様よりピッチコンテスト出場のお誘いをいただきました。スタートアップ・ワールドカップというピッチコンテストの日本予選でした。

株主のエッグフォワード様からも出場のお誘いがありました。

ICCでの惨敗の経験から、ピッチで勝つには、まだ早そうと感じていましたが……2社からお誘いがあったことと、ちょうどWizWeにおいて営業活動をガッツリ強化するタイミングになっていたこともあり、営業につながるPRになればと思い予選にエントリーしました。

後になって振り返ると、このスタートアップ・ワールドカップの出場がピッチに磨きをかける大きな一歩となりました。

申込みをした結果、ありがたいことに200社以上の応募の中からファイナル登壇の10社に選んでいただきました。

日本予選ファイナルはピッチスライドの枚数は10枚という固い縛りつきでした。

更にスライドの提出締め切りまでの時間がほとんどない。すぐにファイナルの本番という非常にタイトなスケジュールでした。

しかし、この時間制約のおかげで、逆にWizWeのプレゼンの力が一気に伸長しました。マーケティング&PRチームとクイックに打ち合わせして選んだ10枚のスライドで勝負することを即断。スライドに頼らず視覚ツールなしでも私自身のコトバだけで魅力を伝える練習をする。自分の身体に熱量を込める。などなど。こうした一連の経験が、後のヘルスケアピッチで、視覚情報(スライド)に頼らなくてもしっかり説明できるスキルにつながっていきました。

尚、準備時間がタイトであるが故に、現場チームでどんどん判断する必要があり、自律自走が一気に強化されました。マーケティング&PRチームが、超高速で素晴らしいクオリティの準備を行い仕上げていきました。私はほとんど介在せず、ピッチの準備が進みました。

結果、以下のような呼び込み動画も仕上がりました(スタートアップ・ワールドカップでは30秒の呼び込み動画が必須で事前提出が必要でした)

お金をまったくかけず、WizWeらしさが十分伝わる動画。ヒトの力、チームの力ってスゴイ!と思いました。WizWeメンバーも、この動画をすごく気にいっているようでした。

(スタートアップ・ワールドカップの呼び込み時に放映された30秒の動画。出演者はWizWeメンバー)

こうした経験の結果、その後のピッチコンテストでは、準備に要する時間を大幅に短縮することができるようになりました。私は話す内容(ピッチのスクリプト)とピッチのデリバリーだけにフォーカス。あとはチームがまとめあげるという構図です。このおかげで、一度に準備できる分量が増え、複数のファイナルが重なっても、問題なく並列で対応が可能になりました。

当時は資金調達活動も同時に行っており、多くの投資家様へピッチとQ&Aをする機会に恵まれていたことも、とてもプラスに働きました。ある投資家様から「面白い事業ですね!!これは、Support as a Serviceですね」というヒトコトがありました。『Suppor as a Service!』言い得て妙。これぞ正に!という表現でした。即日ピッチに取り入れました。

結果生まれたフレーズが
「Support as a Service!全てのヒトにポケットサポーターを!」
ピッチの中間でサービスコンセプトをヒトコトで伝えることが可能になりました。

結果、説明に必要なスライドや時間が減りました。そこで捻出された時間で社会課題や将来について丁寧に訴求できるようになりました。ICCの時の課題のうち上から3つが解決された瞬間でした。(上述した課題の『2.ここがスゴイという一点を尖らせる』『3.Human×Machineを明確に訴求』この2つがクリアされたことで、『1.社会課題と何故我々が解決できるかを明確に訴求する』がクリアできるようになりました)

一方で、準備や練習の時間が本当にタイトだったので、本番当日も、会場に入ってからも、ずっと一人でブツブツ小声を出して練習をしていました。視覚情報に頼らないという意思決定をしていたおかげで、話す内容(スクリプト)さえ頭に入れば、あとは、身振り手振りで表現するので、何をしていても、どこにいても練習ができるようになりました。副産物として生まれた「視覚情報に頼らないピッチ。それによる練習場所からの解放」は、練習のしやすさという点で後に極めて大きな影響がありました。どこでも練習できるのは安心材料でもありました。

