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喫煙所配信者の頭の中 #7
演じ切るって実はとっても難しい。
仲良くしてもらってるひかねぇから、
声劇の感想が欲しいと請われて音源を貰った。
台本は一応見ていて、これをひかねぇが、
女性と演じたのならどうなったのか。
ある意味、怖いもの見たさで感想書く!と言ったのだ。
出だし、耳を疑った。
『ひかねぇ』ではなく、『ひかる』だったから。
年齢が言及されていない声劇で、
幼なじみの二人の会話。
少し無愛想な「おつかれ」のトーンは
好きな人にいい所を見せたい背伸びした男子そのもの。
年上の幼なじみに恋する男の子。
年下男子に可愛いって思われたい女の子。
そんな情景。
声劇はとっても素晴らしかった。
なんなら、書きながら聞いてるくらいで、
新しい1面が見れたようで新鮮だった。
だけど。
表現者としての『ひかねぇ』も、
男性としての『ひかる』も、
その魅力の根幹はきっと感情や感性なんだと、
改めて認識したのだ。
抑えた演技で人を魅了することはとても難しい。
シンプルゆえに誤魔化しが効かない。
あの声劇の演技は間違いなく多くの人を魅了する。
それほどしっかり読み込んで、練り上げて、
落とし込んだのだろうとも思った。
そこにうっすらと透けて見えた『ひかねぇ』の影に違和感を覚えたのだから。
それと同時に透けて見えたそれに、少し安心もした。
あぁ、この人だからこの絶妙なバランスなのだ。
これ以上もこれ以下もなく、ここがベスト。
演じ切ることは難しい。
己を殺して、抑え込んで、それでもなお、人を魅了する。
そういう表現者は稀有だ。
そしてその出会いは宝だと、そう思う。