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リアル桃太郎
「え~、私? 私やったらイチローかな? 恵美は? 」
「うーん・・・スポーツ選手はある程度までしか稼げんやん。それやったら作家とか、芸能人とかの方が良くない? 」
「確かに! 」
「太宰とか三島とか・・・あと個人的に中村敦彦先生や浅田次郎先生とかいいかな~ 」
「恵美ちゃん、趣味『読書』やけんね。そういう人達好きよね~ 」
「あ! いっその事、福沢諭吉先生とかは? 」
「もう遺伝子残ってないやろ」
午前中、岡山県出身の患者さんからいただいた桃を眺めながら、看護婦5年目の安達夢と、大橋恵美は話し始めた。『桃太郎』の昔話から、本当に人間が桃から産まれてきたらどうする? というあり得ない話だったが、どんどん想像が膨らんでいった。
「この桃にさ、自分の卵子と好みの男性の精子の受精卵を注入して、水槽で揺らしに揺らして、一ヶ月くらいに産まれてきたら良くない? 」
「人工子宮ね! 」
昨今の医療技術の進歩や、不妊治療の医療革新、遺伝子学やAIの出現で、先々、人工子宮は出来るかもしれない!(予想)
「そうなったら、やっぱり精子を誰にするかが一番の問題なんよ! 」
「悩む~。遺伝子は重要やけんね! 」
「しかし、どんだけ良い精子でもさ、卵子はうちらのやん? そんなに期待は出来んかもよ? 」
そう言って、夢は、冷えた桃に包丁を入れ、実を二つに分けた。
「まあ、中は実と種ですな」
「しかしさ~、先々、どんどん医療が発達して、マジで人工子宮とか出来たらどうする?」
「あり得るかもよ!イチローの精子3万! とかで買ってね! 」
「人工子宮を桃の形にしてさ」
「川に浮かしてね! 」
「人工子宮桃! 」
「で、嵐が来て、桃が流れてね! 」
「どんぶらこ~どんぶらこって具合に(笑)」
「うわ~リアル桃太郎じゃん。桃太郎話は未来予想図? 」
「ア・イ・シ・テ・ルのサイン~ 」
「・・・まずは、現実の精子探そうか? 」 <完>