そして、ピッチの結果は、何と……スポンサー賞である「SOICO賞」を受賞!!登壇者が強いため、まさか自分が呼ばれると思っておらず、
「え、僕ですか」と、名前を呼ばれて焦ってしまいました。

他の登壇者がすごいので選ばれないと思い込み、油断していた所、名前を呼ばれ焦っている様子。

(スタートアップ・ワールドカップ日本予選にてSOICO賞を受賞したプレゼン動画)

出場を打診いただいた株主のエッグフォワード様の社内でも受賞のニュースに盛り上がったようでした。支えてくださる皆様に喜んでいただけて、とても嬉しかったです。

エッグフォワード様の社内チャットでのTimeline

スタートアップ・ワールドカップは、「どれだけ準備スケジュールがタイトでも、ちゃんと戦える」「登壇者様が強力であっても、十分戦える」という自信をつけた舞台となりました。本格的に優勝を目指せるようになったという点でも大きなターニングポイントでした。また、チームとして自律自走して準備を高速で進められるようになったという点で、一段進化したような感触もありました。

また、スタートアップワールドカップでのピッチは、入賞という結果を持ち帰ることができ、ピッチの準備チームにとっても、かなり喜びが大きかったようでした。社内のメンバーも皆、喜んでくれ、登壇して良かったと思いました。

ヘルスケアピッチ登壇へ

実は……7月はこれで終わりでなく、このスタートアップワールドカップの登壇の直後にWizWe初のヘルスケア関連のピッチのファイナルがやってきました。

アフラック生命とかんぽ生命が主催するアクセラレータープログラムです。

WizWe株主のモバイル・インターネットキャピタル様から春頃に打診があり、申込みをしていました。同時期にヘルスケアへの扉が開かれはじめていました。

モバイル・インターネットキャピタル 通称MICの元木さんからの打診

ヘルスケアはWizWeの事業戦略MAPで言うと中長期で到達する所であり、まだまだ実績が少ない状況でした。そんな状態で勝てるかな……という不安も抱えていました(サントリー様との取組みではヘルスケア領域で素晴らしい成果が上がっていましたが、この時はまだ公表ができない状況にありました….)

WizWeの市場拡大戦略。マルチバーティカルモデル。一番長期の到達点だったのがヘルスケア。

しかも、スタートアップ・ワールドカップの準備だけでも、ギリギリの状況にあったので、ヘルスケア仕様にした準備は最低限しかできない状況でした……

準備がほとんどできないまま、かろうじてピッチ。しかし、結果、なんと予選通過!80社以上の応募の中でファイナリスト15社に選ばれました。

「あれ!?」という新鮮な驚きがありました。ヘルスケア実績が数少ない状況で、今までWizWeでやってきたことを、そのままお話したらファイナルに残ったので、「ヘルスケアは相性が良いかもしれない」と感じました。

同じ事業であっても人や会社によって見える風景が違うということを実感しました。

通常の資金調達関連では「TAMがあるかな?」という声をちらほらいただいており、自分の見ている風景(TAMはすごく大きい)と、聞き手が見ている風景(TAMが小さいのでは?)の間のGAPを感じる日々でしたが、ヘルスケアにおいては、私よりもむしろ聞き手の皆様側の方が、TAMの広がりを感じているようでした。偶然にも、ヘルスケアという領域においては、ICCの時の課題の『4.説明不要の大きなTAM、広大なTAMが自然想起される』が最初の段階から解決されているようでした。

結果的にアクセラは採択にはなりませんでしたが、突貫でファイナリストという結果に自信を深めることができました。

結果を報告すると、モバイル・インターネットキャピタル様からは以下の温かいコメントと同時に、次のミッションが!

