深酔いエッセイ14「お笑い回顧録 中島らも」その5
続いて竹中直人と中島らもが織りなすショートコントを回顧しよう
そば屋でのサラリーマン二人
竹中は昼休みにそば屋に入り、天ぷらそばを注文した
中島は店の隅の席で、ざるそばを食べていた
すると竹中は見知らぬ中島を、ジーと凝視し始めた
視線に気づいた中島は竹中を見るが、竹中はすかさず視線を外し、上を向いた
そしてまた、竹中は中島を凝視した
中島が竹中を見ると、やはり彼は、すかさず上を向く
その後中島は隙を見て、竹中を見るが、竹田は上を向いている
二人は争うように、それを繰り返す
寸評
幼い子供が他人を凝視することはあるが、これはおじさんの凝視である
しかしなんだか、身近に起きそうなことである
また、とてもおもしろいが、かなりセンシティブなネタのようにも思える
二人のサラリーマン、昼休みに会社ビルの屋上にて
竹中は昼食を終え、休憩のため会社ビル屋上に上がった
するとスーツを着た男が、外を眺める背中が見えた
その背中は、ただならぬ哀愁感を帯びていた
見知らぬ男であったが竹中は心配になり、
「大丈夫ですか?」
と後ろから声をかけた
しかし、男の反応はない
竹中は男の背中を軽くたたき、
「何か、悩みでもあるんですか?」
と言った
すると男は、ゆっくりと振り返った
男は唇を、タコのようにとがらせていた
そして唇を、竹中に迫らせてきた
竹中は逃げようとしたが、男にがっちりと掴まれ、二人の唇の距離は、1センチか何ミリにまで迫った
その攻防がしばらく続き、ついに竹中は唇を男に奪われた
その男とは、中島である
寸評
意外性やギャップは、笑いの基本だが、さすがに中島らものそれは鋭い
男が屋上で外を見ていた時、すでに唇をとがらせていたに違いない
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