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【ファジサポ日誌】127.原点回帰~第31節 ファジアーノ岡山 vs 愛媛FC マッチレビュー ~

先週の秋田戦で痛恨の敗戦を喫したファジアーノ岡山、7位とは勝点差2までに迫られ、今節が仮にドロー以下の結果となった場合は、プレーオフ圏外まで転落する可能性もあった。
今節が終わっても、J2リーグ戦は7試合を残している。仮にプレーオフ圏外へと落ちたとしても、数字上はまだ巻き返すことは十分可能である。しかし、攻撃に課題を抱える退潮ムード、そして戦術熟成に向けた焦りの下での巻き返しというのは想像以上に困難な面も想像でき、岡山にとって今節に至る一週間は立て直し必須の勝負の時間であったといえる。

そうした切迫した事情はもちろんのことながら、サポーターもホームゲームで躍動感溢れるファジのサッカーを観たいという欲求(不満)が最高潮に高まっていたと思う。
スタジアムDJダイナさん(ダイナマイト・イシムラ氏)の「アグレッシブなサッカーを魅せてくれ!」という、ウォーミングアップに登場した選手たちに向けた普段と異なる煽りには、おそらくサポーターの総意が込められていたに違いない。

しかし、自己表現の欲求を高めていたのはサポーターのみならず、チームも同様であった。

振り返ります。

1.試合結果&メンバー

ということで、様々な鬱憤を晴らした結果は3-0の圧勝でした。

この一週間でチームはしっかり立ち直ったといえます。
気持ちの問題の改善のみで結果を出せるようなリーグではありませんので、やはり岡山は一定の実力を持ったチームであるといえます。

混戦のプレーオフ争いにおいて一つの勝ち負けは順位に大きく影響します。他チームが敗れた影響もあり、岡山は4位に浮上しました。3得点以上生まれた試合も久しぶりで、5/26第17節アウェイ仙台戦(4-1)以来となります。
ホームでの勝利も7/6第23節ホーム仙台戦以来となりました。
そして、天皇杯2回戦での1-7の大敗の借りを返した試合にもなりました。
岡山にとっては、まさに溜飲を下げる1勝になったのではないでしょうか。

J2第31節 岡山-愛媛 メンバー

メンバーです。

岡山スタメンは前節から2選手の変更です。
CB(5)柳育崇から(18)田上大地、そしてRST(27)木村太哉から(39)早川隼平へと変わりました。
このメンバー変更からは岡山がこの試合で能動的に攻撃を行いたい意志がみえていました。

愛媛はどちらかといえば非保持、カウンター型のサッカーを展開します。
引いた相手をしっかり崩すには、相手の守備ブロックの狭いエリアに、リスクを冒してパスを差し込むことも必要で、技術的にそれが可能と思える(39)早川の起用は順当と感じましたし、その(39)早川への後方からの供給がスムーズになるという点からも(18)田上の起用はセットで考えられます。

一方で秋田戦で先発出場した(5)柳(育)はサブからも外れました。彼に限らず(15)本山遥といったCBをこなせる選手がサブに1人もいないのは岡山としては珍しかったといえます。

これは、先週と同じカウンター型とはいえ、地上戦を好む愛媛が相手と考えた時に(5)柳(育)の強みが出そうな場面があまり想定されなかったからと考えられます。
しかし、CBにアクシデントがあった際の保険がRWB(88)柳貴博を最終ライン右に回し、RCB(4)阿部海大を中央に持ってくるという今まで一度も公式戦で試したことがない形になりそうという点は、岡山にとってギャンブルでもありました。

また、試合展開によっては、3-4-2-1のミラーゲームを回避するために、久々にベンチ入りしたWB(23)嵯峨理久を投入し、先発両WBのうち1人を一列下げたシステム変更なども想定していたのではないかと想像しました。

2.レビュー

J2第31節 岡山-愛媛 時間帯別攻勢・守勢分布図

序盤より非常に攻撃的な岡山のサッカーが展開されました。
その流れから先制に成功、猛攻の流れから早速ゴールという結果が出たことがチームに大きな自信を与えたことは間違いないと思います。
岡山にとっては、今シーズンから取り組んでいる3-4-2-1の良い特長が数多くみえた試合でした。レビューはこの点を中心に据えてみたいと思います。

