
譜面を作る上で大切なこと その2
こんにちは!
古明地さんです。Beat Saber日本40位台のプレイヤー兼マッパーです。また、今年の10月からScore Saber RT Teamの一員として頑張っています。今回はBeatSaber Advent Calendar 2024の20日目の記事になります。
今回の記事は前回のアドカレで作成したもののより踏み込んだ内容になります。ですので、前回の記事の内容を前提としたものが多く出てきます。ご了承ください。
※前回のアドカレ記事※
今回は以下のように進めていきます。
・譜面の構成
まず始めに私が意識していることと、マップのクオリティを上げるためにできることを書いていきます。
・譜面を作るにあたって
譜面の構成ですが、私は譜面を作る時に意識していることは
・その音に合った配置を考える
・全体のバランスを考える
・配置の難易度を使い分け、配置の抑揚をつける
の3つです。
今回は1つ目の「その音に合った配置を置く」を念頭に話していければと思います。「全体のバランスを考える」や「配置の難易度を使い分け、配置の抑揚をつける」は前回の記事で紹介していますので、是非読んでください!
・その音に合った配置を考える
さて本題に入りますが、配置の抑揚や譜面全体のバランスを整えることはもちろん大事です。しかし、この2つができているにも関わらずクオリティを下げてしまう可能性があるものがあります。それがその音に合わない配置をしてしまうです。
例えば、とてもゆっくりな曲調なのに急に曲にそぐわないスピード系のジャンプが置かれているや、逆にとても速い曲でゆっくり振る配置を置くなど明らかに曲と合っていないことは避けた方が良いです。例①の曲でスピードを置かれていたり、例②の曲でゆっくりな配置が置かれていると違和感を感じますよね?
例①
例②
選んだ曲を表現するのはそれぞれのマッパーなので絶対にこうした方が良いというものはないですが、今後ランク化や譜面のクオリティを上げたい方はその曲調を聞いた上で配置していくことが良いと思います。
・配置について
では実際にノーツを置く時、どのようなことを意識してノーツを置いて行けばよいでしょうか?
テックやスピードなど配置にも触れながら、配置のバリエーションを増やしていきましょう!
・テックについて
テックはアングルテックやツイストテック、リーンテックなど色々な種類がありますが、ここで重要なのは一つの方にこだわらず、色々な要素を使いながら配置することです。これだけを聞くと「あ、ランダムに置いても良いんだ」と思う人もいるかもしれません。しかし、ここで気をつけて欲しいのは配置のバリエーションは増やしつつも、一貫性は保つことです。
なぜこれが大切だと言うと、音や曲調の変化があまりないのに配置が頻繁に変わることは、予測できないことからのミスが増えることと曲とミスマッチする可能性が高くなるからです。例①を見てみるツイストのクルクル回る配置ですが、例②は例①より音が少し高くなっているので、配置の傾向は変えずに角度が少し強くなっている形です。これによって音の変化で形を変えつつ、一貫性は保つ配置にすることができます。
例①
例②
その曲調のテック配置を決めた時は、その曲調の時は基本的には変えずに、曲調が強くなった時に配置を強化するくらいが良いです。
ここで一つ注意が必要なのは、曲調が大きく変化しているのに配置自体の変化をつけないことです。曲調の大きな変化があるにも関わらず配置の傾向を変えないのは配置のミスマッチに大きく繋がってきますし、サビとメインの配置のメリハリがつきにくくなります。例えば、サビで強い配置を置いて、イントロなどでそれのセットアップ・ビルドアップを行うと、イントロなどを元にサビが強くなっているように感じ、譜面にメリハリがつきやすくなります。これに関しては実際私もやってしまうことがあるので、最近は特に気をつけています。
まとめますと、テックで譜面を作る場合は曲調の変化に合わせつつ、一貫性を保ちながら作ることが大切になってきます。
・スピードについて
次にスピードについて話していきます。スピードと言われて思い浮かぶのはストリームやジャンプなどだと思います。それ自体は間違っていないのですが、これらが入っていてもスピードと言えないものもあります。
スピードマップは個人的にはBPM250〜の曲が作りやすいと思います(一部例外もあります)。日本ではあまり浸透していませんが、スピードにも実は種類があり、Low Speed(BPM250-300)とStandard Speed(BPM300-350)、High Speed(BPM350-400)に分けることができます。ですので、これからスピードマップを作りたい人はこれを参考に曲選びを行うとスピードが作りやすくなります。
次に配置について話していきます。スピードマップはシンプルかつ速さのある配置をしていくので、テックのような大きな配置はできません。ではどのようにバリエーションを増やしていけばいいのでしょうか?それはセイバーの動きを増やしたり、ノーツ間の距離を広げるなど配置を大きくすることです。例を見てもらうと①よりも②の方が動きが大きく躍動感がある配置になっています。
例①
例②
このような工夫をすることでシンプルながらもバリエーションを増やすことができます。
まとめるとスピードで譜面を作る時はBPMを高めの曲を選び、セイバーの動きや距離などを調整することが大切になってきます。
・真ん中を利用した配置
本来ノーツの後ろに隠れるなどヴィジョンブロックになるように配置することはだめですが、いくつか例外があります。それがこちらです!
これは真ん中にノーツのすぐ後ろにノーツがあるため、視認できるノーツになります。そのためヴィジョンブロックが回避できます(私は結構多様しています)。
では、実際にどのようになっているか見ていきましょう。下の画像はヴィジョンブロックの範囲を表しているものになります。(Half Jump Durationが2.5の場合を想定します)