ヘルスケアピッチ系は軒並み申し込もう!というミッションが!!

そして「最優秀賞」&「オーディエンス賞」W受賞へ

夏から秋にかけては、スタートアップ冬の時代というコトバがいよいよ本格化してきており、資金調達環境は更に厳しくなっていました。事業はしっかりと伸びていたこともあり、ヘルスケアピッチで認知度を上げ、1%でも生き残る確率が高まればと考え、ヘルスケアピッチには全て申し込むことにしました。全部申し込む!と気合で申し込みました。その中の一つが優勝につながりました。

尚、WizWeが特に重要なターゲットとして定めたコンテストは、経産省主催でヘルスケアスタートアップ最大のイベントの一つである「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト」、およびメドピア/日経新聞が主催の「Healthtech/SUM2022」でした。

申し込みした所、幸い両方、次のステージへ進めました。

まず経産省の「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト」からピッチの舞台が始まりました。書類審査の結果、10月の一次プレゼン審査に進みました。この審査に向けて、ヘルスケア仕様のピッチを作っていきました。

しかし、資金調達活動が、当初予定(秋にはクロージングの予定でした)よりも長引いてしまい、リスクシナリオも含めたプランB、プランCと共に事業運営をする必要性が生じていました。事業面の方針や戦略含め思い切った出費コントロールと組織再編が必要という結論を出し、事業面の対応に私の多くの時間を投下することになり、ピッチについては、手がつけられない状況なってしまいました。

ここで自走していたチームの力に救われました。初期的な方針やシナリオ(=文字スクリプト)だけ共有していたら、気づけば素晴らしいピッチ資料ができていました。本当にありがたく思いました。

ちょうど組織再編で株主のエッグフォワード様と9月末に集中討議を行う場があったので、その打ち合わせの後に、エッグフォワード様にピッチを見ていただきました。実は、ピッチスライドも読み込めていない状態で、一度も合わせたことがない状態でした。が、チームがスライドを作ってくれていたので、エッグフォワードの徳谷社長と三村執行役員にプレゼンを見ていただくことができました(ぶっつけ本番で資料を見た、ボロボロのピッチでした……)

事業方針の集中議論、発散と整理について、株主のエッグフォワード様に多大なお力添えをいただきました。その後の時間30分でピッチのフィードバックの時間をいただきました。ボロボロのピッチでしたが、貴重な示唆を多くいただきました。

今までピッチした中で、最もボロボロのピッチでしたが、非常に大きな価値がありました。その場で、正に金言のような多くのフィードバックを受けることができました。徳谷様、三村様ともにピッチコンテストで審査員を務めるような方なので、極めて貴重な時間となりました。

これらのフィードバックを反映し、土日にピッチを修正し、動画で録画。エッグ様に再度見ていただきました。すると以下のフィードバックをいただきました。

ボロボロからスタートしたヘルスケアピッチでしたが、この段階において、これらのフィードバックを全て反映して予選に挑めば、勝ち残れるイメージが湧きました。

背景としては、習慣化サポーターの日々の実績の積み上げがあり、この頃(10月頃)には、ヘルスケアでの事例を具体的な名前と共に公開できる状態になっていたからです。売上実績も更に積まれていたこともありました。事業面進捗への自信もありました。

フィードバックを全てピッチに反映し、ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテストの予選ピッチに挑みました。この頃は組織再編や黒字化を実現するための事業運営のため、私自信の活動量を過去の3倍くらいに増やしており、ピッチの練習はほとんどできない状況にありました。朝から夜までビッチリ予定が入り、夜の最後に捻出した時間で何とか練習をするという日々でした。

ここでモノを言ったのは、スタートアップ・ワールドカップの時の、スライドはチームが準備し、私はひたすらピッチのスクリプト(話す文字)を磨き、視覚資料がなくても伝わるプレゼンができるノウハウでした。スクリプトさえ入れば、通勤時間や移動時間で練習ができる訳です。どこでも練習ができる状態にあったことで、まとまった練習時間が取れない状況でもちゃんとピッチが仕上がりました。

そして一次予選のピッチが無事完了!結果は2023年1月12日に開催される最終選考会におけるファイナリスト5社に選出となりました!