(1)序盤を制する

システムや戦術を考える以前に、キックオフからの主導権争いを制する重要性は最近よく感じる点です。
例えば、第27節の徳島戦ではこれが上手くいかずに試合開始最初の5分は相手のセットプレーが続き、岡山は全くボールを触れませんでした。そして6分に失点し、相手に主導権を握られる厳しいゲーム展開になりました。
第29節(前々節)山口戦は逆にこれがよく出来ており、ゴール自体は後半に入ってからでしたが、やはり岡山が主導権を握る時間が長くなる試合になりました。

キックオフ、ロングボールの競り合いから(18)田上がセカンドを獲り、(22)一美に当てる、リターンを右サイドに展開し(88)柳(貴)がファールを受ける。36秒のこの段階で岡山は序盤の主導権をとることに成功したといえます。

このFKを(4)阿部が再び左サイドに送り、LWB(17)末吉塁、LCB(43)鈴木喜丈と繋ぎCKを獲得するのですが、(5)柳(育)不在の中でチームは様々なCKの形を愛媛に見せていきます。
CH(14)田部井涼のキックは、左からニアの(43)鈴木、2本目もニアのスペースからこぼれ球をLST(19)岩渕弘人のシュートに繋げる、右からの3本目はサインプレーでボックス外の(39)早川の頭に当てると3本とも異なる形をみせたのです。

これが、次のセットプレーで効いてきます。

岡山が左サイドに流れる(19)岩渕と(22)一美の関係性で前にポイントをつくり、逆サイドに展開するのと同様に、愛媛も同サイド(右サイド)のRWB(21)パクゴヌの突破力とこのサイドに流れてくるCF(10)松田力のサポートから左に展開する攻撃を指向します。

6分30秒、愛媛は右でつくり左に展開、LST(13)窪田稜のラストパスからCH(14)谷本駿介がシュートを放ちますが、ここは岡山(39)早川を中心とした戻りが速く、シュートブロックで防ぎます。

このこぼれ球を拾った岡山のロングカウンターが見事でした。
(17)末吉の全速力の持ち上がりから、ボックス内でパスを受けたのは起点になったCH(24)藤田息吹で、シュートを放ったのは(18)田上でした。(19)岩渕が自陣でのパスを受けて潰れた影響もあったのですが、後方の選手がこれだけ積極的に攻撃に絡んでいく姿は最近の岡山にはみられないものでした。

序盤、岡山猛攻のきっかけとなった(17)末吉のドリブル
「天皇杯のような試合はしてはならない」
有言実行のプレーぶりであった。

そして、このカウンター攻撃で得たCKを(18)田上が沈めるのですが、最初の3本のCKでニアや(39)早川を愛媛に意識させていたことで、ファー寄りのスペースが空いた分(18)田上が強く叩けたといえます。

岡山としては全員攻撃、全員守備という躍動感あるプレーから、課題となっていたセットプレーで回答が出たことで、チームにも自信が出たと思いますし、改めてサポーターの心を掴み直した瞬間であったとも思います。
みんなこんなサッカーを観たかったのです。やはり序盤の入りは大事なのです。
このプレーで(18)田上が痛み、少々心配になりましたが程なくピッチに復帰。控えCB不在がいきなりネックになるような事態に繋がらなくてよかったです。

8分左CKから(18)田上のヘディングシュートが決まる
ニアの(43)鈴木の存在が効いている。

(2)「3-4-2-1」と原点回帰

前項で述べましたロングカウンターの場面をみても感じたのですが、最近の日本代表も3-4-2-1を敷いており、その攻守はいわゆる「ロールレス」です。ポジションに関係なく様々な選手が場面ごとに自分がやるべきことを判断し、積極的なプレーに繋げていくという点が重視されています。
それこそが「ジャパンズウェイ」のあり方と筆者は解釈しているのですが、「3-4-2-1」というシステムとこのロールレスなサッカーの相性は良いのかなとも感じ始めています。

先制点のCKに繋がった岡山の攻撃
ボックス近くにいる選手はWB、ボランチ、CBという面々
ポジションレスな攻撃

この試合で岡山が魅せた攻守はカテゴリーの差による質の違いはあるにせよ、まさにそれと言え、キャンプ~開幕当初の岡山を思い出させるものであったと感じました。そんな良さを感じた場面をいくつか振り返ってみたいと思います。

筆者は3-4-2-1の良さのひとつに、CHとシャドー(ST)、更にWBを合わせた6人による中央の人数的充実があると考えていますが、それがこの試合では守備面で特に良い効果をもたらしていたと思います。

