第112回 看護師国家試験の概要
試験は1日完結
令和5年の看護師国家試験は、第112回となります。
毎年8月頃に厚生労働省から日程の発表があり、大きな変更がなければ令和5年2月の第2日曜日が試験日となるはずです。
午前・午後の2部に分かれて、問題数はそれぞれ120題ずつ、合計240問です。ともに2時間40分なので、合計5時間20分となります。うーん、長丁場ですね。
試験の内容は3部構成で、
① 必修問題 50問
② 一般問題 130問
③ 状況設定問題 60問
点数配分は、
① 必修問題 各1点( 50点満点 )
② 一般問題 各1点( 130点満点 )
③ 状況設定問題 各2点( 120点満 )
で、合計300点満となります。
評価方法は、2つに分けて評価していきます。
① 必修問題・・・・・・絶対的評価
② 一般問題・・・・・・相対的評価
③ 状況設定問題・・・・相対的評価
相対的評価である ② 一般問題と ③ 状況設定問題は、得点が高ければ高いほどそれに越したことはありません。
いわゆるボーダーラインが変動するのが相対的評価です。試験の内容が難しければ、ボーダーラインは下がりますし、簡単な問題が多ければ平均点も上がるので、ボーダーラインは上がります。
皆さんは、ボーダーラインがどの辺になるのかが気になるでしょう。結局、受験者の下から10%(1割 )前後が切り捨てになります。看護国試の合格率が毎年ほぼ90%前後なのはそのせいです。つまり下から10%(1割 )前後に入らなければ、合格できるわけです。
ここ数年だと、第106回の時のボーダーラインが約57%で低い時がありましたが、高い時は第103回の約64%で、多少の幅があります。
ですから、ギリギリを狙うよりも、余裕を持たせておいた方がいい。一般問題と状況設定問題を合わせて常に70%をキープ(7割正解)できるような勉強方法が良いですね。
それに対して、絶対的評価の ① 必修問題は、ボーダーラインはきっちり80%(8割 )です。50問中40問を超えることが合格条件になります。
この40問を超えていなければ、前述の一般問題・状況設定問題がパーフェクトでも不合格になってしまう、これが絶対的評価の考え方です。
※ 不適切問題がある場合は調整されます。
なのでこの時期、何を優先させて勉強するのか・・・といったら答えはひとつ。まず、必修問題から勉強していきます!これが取れなきゃ意味ないですもんね。
試験内容の詳細
カラー写真やイラスト、図・表、画像を見て判断する「 視覚素材 」問題や計算問題も出題されます。
特に計算問題は、臨床で働く時に必要な知識が多く( 酸素ボンベの酸素残量・点滴の滴下数など )、国試では出題数が少なくても、現場に出た時に困らないようにしておくことが必要です。
形式はほとんどが四肢択一( 四つのうちから一つ選ぶ )ですが、五肢択一や、五肢択二( 五つのうちから二つを選ぶ )が少数ですが出題されます。
特に二つ選ぶ問題は、片方だけの正解だけでは得点にならず、二つとも正解でないと得点になりません。受験生が苦手な出題形式がコレです。ここ数年このタイプの出題数が増えてきています。
だからこそ、根拠をもって正確に理解していく必要があります。理解をするには時間がかかりますからね。いかに国試対策のスタートダッシュが大切か分かると思います。
必修問題は50問?
50問です。ただ気をつけたいのが、厚生労働省では国試の何番目から何番目までが必修問題ですよ!とは一言も提示されていません。
よく学生さんがですね、「 15番目の必修問題、間違えたー 」とか言ってきますが、午前・午後最初の25問ずつ( 計50問 )が本当に必修問題かどうかは分からないのです。
ただ問題を見ると、簡単そうな問題なので「 たぶん 」このあたりが必修問題だろう・・・というだけの事です。
じゃ、必修対策はどーすんだよ?と言いたいでしょうけど、前回の3月10日の記事「看護学生さんへむけて」で書いたように、やはり「 出題基準 」です。幸いなことに必修問題分野の「 出題基準 」はページ数が少ない!これは、ありがたい!頑張ってやれそうなくらいのボリュームです。
この出題基準を元に勉強していけば、やみくもに勉強するよりよっぽど効率が良いのですよ!
出題基準が変わる?
その予定です。
令和3年3月31日の「 医道審議会保健師助産師看護師分科会 保健師助産師看護師国家試験制度改善検討部会 報告書 」によると・・・
改定された出題基準の適用時期については、出題基準の改定に関する今後の検討及び周知期間を勘案し、令和5年実施の第109回保健師国家試験、第106回助産師国家試験、第112回看護師国家試験から適用することが望ましい。
との記載があります。令和4年3月12日現在、厚生労働省から「 新出題基準 」の発表がないため、これから発表があるでしょう。
しかし、今までの改定もそうですが、出題基準は大きく変化する事はありません。ゼロからのスタートではないので、気を落とさぬよう。
名称が変わる
令和4年度より【 在宅看護論 】から【 地域・在宅看護論 】へと名称が変わります。これは令和4年4月入学者から適用される新カリキュラムから変更されます。
多様な働き方が求められている「 看護職 」の位置付けが明確化された名称ですね。今度看護師は、病院だけではなく地域に根ざした「 地域の顔 」として活躍する職種になっていきます。
国試対策では、社会資源の知識が求められることは言うまでもありません。
さて、いかがでしたか?今回は来年度の試験概要について書いてみました。
そんなの知ってたよ!という人も、知らなかったー!という人も、まずは今後、厚生労働省から提示される「 新出題基準 」に注目です。
でも、大きく変更する事はないと思うので、今( 春 )からできる事をコツコツやっていきましょう!
では、今回はこの辺で。
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