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空き家の窃盗が多発?


警察庁の統計より

空き家に残された金品を狙う侵入窃盗の増加について、読売新聞の記者から取材を受けました。本当に増えているのか、警察庁の統計で確認します。グラフは、発生場所別の集計に「空き家」という分類が加えられた2020年からの推移です。

空き家における侵入窃盗の認知件数(警察庁「年間の犯罪」より作成)

確かに、2020年に3,180件だった侵入窃盗の認知件数が、2022年には4千件を超え、翌2023年には倍増しています。しかしここで、空き家が狙われるようになったのか、それとも(空き家かどうかに関わらず)侵入窃盗の総数が増えているのかという疑問が湧きます。

侵入窃盗総数に占める空き家の割合(警察庁「年間の犯罪」より作成)

2020年からの3年間は侵入窃盗総数が減ったこともあり、侵入窃盗の総数に占める空き家で発生したものの割合は毎年約2%ずつ増えています。さらに2023年には18.5%に急上昇しました。
2023年の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家の数は約900万戸で、総住宅数の13.8%を占めます。警察庁の統計と「空き家」の定義は異なるかもしれませんが、数字上は空き家の方が狙われやすいと言えそうです。

対策としての空き家管理

読売新聞の記事(2025/1/26)には、「実家に住む親がどこに何を置いているか確認し、相続したらできるだけ早く家財を処分することが大切」という私のコメントが掲載されました。
取材の際にはこの他に、空き家を適切に管理することが侵入窃盗対策になることを前提として、空き家管理の「松竹梅」を話しました。「松」は警備業者などによる管理サービスを利用することです。「梅」は(相続人など)所有者自らが防犯カメラを設置したり、時々は草引きや郵便物の回収に訪れることです。「松」はお金が掛かりますし、「梅」は特に遠方の方にとって大変です。
私がお薦めしたい「竹」は、空き家周辺の住民に依頼することです。共助の一環として、地域組織が空き家管理を引き受けている住宅地もあります。草引きなどの管理作業を行う時だけでなく、日常的に空き家を見守ってくれることでしょう。