愛媛のパスワークの中心にいるのが、ボランチの(14)谷本です。前節横浜FC戦でのパスネットワーク図、ヒートマップ等のデータをみてもその様子が伝わってきます。

J2第31節 岡山-愛媛 岡山・愛媛の陣形モデル

お互い3-4-2-1のミラーゲームの嚙み合わせから考えると、(24)藤田(息)が(14)谷本をみるような格好になる訳ですが、この試合の(24)藤田(息)は試合全体を通して攻守に自由に、まさにフリーマンと呼べるような動きを披露していました。この動きを可能にしていたのが、(14)谷本に対するスムーズなマークの受け渡しです。

岡山は(19)岩渕らシャドー、(17)末吉らのWB、更にはCB(18)田上、CF(22)一美も加わり徹底して(14)谷本の動きに自由を与えませんでした。こうしたスライドを可能にしていたのが、最終ラインと前線が圧縮されたコンパクトな陣形で、この陣形を敷けたことこそが、秋田戦との大きな違いであったといえます。

いうまでもなくロングボールからのセカンドも拾いやすくなります。

J2第30節 岡山-秋田 陣形のモデル

前節、秋田戦のレビューで用いた陣形図と比較してみます。
注目していただきたいのは最終ラインと前線の矢印の方向です。
秋田戦は最終ラインが自ゴール方向、前線が相手ゴール方向を向いていることから中盤が間延び、空洞化している様子がわかります。
一方で今節は矢印がそれぞれ逆になることで、岡山はコンパクトな陣形を維持できており、守備面では愛媛の中盤のキーマンを潰すことに成功し、攻撃面ではセカンドボールの奪取、即時奪還により攻撃の起点を高い位置で設けることが出来ているのです。

こうなると愛媛は、単騎のサイド攻撃に頼らざるを得なくなるのですが、右の(21)パク・ゴヌ、左の(23)ユ・イェチャン共に岡山のWBとサイドCBの連携した守備の前には劣勢であったと思います。
右に関しては(10)松田が流れるシーンも多かったのですが、連携面での効果は乏しかった(ゴールキックのターゲットとしてサイドに流れていた?)といえます。

また一発で裏を狙うボールも多かったのですが、岡山は最終ラインは下がり過ぎることもなく、複数回オフサイドをとれていました。
(18)田上先発の効果がしっかり出ていたと思います。

ここまで述べてきましたような岡山の守備の効果が今節の(14)谷本のデータにも現れています。パスネットワーク図では中央から前線へのパスがほとんどなくなっていることからも、(14)谷本からの愛媛の前進を封じている点、そしてヒートマップからは(14)谷本が中央を嫌ってボールを受けようとしている点が伝わってきます。

(22)一美からのプレッシャーを受ける(14)谷本
終始、岡山各選手のプレスに晒された。
愛媛の出方をみながら、ラインを上げていた(18)田上
後半も同様
ファールじゃないよ!

しかし、岡山は「時間帯別攻勢・守勢分布図」にもあるように、先制に成功して以降は、裏へのボールが上手く繋がらず、逆に愛媛の攻勢を許す時間が続きかけました。この流れを断ち切るきっかけになったのが22分の(39)早川の決定機であったと思います。
この場面も、筆者が考える3-4-2-1の特長が出ていたように感じましたので採り上げてみます。

J2第31節 岡山-愛媛 22分岡山(39)早川の決定機

この場面はWBまでは戻っていませんが、岡山の2CHが退き気味なることにより、愛媛を引きつけセンターサークル付近に5対5の状況が生まれています。3-4-2-1の特長のひとつには、非保持時にも人数をかけて引くため相手を引きつけやすい、その分、相手の裏を狙ったカウンター攻撃が有効になるという点があると考えます。

この場面は岡山の「疑似カウンター」のような形になりましたが、そんな3-4-2-1の特長が上手く出た攻撃であったと思います。

(43)鈴木が起点になっていますが、プレスをかける愛媛(25)石浦大雅に対してしっかり三角形をつくり、ボールを逃がしている点も気が利いていて良かったと思います。

(14)田部井のボールを受けた(39)早川が抜け出す
角度のない所から強烈なシュートを放つ

このプレーをきっかけに前半終了まで岡山の攻勢が続く訳ですが、欲を言えばこの時間帯に追加点を奪えていれば満点であったと思います。
しかし、33分の岡山のビルドアップから(4)阿部が(88)柳(貴)や(22)一美とのワンツーを交えながら内レーンを持ち上がり、最後(22)一美のクロスから(19)岩渕の決定機になりかけた攻撃は得点の匂いが十分漂うものであったと思います。