日経BP「Beyond Health」より引用
日経BP「Beyond Health」より引用

正に、自律自走して準備を進めるチームの力と、WizWeをサポートしてくださる温かい支援者の皆様の力で、勝ち得たファイナル進出でした。また、事業の本質的な所で成果が上がっており、ヘルスケアにおける事例が企業名と共に明確に出せるようになったこと、そして、売上が着実に成長していたという、WizWeの皆の日々のがんばりによる実績の積算が評価されたように思いました。ここに至って、ICCの時の課題の『5.シンプルに「トラクションの積み上げ」「具体の導入事例」数字が明確に伸び、踏み込んだ事例があるだけで説得力が倍増する。』というポイントがクリアされてきました。

日々の事業に打ち込む皆の積み上げた実績こそが素晴らしく、私は本当に、WizWeの皆の想いを身体に込めて、ピッチするだけ、という役割でした。ギリギリまで時間的に追い込まれての予選登壇だったので、時間制約上、そこに徹することしかできませんでした。。。逆にそれがピッチに好影響を与えたようにも思います。

そして、冒頭の優勝の話となりますが、メドピア/日経新聞主催のヘルステックのグローバルカンファレンス「Healthtech/SUM2022」のピッチコンテストのファイナルへ。正直、予選にお申し込みされている企業が強く、ファイナルの前に予選で落ちると思っていたのですが、幸いにも、ファイナリストに選定され、12月2日に最終選考でのピッチの機会に恵まれました(奇遇にもICCでの登壇が決まった日のちょうど1年後がHealthtech/SUM2022のファイナルの舞台でした)

大変ありがたかったことは、偶然の積算ではありますが、生き残るために続けてきたピッチコンテストでの登壇によって、都度ピッチがブラッシュアップされ、改善が濃縮されて積み上がっていたことでした。ヘルスケアがトピックということもあり、ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテストの一次予選の準備がそのまま、土台となるという幸運もありました。

11月頃にはピッチを行う都度アップデートをしていった改善の積算、自律自走して準備が磨かれるチームの進化、そしてWizWeの事業面の進化など全てが積算されてきていました。

尚、「Healthtech/SUM2022」のファイナル直前には、ちょうど資金調達活動における大詰め、最大の山場の最終面談がありました。実はここの面談も好影響をもたらしました。

この面談では厳しい質問が矢継ぎ早に飛ぶということを担当者様よりお聞きしており、どのような質問が来ても、すぐに明確に応えられる準備をしていました。WizWeの事業について、習慣化の仕組みについて、全方位からの質問を洗い出し、週末に100以上の質問と回答パターンを準備しました。この結果、面談は好感触でした。

この、資金調達のための回答準備は、そのままピッチコンテストにおけるQ&Aの対策にもなりました。今まではQ&Aがあるピッチの時は、どんな質問が来るか、一抹の不安がある状態で本番を迎えていましたが、今回は、どのような角度で、どんな質問が来ても、全部回答できるという自信がありました。生き残りがかかっている調達活動でのQ&A準備であらゆる準備をしてあったことが自信につながりました。

また、Healthtech/SUM2022に向けては、本番に向けた集中練習の時間を捻出できる状況になっていました。一連の皆の踏ん張りや、各種テコ入れが成果を上げてきており、11月半ば以降、私自身がピッチにしっかり向き合えるようになったのでした。

「ヘルスケアのピッチで勝つために」、マインドも整えることにしました。カケハシ創業者の中尾様についての以下の記事を読み込み、そのメンタリティで挑むように準備しました。