青の場所がヴィジョンブロックではないところ、赤のところがヴィジョンブロックになるところです。青の場所は真ん中に置いたノーツからすぐにスポーンするため、ノーツを視認することができます。しかし、赤の場所は真ん中に置かれたノーツに隠れてスポーンするため、視認ができないものになります。ですので、真ん中に置いた後0.25-0.5ビートの間だと真ん中に置いてもノーツが視認できるので大丈夫になります(下の画像参照)

こういう感じに真ん中もうまく使っていくと、配置の幅が増えてきます。是非使ってみてください!
・やらない方がよい配置
ここでは入れない方が良い配置を紹介します。
1つ目がハンドクラップです

簡単に言うとセイバーを振った時にコントローラー同士がぶつかる配置になります。場合によったらコントローラーが壊れたり、怪我をする可能性があるので、絶対に入れないようにしましょう。
2つ目がフェイスパンチャーです

こちらの配置はセイバーを振ったときにHMD(VR機器本体)を殴る配置になります。こちらも場合によったらコントローラーが壊れたり、怪我をする可能性があるので、絶対に入れないようにしましょう。
この他にもいくつかありますが、基本的には身体やコントローラー等にダメージがいくような配置(ハンドクラップ等)や部屋等最低限のプレイ環境を配慮しない配置(3レーン分の大きな壁等)は避けましょう
・配置の選択
ではそもそもどのような感じで置いていったらいいのか?零號車輛(Vehicle Zero)をもとに確認していきましょう。
また今回はこのマップを参考にしながら話を進めていきたいと思います。
BeatSaver - Map - seatrus - Vehicle Zero
seatrus - 零號車輛
前情報ですが、今回使用する零號車輛(Vehicle Zero)はタイプ的にはスピードに近いパートとテックのパートがあるマップになります。ですので、こちらを念頭に入れながら見ていきましょう。
では実際に見てみましょう!
この譜面の構成を簡単にまとめていきます。
①start - 0:18 : チルパート
②0:18 - 0:26 : テック系のビルドアップ
③0:26 - 0:40 : ツイスト系テック
④0:40 - 0:59 : 真ん中を利用した混合フレーズ
⑤0:59 - 1:14 : チルパート
⑥1:14 - 1:30 : ビルドアップ
⑦1:30 - 1:38 : テック系のビルドアップ
⑧1:38 - 1:42 : ストリーム
⑨1:42 - 2:20 : メインパート(真ん中を利用した混合フレーズにテック要素を追加)
⑩2:20 - 2:22 : ストリーム
という構成になっています。
この曲の一番メインになる場所は⑨になるので、まずこの場所が一番盛り上がる用にしていきます。④も盛り上がる場所ですが、⑨がサビ部分なので、④は勢いを残しつつ⑨よりも少し配置を抑えていきます。そうなると④は真ん中を利用した混フレ、⑨はより配置を強化したテック+真ん中を利用した混フレになります。この曲はサビ前に勢いを上げてくる音があるので、⑧も曲に合わせながら配置しています。それもあって⑨は⑧のストリームの勢いに押されてさらに盛り上がっていきます。
また、③のパートがテックが一番強い配置ですが、②でビルドアップアップを入れることで③の配置にも違和感なく繋げることができます。ここで突然テックパートに入ると予測ができない配置が飛んできてミスをしやすくなります。ですので、手前の②でテック系のビルドアップを入れることで、③のテック配置に入りやすくしています。
さらに、チルパート(静かなパート)も壁やノーツの多さ、配置の難易度の調整等を行い、表現することで、メインパートがさらに目立つようになります。
このように曲調の変化に合わせて配置を選択しつつ、ビルドアップ→テック/スピード配置にすることで譜面全体のバランスが良くなり、メリハリを付けることができます。曲によって様々ですが、その一箇所の配置というより、全体を通して配置していくという方が綺麗にまとまりやすくなると思います。
・あとがき
今回はその音に合った配置を考えることをメインにお話をしてきました。曲調に合わせて譜面を作っていくことは譜面のクオリティの向上が上がりやすくなるので是非試してください!
独創性や譜面のバランスを調整しながら楽しい譜面をつくっていきましょう!!