(4)阿部の攻め上がりからサイドに流れていた(22)一美からのクロス。後少しで追加点に繋がっていた。

最初に述べましたようにこの場面は、ロールレス、ポジションレスを感じさせるものでもありました。

余談ですが、この試合の(4)阿部のヒートマップが面白かったので採り上げてみます。センターバックのそれではないのです。これだけをみますと4バックの右サイドバックのようにもみえます。
岡山の攻撃は「喜丈ロール」に代表される(43)鈴木の持ち上がりにより左肩上がりの傾向がしばらく続いていましたが、最近の(4)阿部の積極的な攻撃参加は「海大ロール」と呼んでも過言ではないと思っています。
相手の対策の的を絞らせない、そして(43)鈴木の負担軽減を図るうえでも(4)阿部の攻撃への貢献はチームに大きな意義をもたらしています。

この前半をみていて筆者は、開幕戦を思い出していました。
人が動く、ボールが動くという意味では「ムービングフットボール」と呼べそうな面白さがありました。

開幕戦に今シーズンのモデルとなるサッカーを提示した岡山でしたが、相手のサッカーとの噛み合わせや決定力不足、そしてJ1昇格へのプレッシャーなどが、最後をやらさない守備への過度な依存を招いたといえます。

その後、チーム内で負傷者が多発する中、元来指向していたスタイルに戻るきっかけも掴めず、負傷者が戻ってきてからもプレーオフ圏争いのプレッシャーから、チームコンセプトの表現には繋がらないという苦しい戦況が続いていました。

そういう意味ではこの試合は岡山にとっての「原点回帰」に繋がったといえそうです。

先に結論めいたことを書いてしまいましたが、前半終了時点ではまだ1-0、愛媛の修正次第では勝負の行方はまだ分からなかったと思います。

引き続き後半に触れてみたいと思います。

(3)出し手と受け手の改善

岡山は前半と同様に、愛媛の様子見ではなく自分たちの積極的な攻撃姿勢を打ち出しました。
後半開始直後、(4)阿部から(19)岩渕の裏を狙ったロングフィードの質は高く、イエローをもらってしまいましたが(19)岩渕との呼吸もぴったりでした。審判によってはPKを獲れたかもしれません。

また、守備に関しても昨シーズンの後半にみられたような意図的にWBを下げて5-3-2に陣形を変え、(22)一美に代わり交代出場したCF(99)ルカオの突破力に頼った攻撃に移行するのではなく、前半同様にハイプレスを仕掛け続け、高い位置での奪還を試みていました。

上手く網が掛からず、愛媛得意の縦へのロングカウンターを許す場面もありましたが、その回数は限定され、かつフィニッシュの精度も欠いていたことから、岡山として危ないと感じるシーンは少なかったといえます。
岡山の前から嵌めていく守備は、愛媛のカウンターの精度と比較しても妥当であったと考えます。

「戦術ルカオ」のインパクトに隠れがちなのですが、岡山の戦法は決して交代出場CF(99)ルカオ頼みという訳ではなかった点を強調しておきたいところです。

チームコンセプトに沿ったプレー選択を行っていたという点では、CF(99)ルカオも同様でした。出場直後、54分の最初のチャンスでクロスではなく、シュートを選択した点にチームとしての高いゴールへの意識を感じます。(99)ルカオ自らがシュートを放つことで、相手にもチャンスメイク以外の選択肢を持っていることを示せていたと思います。

(99)ルカオのファーストプレーは右サイドドリブルからのシュート。

先ほどの(4)阿部と(19)岩渕の呼吸が合っている点からも、この後半の岡山は、最近のチームの課題でもあった「出し手と受け手の関係性」についても改善出来ていたといえます。