カケハシの中尾さんが記載している3つのポイント:
1. 圧倒的に想像をする
2. 圧倒的に寄せにいく
3. 圧倒的に魅せにいく

これらを体現できるように、繰り返し練習することにしました。Healthtech/SUM2022の前日も深夜まで練習。当日も、ピッチの舞台に上がる直前の登壇者席でも、心の中で練習をしていました。舞台に上がる直前まで練習していたように思います。

文字数や構成にもこだわることができました。5分のピッチ時間の中で、自分が限界まで速度を出して話せ、かつ落ち着いたままの速度で、いける文字数を見出しました。私の場合は5分1800文字でした。1秒、1文字に至るまでこだわって、ギリギリの文字数まで攻めていきました。

また、「焦りをゼロにして」「自分自身が完全に感情移入して完了できる」テンポ&時間配分を割り出しました。その帰結が、締めくくりの前に10秒の余白。ここで最後の時間調整をして、5分ピッタリに終える。実際に本番では、4:59でピッチを完了しています。何度やっても、5分ピッタリに完了できるように練習をしていました。

ICC以来となる、声が出なくなるかどうかの、ギリギリまで練習をすることができました。一つの仕上がりのバロメーターになります。ピッチにフォーカスできる状況を本当にありがたいと思いつつ、本番に挑みました。

結果、審査員が選ぶ「最優秀賞」および参加者と視聴者が選ぶ「オーディエンス賞」をW受賞しました!上記動画がHealthtech/SUM2022のファイナルの私のピッチと表彰式となります(貴重な機会をくださったメドピア様、日経新聞社様、予選を通していただいたことにも、本当に感謝しております)

社内では皆が喜んでくれました。また、今回のピッチでは以前にも増して「感動した」という声を多くいただきました。今年は大変な事業環境でもあったので、この受賞で、WizWeメンバー(一人ひとりのユーザー様の継続に寄り添ってサービスを提供し続けています)や、大きな変化や再編の中で当事者意識を持って踏ん張り抜いているMGR陣、そして、WizWeの可能性を信じてサポートしてくださる支援者の皆様が、少しでも喜びを感じてくれるのなら、嬉しいなと思いました。

ピッチコンテストに何故出るのか、何故多くの時間をかけて本番を目指して練習を重ねるのか、いろいろな考えがあると思いますが、私の場合は、『WizWeと事業の将来を信じて、一緒に走ってくださる皆様の代わりに、日々の取組みや、想いを、魅力を、私の身体と声を触媒として、しっかり外に発信し、伝えきる』ためだと思いました。自分はあくまで触媒であり皆の代弁者という姿勢です。

以下社内の反応です。

プレゼンの師匠の河邑さんへも報告しました。

そして、プレゼンの達人、三輪さんへも報告しました。

今回、最優秀賞とオーディエンス賞をW受賞いたしましたが、優勝を勝ち得るために申し込んだというより、「1%でも事業が生き残る可能性を高めるために申し込み」支えてくださった皆様の代わりに、事業を伝えるという想いでピッチをしました

WizWeを支えてくださる周囲の皆様のサポートが無ければ、そもそもヘルスケアピッチに申し込んでいないようにも思い、ここに至るまでに、幾重にもピッチを潜っていなければ、今の内容は完成していないように思います。

2022年は、ICCへの準備に始まり、そこからずっと走り続けてきた、ピッチロードで駆け抜けた1年でもありました。多くの皆様からの支えに心から感謝申し上げます。

WizWeの成長を支えるWizWeメンバー、事業者様やユーザー様の黒衣(クロコ)として伴走し続ける習慣化サポーターに、あらためて心から御礼申し上げます。

そして今、2023年1月12日にジャパン・ヘルスケアビジネスコンテストのファイナルが控えており、再度構成を練り直す日々が続いています。ファイナル登壇者様は皆、本当にスゴイ!ですが優勝目指してがんばります!

2023年も挑戦を繰り返す年になると思いますが、サービスと事業を磨き続けていきます!