後半開始直後、(4)阿部のロングフィードから裏をとった(19)岩渕がボックス内で倒される。

それは、72分にチーム待望の追加点を決めた(19)岩渕とアシストした(99)ルカオとの関係性にもみてとれます。

2点目の約10分前、61分の岡山自陣カウンターからの決定機は、(99)ルカオが左サイドからドリブルで持ち上がり、愛媛の2CBを挟んでファーのスペースに走り込む(19)岩渕へアウトサイドキックで出すものでした。このシーンもゴールの匂いが漂っていたのですが、実は秋田戦でも(99)ルカオは同様のキックでファーに走るFW(29)齋藤恵太を狙ったシーンがあり、この先週の場面と比べるとキックの質、飛び込むタイミング共に改善されている跡を感じることができ、これをもう少し続けていれば追加点は生まれそうとの期待感を持たせてくれました。

そして72分の追加点に繋がる訳ですが、今度も(99)ルカオと(19)岩渕の間には愛媛の2CBを挟んでいる点は10分前と同じなのですが、今度はファーではなく、愛媛CB(33)小川大空の手前で(19)岩渕が触ります。この出し手と受け手の呼吸がぴったり合っている点は見事でした。おそらくファーで合わすパターンと、ニアで合わすパターンの使い分けが出来ており、それを出し手と受け手で共有出来ているのだと思います。

愛媛(33)小川としては10分前にファーへのクロスを見せられていたために自身の手前に飛び込んでくる(19)岩渕を警戒出来ていなかったのではないかと推測します。

今回のカバー画にした一枚
出し手と受け手の意図が一致した瞬間
それも様々なクロス、パスのパターンを見せているからこそ。
課題を乗り越えた!
選手たちの喜びが爆発する

出し手と受け手の関係性という意味では、3点目はファーのスペースに当初は誰もおらず、偶発的なゴールという気もしましたが、RST(33)神谷優太の空いているスペースの察知とボールの落下予測が光った追加点であったと感じました。

その(33)神谷ですが、(39)早川に代わってRSTに入りましたが、愛媛の最終ラインと中盤のライン間でボールを引き出す動き、そして状況によってはボランチの位置まで下りて最終ラインからボールを引き出す動きがチーム全体のボール運びをスムーズにしていたと思います。
これまでも巧さとアイデアを魅せてくれていましたが、今節では更にスピードと切り替えの速さが加わったように見えました。

ゴールという成果を魅せたことからも今後も交代要員の筆頭、場合によってはスタメン起用の可能性もありえそうな気がします。

この浮き球が落ちた所に(33)神谷が飛び込む
移籍後初ゴールは嬉しい恩返し弾に

3.まとめ

以上、愛媛戦を振り返りました。
岡山としては攻撃の回数を増やすことが大きなテーマの一戦でしたが、各ゴールが生まれた背景を紐解きますと、単に「回数」を増やしただけではなく、相手に対して様々な「変化」、攻撃のバリエーションを見せていたことが効果的であったことが分かります。
秋田戦からたった一週間でこれだけのパフォーマンスを魅せることが出来た要因には、サッカーのやり方自体はシーズン前からのキャンプや中断期間中の春野キャンプでの作り込んでいたものといえますが、それを表現するための思考が整理されたことがあるのではないかと推察します。

右が活きるから左は今まで以上に活きるはず
各選手、走り負けなかった。
途中投入の(27)木村は愛媛の最終ラインにプレッシャーをかけ続け、ゴールキックのターゲットにもなった。

そして、もう一点は後方から繋いでくるチームとの相性の良さということはいえます。
ですので、今後の展望と課題については、後方から繋がないチーム、前線に蹴ってプレスを回避してくるチームと対戦した際の振る舞い方も改めてポイントになります。

ただそうした今後の課題を除きましても、シーズン終盤を迎えたこの時期に「原点回帰」を果たせた成果は非常に大きいと感じたゲームでした。

チャレンジしてくれた監督、選手の勇気を称えたいと思います。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

今夜は個人的にも応援の圧は最後まで緩めなかった。

※敬称略

【自己紹介】雉球応援人(きじたまおうえんびと)
地元のサッカー好き社会保険労務士
日常に追われる日々を送っている。

JFL時代2008シーズンからのファジアーノ岡山サポ。
得点で喜び、失点で悲しむ、単純明快なサポーターであったが、ある日「ボランチが落ちてくる」の意味が分からなかったことをきっかけに戦術に興味を持ちだす。
2018シーズン後半戦の得点力不足は自身にとっても「修行」であったが、この頃の観戦経験が現在のサッカー観に繋がっている。

レビュアー3年目に突入。今年こそ歓喜の場を描きたい。
鉄道旅(独り乗り鉄)をこよなく愛する叙情派。



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